☵47〕─3─日韓関係は、韓国が不利を承知で約束を守らない限り好転はあり得ない。~No.402No.403No.404No.405No.406No.407 

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 2019年4月28日 産経新聞「【ソウルから 倭人の眼】対日関係の特効薬は「約束守ること」 それを知っている韓国
 韓国・釜山の日本総領事館近くの公園前歩道に置かれていた徴用工像(今年3月、名村隆寛撮影)
 平成から令和へと日本が新しい時代を迎えるなか、隣の韓国では相変わらず日本との関係をめぐる内部葛藤が続いている。元徴用工だと主張する者や遺族らによる集団追加訴訟の動きがある一方、釜山の日本総領事館前への「徴用工像」の設置については、いまさらながら是非論が起きている。日韓関係を未来志向的に改善したい韓国だが、自らがこだわる過去に縛られ、身動きでない状態にある。
(ソウル 名村隆寛)
 ■宴の後の危機感
 韓国で今年は、日本の朝鮮半島統治下の1919年に起きた「三・一独立運動」と、中国上海での「大韓民国臨時政府」の設立から100年。「抗日」の2大記念日の式典を3、4月に終えた今、目の前にあるのは悪化の一途をたどる対日関係だ。その現実への危機意識が、韓国では以前にも増して高まっている。
 いわゆる元徴用工をめぐる訴訟で日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決、日韓合意に基づく元慰安婦のための財団の一方的解散、海上自衛隊機へのレーダー照射、韓国国会議長による「天皇謝罪発言」。昨年10月からの半年間、韓国側が起こした出来事は日韓関係の悪化に拍車をかけた。
 韓国の非を認めようとしない政治家やメディア、活動家は「韓日関係悪化は安倍(晋三)のせいだ!」と責任を日本に丸投げしたままだ。そう叫ぶ以外、日本に反論ができない。最近、対日関係で韓国を“いい気分”にさせたのは、日本の水産物輸入禁止をめぐり世界貿易機関WTO)の上級委員会が日本の逆転敗訴の判断を示したことぐらいだ。
 だが、韓国では、対日関係をこのままにしていてはまずいという危機感が出ている。背景にあるのは、低迷続きの経済と国際情勢だ。
 ■「好調な日本」の一方で
 韓国メディアは伝統的に、やたらと自国と日本を比べたがる。そのメディアが最近、ますます気にしているのが好調な日本の経済と活発な外交活動だ。韓国に駐在している筆者は日本の好況を皮膚では感じられないが、韓国人から見れば「うらやましいほど」(韓国紙)だという。
 また日本について、米国との良好な関係を維持していることに加え、中国との関係も改善しているとみており、韓国は外交的孤立を深めているそうだ。韓国自身がそう感じているから、その通りなのだろう。
 この「経済・外交で好調」な日本と「経済はダメ、外交で孤立」する韓国という対照的な姿、韓国だけが取り残されているといった自覚が、韓国の焦燥感を駆り立てているようだ。国の現状に警鐘を鳴らす者は「いつまでも日本との歴史問題にこだわっていては失うものの方が多い」と危機感を募らせている。
 ■条約違反は分かっている
 そのことを象徴するように、全く同じ主張の社説を、複数の韓国紙が同じ日に掲載した。
 全国民主労働組合総連盟(民主労総)が中心の市民団体が、釜山の日本総領事館前に何度も設置を試みた「徴用工像」の問題だ。昨年5月と今年3月の設置阻止に続き、釜山市は4月12日、総領事館近くの歩道に置かれていた像を撤去した。しかし、その後、呉巨敦(オ・ゴドン)市長が「市民や労働者の皆さんに心配をかけたことを謝罪する」と表明。結局、市民100人で構成する協議の場を設け、28日に像の設置場所を決め、5月1日までに設置することとなったが、協議は中止となった。
 「抗日闘争」などと叫ぶ市民団体(労組)の圧力に及び腰で、腫れ物に触るかのような釜山市の対応に、朝鮮日報(4月19日付)は社説で「法を執行する機関が“不法”を前に謝罪し膝を屈した。この世にこんな国があろうか」と批判。「国内法違反だけでなく、外国領事館近くの歩道に労働者像(徴用工像)を設置するのは、韓国も加入している外交関係に関するウィーン条約にも反している」と断じた。同紙社説は17日にも、韓国の条約違反を指摘している。
 また、中央日報(19日付)も「韓国が加入しているウィーン条約によると、外国公館の正面に少女像や労働者像を設置してはいけない」と問題視した。
 日本政府は、総領事館周辺への像設置が「ウィーン条約の規定に照らして問題である」(菅義偉官房長官)との立場で、両紙社説は日本政府の見解と同じだ。康京和(カン・ギョンファ)外相も昨年、海外メディアとの記者会見で韓国の条約違反を事実上認めた。
 徴用工像の設置を認めることが、「(外交)公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する」とした同条約に反することを、韓国は分かっているのだ。
 ■何もできない文政権
