☲18〕─3─1939年7月29日、内務省・厚生省の両次官が出した地方長官宛通牒『朝鮮人労働者内地移住に関する方針』〜No.53No.54No.55 ⑫ 

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 2020年4月14日 msnニュース NEWSポストセブン「『反日種族主義』著者「徴用工問題の根幹に史実の歪曲あり」
 © NEWSポストセブン 提供 文在寅大統領は歴史とどう向き合っているのか(写真/EPA=時事)
 いまだに日韓で解決の兆しが見えない徴用工問題。なぜ韓国でここまで問題にされるようになったのか。ベストセラー『反日種族主義』の著者が、日本のジャーナリスト・赤石晋一郎氏の取材に、意外な真相を明かしていた。
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 徴用工問題のルーツとなったのは、ある政治的な意図を持った学者の研究だった、と『反日種族主義』の著者の一人であり、労務問題を専門とする李宇衍氏は言う。日韓対立における最大の障壁のひとつとなっている徴用工問題。その歴史的背景には何があったのか。
「1965年、国交正常化を目指した韓日基本条約が妥結する直前、朝鮮総連はこの動きに強く反対をしていました。韓国と日本が手を結べば、北朝鮮が包囲されてしまうと考えたためです。そこで日本は悪いと主張し、国交正常化を難しくする必要があった。
 そうして書かれたのが朝鮮総連の学者である朴慶植氏による『朝鮮人強制連行の記録』(1965年)でした。その本の内容は1939年以降、朝鮮人が強制連行され強制奴隷労働をしたと主張したものです。この言説は刊行から50年が過ぎたいまでも韓国内では『常識』として捉えられており、歴史学会においても通説とされている。韓国研究者、日本の良心的な知識人も同じ主張をしています。
 じつは彼の本は歴史資料によって深く検証されたことがないのです。私は資料を検証し、多くの事実が歪曲されていたことを発見しました。
 例えば朴慶植氏は、朝鮮人朝鮮人であるという理由だけで、同じ作業をしている日本人より低い賃金を受け取っていたと主張しています。その根拠となっているのが『北海道D炭鉱民族別の賃金分布』(労働科学研究所)という資料です。
 表を見ると50円以上の賃金を受け取っているのが日本人の場合82.3%であり、一方で朝鮮人は50円未満が75.0%を占める。これだけ見ると確かに朝鮮人の賃金が低かったように見える。
 しかし、労働科学研究所の資料には別の資料も掲載されていることを私は発見しました。『北海道D炭鉱民族別勤続年数分布』という資料です。これを見ると朝鮮人の勤続年数は2年未満が89.3%である一方で、日本人は2年未満が42.8%、2年以上が57.2%に達します。炭鉱労働は勤続年数が作業効率に直結する仕事です。ですから熟練度が高い労働者ほど賃金が高かったのは必然だったといえる。
 また単身で渡航してきた韓国人労務者が多かった一方で、日本人労務者は家族がいるケースが多く、労働時間が長いためそのぶん賃金が高かったということもあった。
 当時の日本政府も差別には批判的でした。1939年7月29日に内務省・厚生省の両次官が出した地方長官宛通牒『朝鮮人労働者内地移住に関する方針』では、日本人雇用主に朝鮮人労働者の処置については、出来うる限り内地人労働者との間に差別がないようにすることを謳っているのです。
 朴慶植氏はこうした背景を意図的に無視して、『北海道D炭鉱民族別の賃金分布』の資料だけをもって『朝鮮人差別だった』と主張しているのです。こうした事実を明らかにするために、私は2017年に『戦時中日本へ労務動員された朝鮮人鉱夫(石炭、金属)の賃金と民族間の格差』という論文を書きました。
 私は労務動員問題を研究していくなかで多くの文献、日本で所蔵されている公的資料を読み研究を重ねてきました。そこで確信を得たのが労務動員、そして徴用工問題では多くの史実が歪められてきたという事実でした」
*赤石晋一郎著『韓国人、韓国を叱る』(小学館新書)より抜粋
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 [文献名] 朝鮮人労働者内地移住問題 [収録雑誌]
 高等外事月報 [作成年月日] 1939 年 8月
 [原本所蔵機関] 東京経済大学桜井義之文庫 [復刻等]
 1989 年に「十五年戦争極秘資料集 第六集」として不二出版から復刻。
 また、 東京経済大学図書館・デジタルアーカイブでも公開。

