☷8〕─2─【総額1兆円以上】韓国軍需産業はウクライナ戦争を利用して国際市場に進出しつつある。~No.21 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 敗戦後の日本は、朝鮮戦争の特需を起爆剤として戦後復興に成功した。
 韓国は、ウクライナ特需を利用してさらなる経済発展を目指し、衰退しつつある日本を尻目に追い越して先進国の仲間入りし世界的足場を築くべく攻勢に出ている。
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 戦争では、百発百中の高性能高額で少量生産しかできない大砲1門と百発一中の中性能手頃価格で大量生産できる大砲100門が戦えば命中精度の劣る100門が勝つ。
 何故なら、製造できる砲弾の数量が違うからである。
 戦前の日本軍は、アメリカの物量に負けた。
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 2022年8月29日 MicrosoftNews 現代ビジネス「【総額1兆円以上】ポーランドが韓国製兵器を爆買いするワケと日本の防衛産業がヤバすぎる
牧野 愛博
 ポーランド国防省は7月27日、韓国との間でFA50軽攻撃機やK9自走砲、K2戦車を大量購入する契約を結んだと発表した。
 FA50軽攻撃機は来年半ばまでに12機の引き渡しを含む計48機を購入。K9自走砲は今年中に48門を購入するほか、24年から計600門の引き渡しが開始され、加えて26年からはポーランドでの現地生産も始まるという。K2戦車はまず今年から180両の導入が始まり、第2段階として、やはり26年からポーランドで800両以上の現地生産が始まる。
 なぜポーランドは韓国製兵器を「爆買い」するのか?
 韓国メディアはそれぞれの受注額について、FA50軽攻撃機とK2戦車が各3兆ウォン(約3100億円)、K9自走砲が約4兆ウォン(約4100億円)の総額10兆ウォン(約1兆円)規模の契約だと伝えた。まさに「爆買い契約」だ。韓国の兵器・軍需物資の総輸出額は昨年、過去最高の70億ドル(約9600億円)を記録し、10年前の倍以上に伸びた。今回の契約でさらに、韓国の武器輸出が加速するのは間違いない。ロシアによるウクライナ侵攻は、韓国にとって商機の一つになっているのだ。
 © 現代ビジネス 2015年2月11日、韓国京畿道で装甲車パレードとK2戦車の実弾射撃訓練を実施する韓国陸軍 photo by Chung Sung-Jun/Getty Images
 韓国政府関係者によれば、ポーランド陸軍は最近、手持ちの戦車と自走砲のほとんどをウクライナに提供してしまった。おかげで、ポーランド軍の戦車兵らは演習ができない状態に陥っているという。ポーランド陸軍は歴史的にも、東西からドイツ軍やソ連軍に国土を蹂躙された記憶が強く、戦車や自走砲へのこだわりが強いという。
 ポーランドのマリウシュ・ブワシュチャク副首相兼国防相は韓国との契約締結に際し、「私たちはウクライナで起きていることから学んだ。ロシアがどのように攻撃してきたか。装甲部隊と砲兵が重要だ」と語った。
 ポーランド空軍もまた、厳しい状況に置かれている。空軍の主力は2個戦術航空旅団。第1戦術航空旅団はミグ29とスホイ22の旧ソ連製戦闘機、第2戦術航空旅団は米国製のF16戦闘機をそれぞれ使っている。ところが、第2旅団の1個飛行大隊は現在、北大西洋条約機構NATO)軍に派遣されて、本土防衛が手薄の状態になっている。
 さらに、NATOは6月の首脳会議で構成国の兵器のNATO標準化を目指すことを確認した。ポーランド空軍の旧ソ連製戦闘機であるミグ29やスホイ22は、NATOが戦術データを共有するために使っている「リンク16」システムやIFF(敵味方識別装置)を備えていない。
 日本も韓国も兵器の仕様は「NATO標準」
