☵52〕─1─韓国軍が隠している主敵は日本・自衛隊である。~No.437 

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 2020年9月16日06:00 Microsoft News PR Microsoft ニュース
「軍事費は日本以上、攻撃的軍拡に舵切った韓国
軍事情報戦略研究所朝鮮半島分析チーム 2020/09/16
共同訓練に参加した韓国の強襲揚陸艦「独島」に敬礼して敬意を示す米海軍の兵士(2015年10月23日、米海軍のサイトより)© JBpress 提供 共同訓練に参加した韓国の強襲揚陸艦「独島」に敬礼して敬意を示す米海軍の兵士(2015年10月23日、米海軍のサイトより)
 韓国国防部が今年の8月に公表した国防中期計画(2021~2025年)によれば、韓国は、今後5年間で約27兆円を軍備に投じる。
 海軍では、3万トン級の小型空母、4000トン級原子力潜水艦、新たなイージス艦3隻および国産小型イージス艦6隻を海軍に追加するという壮大な計画である。
 保有している2隻の独島級強襲揚陸艦を改修すれば、3個空母群を編成できるとする見方もある。
 韓国軍のうち、特に海上兵力の増強が著しい。これらは、北の南侵を阻止するための防勢兵器というより攻勢的で外洋で作戦する兵器である。
 高価であり、軍事目的に使用される兵器が持つ能力は、その国家の軍事的な意志を明確に表わすものだ。
 近い将来に、高価で、南侵阻止ではない作戦に使用される兵器を持つということは、隣国の日本としても警戒する必要がある。
「韓国が何のために攻勢的な兵器を装備しようとするのか、主敵を変更し、新たな軍事戦略を構築しているのではないか」といった大きな疑問が生じていきている。
 では、実際はどうなのか。その現状・能力・脅威認識・軍事戦略について分析し評価する。
 購入する兵器で軍事戦略が読める
 その国の軍事力の現状およびその整備の方向性を分析すれば、その国の軍事的な意志、具体的には、どのような脅威認識を持っているのか、どの国を主敵としているのか、数か国(多正面)対応なのかなどを読み取ることができる。
 特に、保有する兵器によって、戦い方が大きく変化する。
 従って、保有する兵器の能力と運用を考察すると、主敵となる国、軍事戦略の変化が具体的に分かる。
 防勢的な兵器から攻勢的な兵器へ、地上戦主体から海上戦重視へ、短距離攻撃能力から長距離攻撃能力の保持へ、沿岸防衛力から外洋作戦力の保持に変更が見られた場合には、それに注目し、「なぜか」と疑問を持って、その理由を解明しなければならない。
 一般的に国防力の整備には長期間を要する。
 相手の軍事力の脅威が顕在化してからでは、国民の生命財産を脅威にさらす可能性がある。周辺国の軍事力整備の動向には常に意を払っておかなければならない。
 通常、仮想敵国となる国々については、注目して分析するが、同盟国とみなす国については、分析の対象としない。
 韓国は、米国と同盟を結んでいる。日本にとって、「味方の味方は、味方」という認識があり脅威と考えている専門家は少ない。
 このため、韓国の軍事戦略や装備に対する関心は低い。
 しかしながら、文在寅政権となってから、今までの政治、外交的対立のみならず、防衛関係者の信頼関係も大幅に低下している。
 このような状況下で韓国が軍事戦略を大幅に変更したということは、隣国として注目する必要がある。
 弱まった北朝鮮と中国への脅威認識
 朝鮮戦争開始時の韓国軍は極めて貧弱な装備しか保有せず、一方的に北朝鮮軍に蹂躙された。
 米国をはじめとした国連軍の本格的な介入がなければ、韓国は消滅し、金一族独裁政権の朝鮮に統一されていたであろう。
 1953年に締結された米韓相互防衛条約前文には「太平洋地域における平和と安全保障のために協力する」こととされているが、米韓同盟の戦略的目標は北朝鮮に対する抑止と韓国の防衛が具体的目標であった。
 9.11後の新たな戦略環境、中国軍の活動活発化、そして米国自身の軍トランスフォーメーションなどの影響を受け、米韓同盟も新たな戦略目標の策定が課題となってきている。
 日米同盟同様に、国際公共財として「戦略的柔軟性」を持つことが期待されている。
 このような中で、米韓の脅威認識のずれが顕在化しつつある。その一つが北朝鮮であり、もう一つは中国である。
 文在寅政権は南北融和を推進、2018年4月の板門店宣言およびこれに引き続き南北軍事合意を締結した。
 軍事合意では大規模演習について南北で協議するとしており、大規模な米韓合同軍事演習は2年間以上行われていない。