 ウィーン条約違反を自覚しているのなら、2011年にソウルの日本大使館前に慰安婦像が不法に設置された時点から、韓国は問題視するべきだった。しかも、慰安婦問題をめぐる15年の日韓合意で韓国政府は「日本政府が公館の安寧・尊厳の維持の観点から懸念していることを認知し、適切に解決されるよう努力する」と約束した。なのに像は撤去されていない。しかも、合意1年後には釜山の日本総領事館前にも慰安婦像が置かれた。2つの慰安婦像は今、地元自治体の保護下にある。
 慰安婦像は放置しつつも、徴用工像の設置をかろうじて阻んだ背景には、「対日関係の傷口をこれ以上広げてはならない」という文在寅ムン・ジェイン)政権なりの判断が働いたものとみられる。ただ、日韓関係を悪化させた慰安婦像の問題は今や、韓国側が起こした数々の懸案の一つに過ぎない。この8年間、特にこの半年で、韓国は日本との約束事がなかったように問題を蒸し返し、物事を複雑にし続けてきた。
 韓国の常識派は事態を深刻視しているが、解決法は簡単。韓国が国際条約や協定、日本との合意、約束を守ればいいだけの話だ。最初からそうしていれば、韓国は自縄自縛になって困ったり、国の将来を憂いたりすることも防げたはずだ。
 韓国が日本に対してまいた種は多く、最悪の日韓関係として実ってしまった。自らまいた種は自分で刈り取らねばならない。責任感のある国なら、そうするだろう。
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 2019年4月29日08:32 msnニュース ハーバービジネスオンライン「徴用工問題は解決済みではない。日本の主張の問題点とは!?
 © FUSOSHA Publishing Inc. 提供 戦中、日本企業のために中国人・韓国人労働者達に強制労働に動員されることが相次いだ。花岡平和記念館にて筆者撮影
 第2次世界大戦中に朝鮮半島から動員され、日本本土の工場などで過酷な労働環境で働かされたという、いわゆる徴用工問題。昨年10月、韓国の最高裁判所にあたる「大法院」は、元徴用工の人々の主張を認め、新日鉄住金に損害賠償を支払うことを命じる判決を言い渡した。
 この判決に、安倍政権は強く反発。日本の各メディアも一斉に韓国側を批判するという、ある種の集団ヒステリー状態となっている。こうした日本での反応の背景には、ナショナリズムだけでなく、国際法や人権への無理解があるのだろう。
 4月20日、日本弁護士連合会が主催したシンポジウムで基調講演を行った山本晴太弁護士(日弁連人権擁護委員会特別委嘱委員)は「徴用工問題は解決済み」とする日本側の主張の問題点を指摘した。
◆徴用工問題、日本側の主張の問題点は?
 端的に言えば、徴用工問題を巡る日本側の主張の問題は以下の点であろう。
 ●日本側の主張「日韓請求権協定で解決済みの徴用工問題を韓国側が蒸し返した」
 ↓
 ●同協定で「解決済」とされて放棄されたのは、国家対国家の「外交保護権」であることは、日本側も国会質疑で認めている。被害者である元徴用工の、加害者である日本企業に対する「個人の請求権」は現在も有効。
 ●日本側の主張「『個人の請求権』は消滅していないが、これで訴えても救済は拒否される」
 ↓
 ●この主張の元となっている最高裁の判断(2007年4月27日)は根拠に乏しい。また同判決も、「個人の請求権」を完全否定したわけではなく、加害者側の「自発的対応」を促すものだった。韓国の大法院は「個人の請求権」と「裁判による権利行使」を認めている。
 ●日本側の主張「韓国側の主張は国際法上あり得ない」
 ↓
 ●「裁判による権利行使」を認めないということの方が、むしろ国際法上あり得ない。
◆徴用工問題は「解決済み」ではなかった
 以下、順に解説していこう。徴用工裁判での韓国・大法院の判決に、「解決済みの問題を蒸し返した」「ちゃぶ台返し」「国際法上ありえない判断」など日本の政府関係者やメディアは一様に猛反発した。
 徴用工問題についての安倍政権の見解は、「1965年の日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決している」というもの。だが、これはあくまで国家の権利である「外交保護権」のこと。
 山本弁護士は「日韓請求権協定によって放棄されたのは『外交保護権』であって、個人の請求権は消滅していません」と指摘する。「外交保護権」とは、外国によって自国民の身体・財産が侵害された場合、その侵害を自国に対する侵害として、国家が相手国の国際法上の責任を追及すること。
 これに対し「個人の請求権」とは、被害者が加害者を直接、裁判等で責任追及するもの。実際、日韓請求権協定が締結された当時の政府刊行物『時の法令』別冊やその後の国会質疑(1991年8月27年柳井俊二・外務省条約局長)などでも「放棄されたのは『外交保護権』」、「『個人の請求権』は消滅していない」とされている。
 最近でも河野太郎外務大臣及び、外務省の三上正裕国際法局長が同様に答弁している(2018年11月14日衆院外務委員会)。
◆個人が加害企業を訴えることはまったく問題ない
 「個人の請求権」が有効なのであれば、元徴用工である被害者が、加害者である日本企業を訴えることはまったく問題ないはずである。だが、上記した河野外相及び三上国際法局長が答弁したように、日本政府は「『個人の請求権』は消滅していないが、法的に救済されない」との立場を取っている。