 困ったポーランドが目を付けた国の一つが韓国だった。日本も韓国も、小銃の口径や兵器の距離や速度表示などが「NATO標準」になっている。武器の補充とNATO標準化が求められている中東欧諸国は、韓国にとって新たな防衛産業市場と言えるのだ。
 © 現代ビジネス 2021年10月18日、韓国・城南のソウル軍事空港で開催された国際航空宇宙・防衛展(ADEX)でパフォーマンスを行う韓国空軍のFA-50 photo by Chris Jung/NurPhoto/Getty Images
 一方、韓国製兵器は、ポーランドの要求を十分に満たすものだったという。韓国のFA50軽攻撃機は、韓国航空宇宙産業(KAI)と米ロッキード・マーチン社がF16戦闘機をベースに共同開発したT50練習機がモデルになっている。F16はエンジンを単発にするなど、日本が導入したF15をダウンサイズした航空機だが、価格も安く、世界のベストセラー戦闘機として知られる。ポーランド軍もF16戦闘機を保有していて、「本当はF16が欲しかったが、米国から購入のめどがつかなかった」(韓国政府関係者)という。
 FA50軽攻撃機は名前の通り、対空戦闘(F・ファイター)と対地戦闘(A・アタッカー)が可能だ。最高速度はマッハ1.5。自衛隊の元幹部は「米中ロなどの戦闘機には全く歯が立たないが、武装勢力などを倒すには十分な能力がある」と語る。FA50軽攻撃機を購入したフィリピンは、2017年にイスラム過激派勢力を鎮圧したマラウィの戦いで、FA50軽攻撃機を投入したとされる。
 韓国メディアの報道通りであれば、ポーランドはFA50軽攻撃機48機を約3千億円で手に入れたことになる。単純計算すれば、1機あたり約65億円になるが、契約にはポーランドにメンテナンスや飛行訓練の各種施設を建設する内容も含まれている模様で、機体の価格は1機50億円を下回りそうだ。航空自衛隊が調達するF35Aステルス戦闘機の約96億円、F35Bの約128億円に比べれば割安ということなのだろう。
 K9自走砲は、韓国の軍事専門家に言わせれば「21世紀に入って、世界で一番多く生産された自走砲」なのだという。最高速度は60キロ以上で、射程40キロを誇る。自動化が進み、155ミリ曲射砲を1分間に6~8発、発射することが可能だ。韓国陸軍はすでに、北朝鮮との対決に備えて、K9自走砲を1200門生産している。
 大量生産によるコストカットが可能だ。韓国の軍事専門家は「性能は、世界最高といわれるドイツのPzH自走砲にはかなわない。でもPzHの価格は1門あたり10億円くらいだが、K9はその半分強だ。値段が半分強でも、能力も半分強ということではない。だから、人気がある」と話す。すでに顧客は、ポーランドのほか、フィンランドエストニア、エジプト、豪州などに広がっているという。
 2014年6月18日にトルコ北西部のサカルヤにある「インチ基地司令部」が製造したK9自走榴弾砲のトルコ仕様車 IBrahim Yozoglu/Anadolu Agency/Getty Images© 現代ビジネス 2014年6月18日にトルコ北西部のサカルヤにある「インチ基地司令部」が製造したK9自走榴弾砲のトルコ仕様車 IBrahim Yozoglu/Anadolu Agency/Getty Images
また、韓国の場合、その製品は「お試し済み」であることも強みになっている。K9自走砲は、2010年11月に北朝鮮が韓国領の大延坪島を砲撃した際、応戦している。検証してみると、北朝鮮陣地に正確に着弾していないことがわかるなどの問題も残したが、K9自走砲の内部にいた兵士が死亡することはなく、頑強さは証明された。
 次世代戦闘機も開発
 韓国は昨年4月、次世代戦闘機「KF21(愛称ポラメ、若い大鷹の意)」の試作機を公開し、今年7月には初飛行に成功した。韓国政府関係者は「韓国の開発能力が実証された。ポーランドは世界各地のエアショーにも足を運び、FA50の原型になったT50練習機の飛行状況も確認していた」と語る。