 朝鮮人労働者内地移住問題
本問題に関してかねてより本府と内地関係各省との間に種々折衝中なりしが、今般左記の通方針の決定を見、更に本方針実施に伴う鮮内募集並び渡航取扱要綱(左記)を定めら れ、それぞれ各道に詳細通牒せられたり。
 (一) 朝鮮人労働者内地移住に関する方針(内地朝鮮共通)
 一、募集により内地に移住せしむべき朝鮮人労働者の数は、毎年度労務動員計画に示 さるる数を限度とすること。
 二、朝鮮人労働者の内地移住については、いわゆる縁故雇入による移住の該当分の内 募集雇入により移住を認むること。  
 三、募集による移住朝鮮人労働者は思想堅実、身元確実、身体強健にして、なるべく 国語を解し所轄警察署長において内地渡航支障なしと認定したる者に限ること。
 四、移住朝鮮人労働者の募集主は、乗船地所轄警察署長に朝鮮総督府令労働者募集取 締規則による応募者名簿を提示し、渡航の査証を受くること。
 五、募集による移住朝鮮人労働者は、すべてこれを時局産業(労務動員実施計画によ る産業をいふ)に従事せしむること。
 六、募集による移住朝鮮人労働者は、産業の種類及性質により無期限移住者と期限付 移住者との二種とすること。
 七、朝鮮人労働者の処置については、できうる限り内地人労働者とに間に、差別なか らしむると共に、その福利施設についても十分考慮すること。
 八、事業の縮小または中止終了等の場合における朝鮮人労働者の措置については、極力内地においてこれが転職の斡旋その他適当なる対策を講ずると共に、内地人同 様帰郷、海外への移住等を奨励すること。
 九、いわゆる縁故雇入による労働者の内地移住の取扱は従来通りとすること。
 十、本要綱実施のため必要に応じ、内鮮労務調整協議会を設置すること。
 (二) 朝鮮人労働者募集並び渡航取扱要綱 (朝鮮側)
 第一 募集
 一、朝鮮人労働者内地移住方針同募集要綱に基づく朝鮮人労働者の鮮内募集は、全て大正七年一月府令第六号による労働者募集取締規則に基づき事前に総督または道 知事の許可を要するものとす。
 二、募集取扱については内地における労務動員の緊急性に鑑み、なるべく迅速に之を 取り扱うの要あるに付き、左記によること。
 (一) 同規則第一条に基づく所定の願書は、規則第十条による所轄警察署長経由の規定にかかわらず、直接募集地所轄道知事(募集区域二道以上にまたが るときは主なる道知事)に正副五通を提出せしむること。
 (二) 道にありては前記願書を受理し、募集区域その道内に限る場合は願書副本二通を、募集区域二道以上にまたがるときは願書正副三通を受理と同時に 直ちに本府に提出すること。
 三、内地庁府県の募集雇人に関する承認は、庁府県より直接本府に通報あるはずに付 き、本府及び道にありては、左記により取り扱うこととす。
 (一) 募集区域二道以上にまたがるものについては、前記二の(二)により、道は願書を本府に提出後かなり速やかに拒否に関する意見を追報(願書副本一通を更に添付)し、本府はこれが内容を審査し支障なしと認めかつ内地庁府県より募集雇入を承認する旨の通報ありたるものに付き募集許可をなし、その旨関係道に通牒するものとす。  
 (二) 募集区域一道内に限るものについては、本府は前記内地庁府県の募集雇入承認の通報を直ちに当該道に移牒すべきを以て、道に在りてはこれが移牒をまち許否意見を 附し(願書副本一通を更に添付)本府に経伺すること。
 四、募集者並びに募集従業者に対しては、規則の各取締条項を厳守せしむること。
 五、労働者は主として干害地の(京畿・忠南北・全南北・慶南北)罹災民を差し当た り募集せしむること。
 六、募集者または募集従事者は募集したる朝鮮人労働者名簿(本籍・住所・職業・氏名・年齢を記載すること)を募集地所轄警察署長に提出し、同署長において『思想堅実・身元確実・身体強健にしてなるべく国語を解し内地渡航支障なし』と認 定したる者につき渡航せしむること。
 七、募集者において医師による身体検査を希望する向きについては、募集者の費用をもって公医または適当なる医師を指定し、警察官立ち会いの下にこれを実施せし むること。 第二 渡航
 一、 渡航については集団的にこれを行わしめ、募集者または責任ある代理者をしてこれを引率せしめ、場合によりては更に分隊(または班)を編成し責 任者を定め置くこと。
 二、 応募者の被扶養家族は訓練期間中(渡航後三ヶ月)は渡航せしめざること。
 三、 募集者より渡航出発前規則第五条による応募者名簿及び応募者の輸送方法を記載したる届書各二通を募集地所轄警察署長に提出せしめ、同署長は応募者を調査し認定者以外の者なきや、または雇人契約事項が出願の際提出せる契約事書案と一致せるや否や、携帯品中危険物品なきや輸送上支障な きや等に付き注意すること。 支障なきときは前記名簿及届書各一通の末尾に募集地所轄警察署長において『右の通り相違なき旨』の奥書査証をなし直ちに乗船地所轄警察署長 に送付連絡すること。
 四、 応募者内地に向け渡航せんとするときは、その出発前渡航後の心得別紙 (甲)を募集地所轄警察署長において厳重注意しおくこと。
 五、 募集による渡航労働者は個人別渡航紹介状を要せざること。
 六、 応募者の被扶養家族にして、応募者の訓練期間(渡航後三ヶ月)経過後内地渡航出願に対しては、別紙様式(乙)による被扶養家族渡航紹介状を迅 速に発給し渡航せしむること。
 七、 募集者応募者を内地に向け渡航せしめんとするときは、輸送方法並び乗船地名・乗船人員・出発期日・時間を予定し応募者名簿二通及び募集許可写真を添付し、出発期日三日前までに乗船地所轄警察署長に届出をなさしむ ること。
 乗船地または出発期日・時間を変更したるときまた同じ。
 八、 乗船地所轄警察署長は前項の届出により事前に輸送上支障なきや否やを調査し、かつ渡航に際しては応募者中名簿記載以外の者なきや要警戒人物の混入なきや携帯品中危険物品なきやその他警察上必要事項を調査し、支障なきときは右名簿中の一通末尾に『右の通り相違なき旨』を奥書査証し、 引率責任者に交付し乗船せしむること。
 九、 募集者中借上船舶により応募者を輸送せんとする者は、予めその船舶によ る輸送方法の詳細を乗船地所轄警察署長に届け出しむること。 乗船地所轄警察署長は、前項の届け出により輸送による支障の有無を事前 に十分調査し、支障なきものにつきこれが輸送を認むること。

