🗾14〕─3─「縄文人の男性は狩猟、女性は採集」は所説あり?~No.69 

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 縄文人の食卓は、現代の食卓に劣らぬ豪勢であった。
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 2023年8月27日 YAHOO!JAPANニュース コスモポリタン「男性は狩猟、女性は採集」という説は幻想?最新の考古学研究が明らかにしたジェンダーバイアス
 「男性は狩猟本能があるから、追いかけたいもの」「女性は子どもを育てながら暮らすのが“自然”」というような話を聞いたことはありませんか? そんな人間の“本能”や“自然の姿”について語る際、わたしたちはよく文明社会をもつ前の人々の暮らしをもって説明することがあります。
 2023年6月に、狩猟に参加する男女の数を調査したアメリカの大学による最新の研究が、その根底を覆す内容を発表。同時に、これまで信じられていた「男性は狩猟、女性は採集」という狩猟生活のモデルに対して、現代の「ジェンダーバイアス」がかかっているのではないかという指摘がなされました。
 本当に昔の人の生活は、私たちの“本来の姿”を現しているのでしょうか? ジェンダー考古学を研究する岡本大学の松本直子教授とその謎に迫ります。
 監修:松本直子 教授
 縄文社会を主なフィールドとして、認知考古学およびジェンダー考古学の視点から研究を進めている。九州大学大学院博士課程修了。1999年より岡山大学に勤務。2021年度から岡山大学文明動態学研究所の所長を務める。
 「男性は狩猟、女性は採集」は所説あり?
 農作物の技術が日本に伝わるまで、旧石器時代縄文時代の人々は動物を狩ったり、木の実や貝殻を集めたりして暮らしていました。この狩猟と採集を軸とした生活を狩猟採集社会と言います。
 そして長年の間、狩猟採集社会において男性は一家の“大黒柱”として野生の動物を狩り、女性は家で待っているか、働くとしても採集に限られていたと考えられ、一般的にもそのように語られていました。
 女性も狩りに出ていたという発見
 考古学では、遺跡から出土する動物の骨やドングリの殻などから何をどのくらい食べていたか、発掘で見つかる住居の跡や道具から当時の生活や地域の様子を推測していきます。 これまでも、狩猟具をもって埋葬された女性がいることから、「女性ハンター」もいたのでは、と考えられてきました。
 「埋葬時には、プレゼントとして、あるいは宗教的な意味があってモノが入れられることもあるため、必ずしも本人が使っていたとは断言できません。しかし、基本的にはその人に関連するものがお墓の中に入れられます」
 「狩猟に使う道具と一緒に埋葬された女性が一定数いるデータがそろったということで、狩猟と女性が無関係ではないことを示す証拠になると考えられたのです」
 しかし「考古学が対象とする過去の社会ではそうだったとしても、現代の狩猟民族は男性が狩猟を担当している」とされていたよう。ところが今回、数々の考古学的発見に加えて、過去100年における狩猟採集で暮らす民族の性役割分業のあり方を調査したところ、これまでの定説が覆ったのです。
 アメリカのシアトル・パシフィック大学のアビゲイル・アンダーソン氏が中心となった研究は、63の民族の分業体制を調査して、女性も狩猟に関係していた可能性を明らかにしました。 この論文では調査対象の「79%の社会で、女性が狩猟をおこなっていた」という結果が。
 この研究がいかに画期的であるか、松本先生はこのように説明します。
 「考古学では、物質的な痕跡から判断できないところは、同じような生活をしている民族誌を参考に考察をします。これまでさまざまな民族のデータが集められていて、例えばその中で『土器を作るのは女性が多いから、昔の社会でも土器は女性が作ってたんじゃないか』と推測したりします」
 「今回の研究は世界各地の民族誌を網羅的に調べ、データに基づいて女性が狩猟を(この100年の間にも)していることを明らかにしました。遠い過去だけでなく、近現代においても『女性も狩猟をしている』と示したことは、より説得力をもたせる重要な貢献です」
 女性の活動は「サポート役」ではない
 また松本先生は「単に女性も狩猟に参加していたことだけでなく、狩猟のやり方に違いがあるところが印象的だった」と話します。論文によれば女性の狩猟には以下の傾向があるといいます。
・1人で狩りに行くこともあれば誰かと狩りに行くこともある
・犬を使うなど、狩りのやり方がよりフレキシブルである
 このように、女性たちが主体的に計画をたてて狩りに出ているということがわかりました。これは「男性と同じことをしているから」「表立って成果のある活動をしているから」意義あることと捉えられているわけではありません。
 「男性は狩り、女性は採集」という定説に感じられる、女性の採集活動は狩りをサポートするものだとするニュアンスの否定にも貢献したのです。
 「女性の活動にフォーカスをあてても『女性も“男性のように”同じことをしていた』というように、男性基準にとらえられがちです。しかし、ジェンダー研究の目的は『男女は同じである』と証明することではありません」
 「今回の研究では男女ともに狩りに関わることで、行動のバリエーションが広がるという可能性が見えてきました。そういった多様性は、今のわたしたちの生き方や働き方に応用できる結果だと思います」
 この定説が長年信じられている理由
 そもそも「男性は狩猟、女性は採集」という定説は、なぜ広まっていったのでしょうか。松本先生によると、それは「Man the Hunter」という研究をまとめた書籍がきっかけだと広く認知されていると言います。
 人間が積極的に狩りをするようになったのは約200万年前。それまで野生動物を仕留める能力がなかったため、ほかの肉食獣が仕留めた肉の残りを石器を使って食べていました。
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