 さらに在韓米軍駐留経費増額交渉の行き詰まりから、米国のドナルド・トランプ大統領が在韓米軍を削減するのではないかとの噂も広がりつつある。
 北朝鮮に対する抑止力としての米韓連合軍の弱体化が進んでいる。
 中国問題はさらに深刻である。
 2015年に当時の朴槿恵大統領は、米英などの指導者級が参加しないなか、中国主催の「抗日戦勝70周年」式典にロシアのウラジーミル・プーチン大統領とともに出席した。
 また、2017年10月には文在寅大統領訪中の事前交渉において、次の「3つのノー」と言われる中韓合意文書を公表している。
●米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない。
●日米韓安保協力を軍事同盟に発展させない。
●THAAD(終末高高度防衛ミサイル)の追加配備は検討しない。
 この3つは、自国の防衛力や米韓の同盟関係を弱め、中国におもねる内容になっている。
 北朝鮮および中国に対する脅威認識の差は、米韓連合軍の運用に大きな影響を及ぼす。
 米中対立が激化しつつある状況下において、在韓米軍の韓国以外における活動に協力しないどころか、在韓米軍の活動に何らかの制約を加えるようなことがあった場合、米韓対立は深刻化し、最終的には同盟の解消にまで及びかねない。
 主敵意識は北朝鮮から日本へ
 文在寅政権発足後、「今の青瓦台が中・長期戦略に基づいて、安全保障政策を推進しているのか疑わしい」との意見をよく聞く。
 しかしながら、中・長期戦略に基づき外交・安全保障政策を推進していないのは文在寅政権だけではない。
 韓国政治は国民感情をあおって政権につき、その国民感情に引きずられ身動きが取れなくなるという傾向がある。
 国防白書における北朝鮮に対する脅威認識も政権によって大きく変化する。
 1990年代までは北朝鮮は「主敵」と表現されていた。金大中政権以後、革新政権では敵という言葉が削除され、保守政権では復活するという状況が継続している。
 文在寅政権が初めて示した2018国防白書では、前回、朴槿恵政権下の2016年版にあった「北韓の政権と軍は我々の敵である」という記述が削除された。
 それに代わって、「主権と領土、国民、財産を威嚇して侵害する勢力を敵と見なす」とする記述が新たに盛り込まれた。
 6隻の国産小型イージス艦の建造に関し、韓国の報道に極めて興味深いものがあった。
 その内容は、「海軍は北朝鮮の脅威だけでなく、中国の北海艦隊、東海艦隊、日本の海上自衛隊の2個護衛艦隊(機動艦隊)による脅威も考慮し、適切に対処できる戦力の整備を進めている」(注:同記事は削除され現在では確認できない)というものであった。
 日韓関係を見た場合、国際観艦式における旭日旗掲揚問題や哨戒機に対する射撃管制レーダー照射問題など、外交関係以上に防衛関係者の相互信頼が低下している。
 竹島領有権に関し対立している日本が「敵」とみなされるのは当然であろう。
 すでに日本を敵と見なした装備計画
 令和2年度防衛白書等によれば、韓国軍は総兵力約60万人、陸軍兵力約46万人、戦車等約2800両、海軍艦艇約240隻、25.5万トン、海兵隊約2.9万人、空軍作戦機約620機である。
 北朝鮮という脅威に対し、陸上兵力が中心であり、沿岸防備のため小型艦艇を多く保有するのは国防力整備の観点から当然だ。
 ところが、2008年以降満載排水量1万トンを超えるイージス艦を3隻、2007年に2万トンに近い揚陸艦、『独島』を就役させた。
 これらの海軍兵器は、従来の対北朝鮮用兵器の概念を覆すものであり、どのように運用しようとしているのか疑問を生じさせる。
 日本の防衛関係者の中には「運用構想などない。単に日本が持っているよりも少しでも大きいものを持ちたい、というだけであろう」と述べる者もいたほどである。
 事実、韓国イージス艦の搭載ミサイルは「SM-2」のみであり、弾道ミサイル対処能力は保有していない。
 北朝鮮や中国の弾道ミサイルに対応できないことから、イージス艦の高度な洋上防空能力をどのようなシナリオで運用しようとしているのか不明である。
 米海軍は11隻の原子力空母を保有し、平時から米国国益に係る海域において継続的にプレゼンスを示す任務を果たしている。
 海洋を利用した柔軟な兵力投射能力の中枢としての空母の役割は大きい。
 さらに、空母には海洋権益保護の象徴という側面がある。広い排他的経済水域EEZ)を保有している米国、フランス、ロシア、英国が空母を保有している。
 2隻目の空母を就役させた中国のEEZは日本よりも小さい。韓国のEEZは周辺海域の約47.5万平方キロに過ぎず、日本の約10分の1である。
 空母を保有しなければならないほど広範囲の海洋権益を持っているとは言えない。
