👪16〕─1・C─アドラー心理学「Z世代の新人とどう向き合うか」~No7 

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 2024年4月24日 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポンアドラー心理学の岸見一郎が説く「Z世代の新人とどう向き合うか」
 【今回のお悩み】
 「新人にどう対応していいかわかりません」
 いつの時代にも聞かれる「最近の若者は」という常套句。最近では、Z世代が自己主張ばかりして働かないという批判も聞かれますが、それは彼らのせいではなく上司の問題だと、アドラー心理学に詳しい岸見一郎先生はいいます。
 【画像】上司の思い通りに部下が動かないのは当然
 何々世代であれ、今どきの若い者であれ、自分が個人として見られないことを好む人はいないでしょう。
 はみ出る個性を見ていくべきであり、もしも問題があるとしたら「この人」に問題があるのであって、その人が属する世代に問題があるわけではありません。世代を持ち出すのは、若い人とうまく対応できない責任を世代のせいにしたいからです。
 いつの時代も、「若い人は主張的なのに仕事をしない」とか、「少し強くいったらパワハラだ」というというふうに、上の世代からはよくいわれません。上司はそのような若者を見て、「私が若い頃は上司から叱られたものだ、でもだからといって文句をいったことはないし、それどころか、上司から厳しく叱られたおかげで今の私があるのだ」という人がいます。
 しかし、本当はそのような上司の対応を理不尽と思った同期の仲間は上司に抗議したはずであり、この上司のもとでは自分の実力を発揮できないと思って辞めていった人もいたかもしれません。「あのとき叱られたから今の自分がある」という人も悔しい思いをしたはずです。それは抗議する勇気もなく、何もいえなかっただけでしょう。
 やがて、自分が何もいえなかったことを正当化しはじめます。我慢することも必要だ、少し叱られたくらいで抗議したり辞めたりするのは我儘(わがまま)であり、職場の秩序を乱す行為だというふうに。
 若い人の問題を指摘しようと思えばいくらでもできます。ほかの人は自分の期待を満たすために生きているわけではありません。若い人も同じであり、上司が期待するように働かないのは当然です。
 若い人と付き合っていくときには、まず自分自身が新人だったときにどうだったかを思い起こすことから始めなければなりません。上司からいわれたりされたりしたことでいやな思いをしたことがなかったか。そんなことがなくても、仕事が面白いと思えず、休みの日に何をして遊ぼうかと考えてばかりいたのではなかったか。そんなことをいつのまにか忘れてしまっているからです。
 若い人が上司の顔色を窺ったりしないで主張し、したくないことをしたくないというのを見て眉をひそめ、「今の若い人は我慢することを知らない」「仕事よりもプライベートを大事にする」といいたくなったら、それは自由に生きる若者がうらやましいのです。
聞く耳を持つこと
 では、どう対応すればいいか考えてみましょう。まず、扱いにくいと思ってはいけません。若い人を自分の思うようにコントロールすることはできません。哲学者の三木清は次のようにいっています。
 「もしひとがいくらかの権力を持っているとしたら、成功主義者ほど御し易いものはないであろう。部下を御していく手近な道は、彼らに立身出世のイデオロギーを吹き込むことである」(『人生論ノート』)
 しかし、時代掛かった「立身出世のイデオロギー」などものともしないで生きている若い人をコントロールすることなどできません。
 いいたいこと、いうべきことがあれば主張する。したくないことはしたくないということは、昇進のことばかり考えている上司には到底理解できないでしょう。そのような自分の理解を超えるような行動をする人がいれば、賛成できなくても、理解する、あるいは理解に努めるために話をきちんと聞かなければなりません。
 次に、失敗をしても、またいい成績を出せなくても、強く叱ってはいけません。強くでなければ叱ってもいいといっているのではありません、パワハラだと人事課に訴えられるからではなく、誰に対しても叱ることでは行動を改善できないからです。怖いので行動を改めても、また同じことをするでしょう。
 叱ったからといって仕事の成績が上がるわけでもありません。叱ることは教育には無効だと考えられない人は、成績が上がらないことを若い人のせいにしてしまうのです。
 若い人が「それはあなたの指導に問題があるからだ」と正論(だと私は考えています)をいおうものなら、「お前の努力が足りないからだ」と言い返したくなるかもしれませんが、自分の教育の仕方に改善点があると認めたほうがいいと私は思います。
 そのことを認めたうえで、教育の仕方を変えていくしかありません。どこを改めたらいいかがすぐにはわからないのであれば、若い人に尋ねるべきです。
 若い人の問題を見つけるのは簡単ですが、むしろ、若い人のいいところを見ていかなければなりません。きちんと主張できることは大切なことです。もちろん、若い人がいうことがすべて正しいわけではないので、誰がいっているかを問題にしないで、若い人の主張が正しいかどうかということだけに注目し、正しい主張であれば受け入れなければなりません。もちろん、若い人がいっていることが正しいことはあります。
 このことと関連していえば、聞く耳を持っていなければなりません。話しても無駄だと思われていれば、突然仕事を辞めるということが起こります。引き止めることができるかはわかりませんが、離職の決心が自分の部下への対応を含め職場の問題に起因するものであれば、少なくとも話ができる関係を築いておかないと、若い人が次々と職場を離れることになりかねません。
 日頃から、今の言い方はどうだったかと尋ねることも必要です。強く叱ったつもりではなくても、そう受け止める人はいます。「叱られた、パワハラだと思うほうが問題」と考えてはいけないのです。
 さらに、若い人の貢献に注目することも大切です。年長者がともすれば億劫だと思ってしまうパソコンに関する知識があり、操作が長けている若い人から教わることができるということだけではありません。必要なことを主張することは、職場を変えます。自分が果たすべき役割があると知れば貢献感を持てますし、仕事ではまだ充分に力を発揮できない新人であっても、仕事に励む意欲を持てるようになるでしょう。
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