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2023年8月30日 YAHOO!JAPANニュース RBC琉球放送「かつて『米の島』とよばれた久米島 ニブチの森に残る1300年以上前の水田跡 先人の
かつては稲作が盛んな”米の島”だったことが、島の名前の由来ともなった久米島。ラムサール条約に登録されている湿地帯には、ニブチの森と呼ばれる森林地帯があります。そこには1000年以上前から始まった久米島の米作りの起源が残されていました。
【写真を見る】かつて『米の島』とよばれた久米島 ニブチの森に残る1300年以上前の水田跡 先人の暮らしの痕跡
■『米の島』とよばれた久米島 米作りの起源を探ると
櫻井記者
「私の後ろに広がるのはニブチの森と呼ばれる森林地帯。実は、この緑の奥深くに島の名前の由来となったあるものが隠されているという事なんです」
久米島の北西部に広がる湿地帯。その一角に標高およそ310メートルの宇江城岳から流れ込む渓流によって形成された森林が広がっています。
ニブチの森と呼ばれるこの森林地帯を含む一帯には、手つかずの自然が残されていて、2008年にラムサール条約に登録されました。
稲作農家 山里昌伸さん
「この一角、20年ぐらい前は全部水田だった。だけどもう年と共にみんな辞めていって」
かつて『米の島』と呼ばれるほど稲作が盛んだった久米島。手間のかかる稲作をする農家は次第に減っていき、今ではごく一部の地域でしか米は作られていませんが、島の名前の由来にもなっている米作りの起源がニブチの森には残されていると言います。
米作りの起源を探るべく、今回、森を案内してくれるのは島の名物ガイド、保久村昌欣さんです。保久村さんは農業を営むかたわら、20年前からニブチの森の生態系や稲作の歴史を伝える活動を続けています。
島の名物ガイド 保久村昌欣さん
「これが道ですからね。ハブも気をつけてよ」
森の中にある稲作に使われていた、古い池へと案内してくれるということで、道なき道を突き進んでいきます。
その道中、保久村さんが何やら発見しました。
島の名物ガイド 保久村昌欣さん
「これ何だと思いますか?これは落ち葉の混ざった土を食べて、土だけを出したミミズの糞。この森はミミズたちが育てている」
「国の天然記念物のリュウキュウヤマガメですね。これは夜行性だけど昼間はこうして、寝ている、石に擬態しているつもりです」
ニブチの森の生態系を作り上げる珍しい生き物たちに次々と出会います。
森の中を歩く事、およそ30分。池が見えてきました。
■見えてくる先人たちの暮らしの痕跡
島の名物ガイド 保久村昌欣さん
「米を増産するということで池が作られ、この池が1600年代に出来た。およそ400年前につくられた」
この池は“ニブチの古池”とよばれています。当時の島では稲作に必要な大量の水を確保するため、手作業で池を掘り、石垣を築きました。島にはおよそ30の池が作られましたが、ニブチの古池はそのなかで最も古いものとなります。
島の名物ガイド 保久村昌欣さん
「池をどんどん増やして、水を貯めて平地まで水路を作り、水を引いて広い場所に田んぼをこしらえていって、これが田んぼの始まりですね」
続いては、島内で最も古いと言われる水田の跡を目指し、さらに森の奥深くへと進んでいきます。沢沿いを歩いていると、目の前に不思議な建造物のようなものが現れました。
島の名物ガイド 保久村昌欣さん
「これ炭焼きガマの跡でわりと大きい方です。昔、おじいが一人ここにやってきて、家に田んぼが少ない人が山に入って炭を焼いて、その炭をお金に換えて生活していた」
稲作を営めるほどの土地が無い人々にとっては、この窯で作る炭は貴重な収入源になっていたそうです。
島の名物ガイド 保久村昌欣さん
「ここが終点の場所になります。古い田んぼの跡ですね。いくつか棚田になっています」
そして、ついにたどり着いた場所は『迫田』と呼ばれる古い水田の跡です。保久村さんによると、この迫田は今から1300年以上前に作られたものだそうです。
木々に覆われていて稲の成長が鈍かったことから、この土地はニブチと名付けられ、森全体がニブチの森と呼ばれるようになりました。
島の名物ガイド 保久村昌欣さん
「こうして川が流れています。これを我々の先人たちは山の汁と称して、この山の汁を田んぼに引き入れて美味しい米を作って」
『久米島』の名前の由来ともなった、米作りの原点の地。近くには稲作に欠かせない豊富な水が流れる川があり、久米島の歴史を切り開いてきた先人たちの暮らしの痕跡を今に伝えています。
島の名物ガイド 保久村昌欣さん
「島が久米島という名称ですからね。その島のなんでこういう名前がついてるかっていうのを考えるなら田んぼっていう事を説明していかない事には、島の名前の由来というのは話せないんじゃないかと思いますね」
久米島のニブチの森を訪ねると、険しい山中に突如現れた平らな土地が島の米作りの起源を教えてくれました。
琉球放送
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