 軍事力の整備にあたっては、一般的に、仮想敵国を想定するものではないとしつつも、具体的脅威に対し備えるのが常識である。
 韓国軍が北朝鮮を想定し、「三軸体系」として「キルチェーン」、「韓国型ミサイル防衛」および「大量反撃報復」能力を整備してきたのは、その観点から説得力を持つものであった。
 韓国の保有する弾道ミサイルの射程が、韓米協定の改定に伴い800キロとされ、西日本が射程内となったが、日本でそのことを危惧する意見も皆無であった。
 しかしながら、米韓同盟の見直しが進み、韓国の安全保障戦略北朝鮮一辺倒から多極化する過程で、韓国が日本の脅威を強調し、対北戦略として全く不要な小型空母や原子力潜水艦の建造を進めることは、「日本を主敵とした軍事戦略である」と見るのが妥当であろう。
 韓国空母機動部隊の能力と狙い
 韓国中央日報によれば、「韓国空母機動部隊は、小型空母、イージス艦2~3隻、小型国産ミニイージス艦2~3隻および原子力潜水艦で構成される」という。
 空母機動部隊の能力は、満載排水量4万5570トンの米強襲揚陸艦(LHA)が「F-35B」を16~20機程度搭載可能であることから、韓国小型空母のF-35B搭載機数は同程度と考えられる。
 カタパルトやスキージャンプ台を装備しない空母の航空機運用能力は低く、同時運用能力は搭載機数の3分の1程度の5~6機とみられる。
 空母防空用のCAP(Combat Air Patrol)所要を考慮すると、対地攻撃や対艦攻撃に充当できるF-35Bは数機になる。
 つまり、韓国の小型空母は攻撃力がきわめて限定的なのである。
 随伴する原子力潜水艦やイージス駆逐艦は、巡航ミサイルによる対地、対艦攻撃能力を保有し、空母の護衛が主任務となる。
 しかし、艦載の早期警戒機を保有しておらず、敵戦闘機情報の入手に欠け、防空能力は限定的である。
 また、随伴駆逐艦、潜水艦および搭載ヘリコプターによる対潜能力を保有する。
 しかしながら、対潜戦の特性上、攻撃を企図する潜水艦を完全に排除することは困難と考えられる。
 韓国空母機動部隊は、北朝鮮のほか、竹島または離於島(イオド)領有権問題対処、さらには将来的にはインド洋までの海上交通線防御を視野に入れているとされている。
 米原子力空母と比較すると、圧倒的に防空能力が低い。このため、味方の航空優勢圏下または航空機による脅威が低い海域で運用すべき兵器といえる。
 日本海東シナ海および南シナ海は、地上航空機や潜水艦の脅威が高く、空母の航空機を活用するメリットよりも、空母護衛のために兵力を割かなければならないというデメリットの方が大きいと考えられる。
 韓国空母機動部隊は、韓国の威容を日本に見せつけるための空母という位置づけでよいであろう。
 突然「敵」になりかねない韓国
 日韓関係は、政治分野のみならず経済、さらには安全保障分野においてもその不信感は拡大の一途を辿っている。
 このようななか、韓国国内では、小型空母保有への反対論もある。
 その主な内容は、韓国が従来の国防装備に加え、小型空母の建造および運用に係る莫大な経費負担、さらには、前述したように、その費用対効果への疑問があるからだ。
 韓国の2020年度国防費は前年比7.4%増の50兆1527億ウォン(約4兆7101億円)である。
 これは、日本の防衛予算5兆3133億円とほぼ同じである。
 今回決定された小型空母やF-35Bの購入を加えると、今後日本を上回るのは確実である。日本と比較するとGDP国内総生産)が3分の1、国民数が約半分の韓国が日本と同等以上の国防費を支出している計算となる。
 韓国国民は壮大な軍事力整備のために、大きな犠牲を払っているのだ。
 小型空母や原子力潜水艦の建造を決定しても、軍事費の負担に耐えられないなどの状況の変化に応じ、性能低減(スペックダウン)や、運用経費削減のため稼働率が低下することが予想される。
 現時点で、揚陸艦「独島」の稼働率の低さは有名であり、搭載している発電機4機すべてが使用不能となり、洋上を漂流した事故も伝えられている。
 韓国が日本を脅威と捉え、防衛力を整備していくことは韓国の権利であり、これを止める手段はない。
 とはいえ、ここまでして、攻勢的で外洋で戦う準備を進める韓国軍の動きには、注意が必要であり、自衛隊が常時行っている警戒監視活動の対象には韓国を加えるべきである。
 ナポレオンは「真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である」という名言を述べたが、本当に恐れなければならないのは何時敵に転ぶか分からない味方であろう。」
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