 その根拠とされているのが、西松建設による中国人強制連行・強制労働訴訟、中国人慰安婦訴訟に対する最高裁判決(共に2007年4月27日)。山本弁護士は「これらの判決では、独自の『サンフランシスコ平和条約の枠組み』論を展開しています」と語る。
 「この『枠組み』論は、平和条約締結後に混乱を生じさせる恐れがあり、条約の目的達成の妨げとなるので、『個人の請求権』について民事裁判上の権利を行使できないとするというものです。日中共同声明や日韓請求権協定も『枠組み』に入るものとして、日本政府側は『個人の請求権』を裁判で行使できないものと解釈するようになりました。しかしサンフランシスコ平和条約には、『個人の請求権』について民事裁判上の権利行使をできないようにするとは、どこにも書いていません」(山本弁護士)
◆中国人被害者と西松建設は和解
 そもそも、第二次世界大戦後の連合国と日本の講和条約であるサンフランシスコ平和条約には、中国も韓国も参加していない。
サンフランシスコ平和条約の『枠組み』が、同条約を締結していない国々にもその効果が及び、戦争被害者から民事訴訟による解決機能を奪うことは無理があります。2007年の最高裁判決では、その根拠を『サンフランシスコ条約の重要性』としか述べませんでした。これは、法的説明を放棄したという他ありません」(同)
 また、2007年の最高裁判決は「個人の請求権」を完全否定したわけではない。
「判決は“任意の自発的な対応を妨げられるものではない”としており、この判決をもとに、強制連行・強制労働の中国人被害者と西松建設は和解しています」(同)
 つまり、「枠組み」論に基づく「日韓請求権協定によって『個人の請求権』は権利行使できない」という日本政府の主張は、法律論とは言い難い主張だというわけだ。
◆「国際法上あり得ない判断」は日本側の対応!?
 元徴用工の人々に対する賠償を支払うよう、日本企業に命じた韓国・大法院の判決について、安倍晋三首相は「国際法に照らしてあり得ない判断」だと批判。日本のメディアもこれに同調した。
 だが、山本弁護士は「韓国では条約を解釈する権限は大法院にあり、大法院は条約法に関するウィーン条約の元となった慣習国際法に依って解釈しています。ですから、その判断は”国際法に照らしてあり得ない”ものではありません」と指摘する。
「しかも、日本は世界人権宣言10条、国際人権規約14条に定められた、裁判を受ける権利を保障するという国際法上の義務を負っています。訴訟によって請求できないとする日本側の主張こそ、国際法に照らしてあり得ないものです」(同)
 徴用工問題をめぐって、安倍政権は国際司法裁判所に提訴する方針だが、それこそ日本の恥を世界に晒すことになりかねないのだ。
◆冷静かつ事実に基づいた論議が必要
 徴用工問題への安倍政権やメディアの逆ギレぶりは滅茶苦茶だ。
 「『徴用工問題については韓国政府が処理することを約束したはずだ』という日本政府やメディアの批判は曲解です。韓国政府が制定してきた国内の戦争被害者への支援法・条例は日韓請求協定によるものではなく、あくまで『人道的見地』『国民和合』のためのもの。
 韓国政府に大法院への“対処”を要求する日本政府やメディアの言説は、三権分立を無視しています。被害者個人と民間企業の訴訟に介入して支払や和解を妨害したり、事実に基づかない批難を繰り返したりということはあってはならないことでしょう」(山本弁護士)
 山本弁護士が「鹿島建設西松建設が中国人被害者と和解し、謝罪したように、韓国の徴用工問題においても同様の解決は十分可能でしょう」と語るように、今の日本に必要なのは、あくまで加害側であることを自覚した振る舞いだ。植民地支配や人権侵害に対する反省を踏まえ、感情論ではなく冷静に事実を受け止める。その方が日本にとっても望ましい道なのだ。
 【ニュース・レジスタンス】文/志葉玲(ジャーナリスト)」
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4月29日12:43 msnニュース 共同通信社「元徴用工ら日本企業を追加提訴 韓国、54人が9社に賠償請求
 © KYODONEWS 記者会見する元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員らの遺族と、訴訟を支援する原告弁護団=29日、韓国・光州(共同)
 【光州共同】韓国で元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員らの訴訟の原告弁護団や支援の市民団体が29日、南西部光州で記者会見し、元徴用工や遺族計54人が三菱マテリアル三菱重工業西松建設など日本企業計9社に損害賠償の支払いを求める訴訟を同日光州地裁に起こしたと明らかにした。
 同種の訴訟で日本企業の敗訴が続く流れを受けての追加提訴の一環で、今月4日にも別の原告団が、元徴用工や遺族ら計31人が日本コークス工業(旧三井鉱山)など日本企業4社に対する訴訟をソウル中央地裁に起こしたと発表している。
 光州の市民団体は3月25日から4月5日まで追加訴訟参加者を募集していた。」

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