第三 通報連絡
 労働者の募集及び渡航については、鮮内における募集地輸送経過地及び乗船地各所轄道間と、右各所轄警察署間並びに乗船地所轄道及び所轄警察署と、内地における下船地、就 業地各所轄庁府県及び各所轄警察間の連絡を充分ならしむること。

別紙(甲) 応募労働者の内地渡航後の心得
 一、時局産業に従事しもって国家に貢献せんとするものなることを認識し、その責任の 重大なることを自覚し、率先して内鮮一体の促進に努力すべきこと。
 二、内地渡航後は所定の訓練所に入所し訓練を受くべきこと。
 三、職場の変更はみだりにこれをなさざること。
 四、協和会に加入しその会員章を所持すべきこと。
 五、住所を変更したる時は、五日以内に協和会に届出づべきこと。
 六、妻帯者といえども訓練中は妻子を呼寄すことを得ざること。
 七、内地の生活風習に順応し、内地人の嫌悪するがごとき所為なさざること。
 八、言語はなるべく早く国語に習熟しこれを使用すること。
 九、賃金は生活費に必要なる額以外はこれを貯蓄すべきこと。
 十、公租、公課、家賃等の滞納は必ずこれをなさざること。
 十一、 学齢に達したる子女は必ず就学せしむべきこと。
 十二、 その他協和会幹部、警察官及び職業紹介所職員の指示に服すべきこと。

 別紙様式(乙) 第 号
被扶養家族渡航紹介状
 表
 本籍
 住所
 扶養義務者との続柄氏名年齢
 扶養義務者の住所職業氏名
 行先地
 標準規格列B大番 縦 182mm(6 寸) 横 128mm(4.2寸)

右者扶養義務者は募集により内地に移住したるものにして家族の渡航支障なきものにつ き紹介す。
   年 月 日
  取扱責任者 ○ 印
 道警察署長 職印
 離鮮地{釜山水上麗水・清津等}警察署長 宛

 裏
注意
 一、 本紹介状は渡航者本人これを携帯すること。
 一、 本紹介状を他人に譲渡または貸与せざること。
 一、 本紹介状を亡失または紛失したるときは、直ちに発給警察署または警察官駐在所 に届け出ること。

