☵68〕─1─2030年、韓国は三流国並に落ちた日本を抜いて豊かな国になる。~No.497No.498No.499 

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 2022年1月13日 MicrosoftNews ダイヤモンド・オンライン「2030年までに韓国に抜かれる日本、「逆転」のため今やるべきこと
 © ダイヤモンド・オンライン 提供 韓国は1人当たりGDPで日本を追い越そうとしていて、このままではその後も差は広がる。日本が「逆転」できるかの鍵は?(写真はイメージです) Photo:PIXTA
 韓国はさまざまな指標で
 日本より「豊かな国」になる
 韓国はこれまで高い経済成長率で日本との差を縮めてきた。そして、いま日本を追い越そうとしている。
 成長率の高さから見て、どのような指標でも韓国は日本より豊かな国になり、今後、日本との格差を広げていくだろう。
 同じことが台湾についても言える。韓国と台湾はドル換算の1人当たりGDPでほぼ同程度の水準だ。台湾も高い成長率で日本の水準に近づき、いま日本を追い越そうとしている。
 しかし、韓国も台湾も産業構造で製造業の比率が高く、輸出に対する依存度が高い。経済全体の情報化が進みつつある世界のなかで、必ずしも未来型の産業構造とは言えない。このような構造の国が将来も成長を続けられるかどうかは疑問だとする意見もある。
 また、人口高齢化に伴う労働人口増加率の低下が成長率を低下させるとの見方もある。事実、韓国の成長率は、ここ数年は鈍化している。
 それでも日本が韓国を今後「逆転」するのは容易なことではない。
 OECD予測の1人当たりGDP
 2030年までには日本を抜く
 以下では、OECD(経済開発協力機構)が公表している2060年までの長期推計を手がかりに、韓国と日本の成長の違いを考えることにしよう。
 図表1は、OECDの2018年ベースライン予測で示されている1人当たりGDP(2010年ドル表示)の推移だ。
 韓国は30 年までには日本を抜いて、さらに成長を続け、日本との差を拡大していく。そして、アメリカの水準に近づいていく。
 韓国の成長率が鈍化するとの意見があるが、OECDの予測は今後も韓国の成長が続くとしているのだ。
 台湾についても、多分、同じことが起こるだろう。ただし、台湾はOECD加盟国でないので、この予測には含まれていない。
 なお、図表1は10年の購買力平価による評価だ。これは、現実の為替市場における為替レートではなく、10年と同じ購買力が維持できるように為替レートが変化した場合の値だ。
 10年はかなりの円高だったので、このときの購買力が将来も続くということはかなりの円高が続くことを意味する。現実には、その後、為替レートは大きく減価しているので、ドル表示の値は小さくなっている。
 したがって、将来の値を市場為替レートで比較すれば、日本の1人当たりGDPはもっと小さくなる可能性が高い。
 なお、OECDは14年にも長期推計を行なっており、1人当たりGDPについての結果を05年の購買力平価で公表している。それを見ると、60年における韓国の1人当たりGDPアメリカとほとんど同じ水準にまでなる。
 18年の予測では、韓国の将来の成長率が14年の推計に比べると低く予測されており、60年の韓国の1人当たりGDPアメリカの 87%程度だ。
 日本の経済停滞の原因は、
 高齢化・労働力減少だけでない
 経済成長には、資本や労働力の投入量、さらには技術進歩などが決定要因になるが、一定の仮定の下で、つぎの関係が得られる。ここで、aは労働分配率を示す。
 (経済成長率)=a(労働力増加率)+(1-a)(資本増加率)+(技術進歩率)
 上式右辺の第2、3項を「資本・技術要因」と呼ぼう。
 以下では、経済成長率、労働力増加率、および資本・技術要因の関係を見る。
 OECDの長期推計では労働力の推計も公表されている。これを用いて労働力の増加率が分かる。
 そこで、上式を用いて資本・技術要因が計算できる。さまざまな実証分析でaの値は0.6程度と推計されているので、ここではaの値を0.6として計算した。
 まず、2000年から20年までを見よう(図表2)。
 ここで、「GDP成長率」とは、00年から20年までの期間の実質GDPの年平均成長率だ。
 日本のGDP成長率は0.85%で、ここに示す国の中で最も低い。
 それは人口高齢化のために労働力が減少したことの反映だ。 日本が低成長から抜け出せない大きな要因がここにある。
 ただし、原因はそれだけでなく、資本・技術要因の値が低いことも大きな要因だ。
 日本の場合、資本増加率がほとんどゼロだ。それに加え、技術革新もなかなか進まず、デジタル技術に対応できていない。
 日本経済停滞の原因は、高齢化のために労働力増加率が低いことだけではないのだ。
 それに対して、韓国のGDP成長率はずば抜けて高い。
 労働力の増加率が比較的高かったことが一要因だが、米英やOECD平均と比べてさほどの差があるわけでない(むしろ、アメリカのほうが高い)。
 韓国の高成長は資本・技術要因
 技術革新が日本の未来を決める
 韓国のGDP成長率が高かったのは、資本・技術要因によるところが大きい。
 資本・技術要因は通常の意味での技術進歩だけではない。教育による人的能力の向上、競争社会の実現、意思決定の迅速化なども含まれる。
 韓国の場合、こうした要因の寄与が大きかったと考えられる
 図表3は、2020年から40年までの予測を示す。
 日本では人口高齢化が今後も40年頃までは続くと予測されているので、労働力の減少も続く。
 OECDの予測では、日本の成長率は過去より高くなる(20年から40年までの平均で実質年率1.1%)とされているが、それでもここに示した国のなかでは成長率が最も低い。
 韓国の労働力の成長率は、今後、減少に転じる。それは出生率が低いからだ。日本ほどではないが、労働力をめぐる条件はこれまでとは違ったものになると予測されている。
 だが、OECD予測によれば、労働力が減るにもかかわらず、経済は成長する。
 40年までの年平均成長率を見ると、韓国が2.2%と最も高い。
 これは資本・技術要因が成長に寄与するからだ。過去に韓国の高度成長を支えた要因が、将来も続くことになる。
 一方、米英の労働力増加率はかなり高い。これは移民の増加を考慮しているのだろう。
 将来を見通す場合、労働力は推計しやすい。結果もかなり正確だ。 しかし、資本・技術要因について将来を見通すのは極めて難しい。
 資本・技術要因の値は、韓国以外では、将来のほうが過去より高くなる。とくに米英がかなり高い。
 日本の資本・技術要因は、これまでの1.10%から将来の1.58%へと、かなり高まると予測されている。これは、ほぼアメリカ並みの値だ。
 ただ過去の値が低いことを考えると、本当にこのように高い値を実現できるのかどうか、疑問なしとしない。
 しかし、OECDが予測する1.1%の成長を実現するには、これが不可欠だ。
 技術革新や規制緩和、組織間の労働力の流動性確保などがどの程度行なわれるかが、今後の日本の成長率を決めることになる。
  (一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)」
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