 注意
 本紹介状は複写用紙により所用事項を記入し、写を控として保存しておくこと

 (三) 朝鮮人労働者募集要綱(内地側)
 第一 方針 朝鮮人労働者を募集により朝鮮より内地に移住せしめて使用する事業は時局産業(労務動員実施計画による産業をいう)に限るものとしその取扱はおよそ本要綱によるものとす。
 第二 申議
 一、朝鮮より労働者を募集雇入せんとする雇用主は左記事項を記載したる朝鮮人労働者
募集雇入願正副五通を就業地を管轄する職業紹介所を経由して地方長官に提出する ものとす。
 (ー)募集せんとする者の本籍・住所・氏名・年齢、法人なるときはその名簿、主たる 事務所の所在地及び理事その他の法人の業務を執行する役員の氏名
 (二)朝鮮人労働者を募集せんとする理由(事業の繁忙の事情、労働者の不足状況その
対策として採りたる方法 内地労働者を募集し所期の目的を達成せざりし事情等の詳 細) (三)移住労働者の従事すべき事業の種類並びに事業場の所在地及び名簿
 (四)移住労働者の従事すべき事業に現に従事する従業者数(性別及び内地人・朝鮮人 別)
 (五)移住労働者の従事すべき作業の内容
 (六)移住労働者の数(独身者家族特別希望数)
 (七)朝鮮における募集区域及び募集期間並びに募集方法
 (八)引率及び保護方法
 (九)移住労働者の就業時間・休憩時間・休日及び夜間作業に関する事項
 (十)賃金その他の給与及びその支給方法並びに賄料・入浴料・寝具その他日常生活に 要する費用の負担方法
 (十一)制裁の定あるときは之に関する事項
 (十二)住宅及び訓練所設備の状況
 (十三)福利施設及び補導方法
 (十四)雇用期間及び解雇に関する事項並びに帰郷旅費の負担方法
 (十五)負傷・疾病または死亡の場合における扶助救済の方法並びに父母兄その他の者 の往復に要する旅費の負担方法
 二、前項願書を受理したる職業紹介所はその内容を審査し関係警察署に副本一通を送付して協議し支障なしと認めかつ内地労働者をもって要員を充足すること困難なりと 認むるときは副申を附して正副三通を庁府県に進達するものとす。
 三、庁府県においては外務部において労務需給調整及び協和事業の見地より警察部において保安の見地よりそれぞれこれを審査し支障なしと認むるときは更正省に稟議したる上募集雇人を承認するものとし同時に朝鮮総督府に対し願書副本一通を添付してその旨通報するものとす。 四、地方長官必要ありと認むるときは移住朝鮮人の保護のため所定の誓書を徴しまたは 必要なる金額を雇用主をして供託せしむることを得るものとす。
 第三 渡航
 一、募集による移住朝鮮人労働者は思想堅実・身元確実・身体強健にしてなるべく国語
を解しかつ朝鮮の居住地を管轄する警察署長において内地渡航支障なしと認定した る者に限るものとす。
 二、渡航については春暖的にこれを行はしめ、必ず雇用主またはその責任ある代理者を
して引率せしむるものとしかつ移住すべき朝鮮人の居住地より就業地までの渡航費 用は雇用主をして負担せしむるものとす。
 三、雇用主または引率者は乗船地所轄警察署長に朝鮮総督府令労働者募集取締規則によ る応募者名簿を提示し渡航の査証を受くるものとす。
 四、雇用主または引率者は予め移住朝鮮人名簿を下船地及び就業地を管轄する各警察署 長・職業紹介所長及び関係協和事業団体にそれぞれ提出しおくものとす。
 五、内地下船地及び就業地を管轄する警察署及び職業紹介所は朝鮮における乗船地を管 轄する警察署と渡航に関し十分の連絡を採るものとす。
 六、内地下船地及び就業地を管轄する警察署、職業紹介所及び関係協和事業団体は密接 なる連絡を採り移住に関し必要なる保護方法を講ずるものとす。
 第四 到着後の措置
 一、移住朝鮮人就業地に到着したるときは雇用主は速やかにその就業地を管轄する警察署長・職業紹介所長及び関係協和事業団体に移住労働者の本籍・氏名・年齢並びにその 家族の氏名・続柄及び年齢を報告するものとす。
 二、移住朝鮮人については雇用主はその就業地を管轄する警察署・職業紹介所及び関係協和事業団体の指示に従い特に作業指導・訓練・生活補導・その他の保護方法を講ずる ものとす。
 三、雇用主は移住朝鮮人の移動、重大なる負傷・疾病または死亡等の事実につきその事情を即刻就業地を管轄する警察署長・職業紹介所長及び関係協和事業団体に報告するも のとし解雇については警察署長の承認を要するものとす。
 四、雇用主は毎月末現在をもって移住朝鮮人の労働状況・賃金の状態・生活状況を地方長 官に報告するものとす。
 五、移住朝鮮人に対しては関係協和事業団体より直に会員章を交付し常時これを携帯せし むるものとす。 会員証記載事項及び交付手続きについては別に関係協和事業団体においてこれを定む るものとす。 六、雇用主関係官庁の指示する所に違背したるときは事情により自今朝鮮人労働者の新規 募集を認めざることをえるものとす。
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