 自衛隊の元幹部は「韓国は海外に売ることを考えて開発している。安くてそこそこの性能で十分だという発想だ。ポラメも開発段階の初期に、ステルス機能の導入をあきらめている。高度な技術に挑戦して価格が高騰することを避ける狙いがあったのだろう」と語る。
 世界を見渡せば、ステルス戦闘機や極超音速ミサイルなどへの対応を迫られている国は多くない。自分の国の財政を考えながら、武器の購入を考えているのが実情だ。さらに、韓国は国を挙げて武器の海外輸出に力を入れている。自衛隊元幹部は「狙いが外貨稼ぎなのか、韓国との友好国を増やすためなのかはわからないが、国策であることは間違いない」と語る。
 韓国の文在寅大統領(当時)は昨年10月20日、京畿道のソウル空港で開かれた「ソウル国際航空宇宙・防衛産業展示会」の開幕式にFA50軽攻撃機に搭乗して現れ、会場にいた内外の関係者の度肝を抜いた。
 文在寅トップセールス
 文大統領は「韓国の技術で開発したFA50の堂々たる威容を直に体感できた」「2030年代初めまでに航空分野での世界7大強国に進出する力をつける」と語った。これなど「トップセールス」の典型だろう。今年春にフィリピンで開かれた防衛産業展示会では、展示スペースの4分の1以上を占領し、日本や米国、トルコなどの出品ブースを圧倒した。
 日本政府関係者の1人は、韓国のこうした動きについて「日本は到底まねができない」と嘆息する。日本の防衛産業は長く「武器輸出3原則」の制約を受けて海外市場に進出できなかった。事実上、顧客が自衛隊しかいないため、大量生産ができない。海外市場に進出する販路や人脈がない。
 © 現代ビジネス 2022年7月18日、英国ファーンボローで開催された国際航空ショー2022で、KAI、韓国航空宇宙産業株式会社によるFA-50マルチロール航空機の模型を見る来場者たち photo by John Keeble/Getty Images
 この関係者は「3原則は緩和されたが、企業も政治家も殺傷性の強い兵器の輸出には慎重になるだろう。日本は武器商人と呼ばれることへの免疫がない」とも語る。
 日本は防衛産業育成などの目的から、2011年に野田佳彦内閣が三原則を大幅に緩和し、平和・人道目的や、国際共同開発・生産への参加であれば、例外として武器の輸出を認めた。さらに2014年、安倍晋三内閣が閣議決定した「防衛装備移転三原則」で、武器輸出はこれまでの原則禁止から、条件を満たせば認められるようになった。
 だが、長い間自衛隊だけを顧客にしていた防衛産業の構造改革や輸出ルートの開拓はほとんど進んでいない。武器輸出に否定的な日本の世論にも大きな変化はない。メディアの一部は「米国から武器を爆買いするな」と主張する一方、「日本は武器を輸出するな」とも訴える。矛盾した内容とも言えるが、日本の防衛産業は、こうした世論を気にするほか、収益性の問題もあり、防衛市場から撤退する企業が相次いでいる。
 メディア、地政学的環境、米軍需産業との関係
 この現象は、日本特有のものとも言える。世界的に見れば韓国が特殊なのではなく、日本が特殊な状況に置かれていると言えるだろう。その第1が武器輸出を嫌う世論の存在だ。自衛隊元幹部の1人は「まず、メディアが武器の開発や輸出を強く批判してきた状況がある。日本学術会議も軍事研究はしない姿勢を維持してきた」と語る。
 第2に、国土の周辺をロシアや中国、北朝鮮に囲まれた厳しい安全保障環境がある。日本はF35ステルス戦闘機やイージス艦など、高度な装備を追求せざるをえなくなった。海外市場に長く背を向け、「顧客は自衛隊だけ」という時代が長く続いたため、大量生産ができずに、生産コストも上がる一方だった。
 © 現代ビジネス 2022年6月17日、中国上海の中国国家造船集団(CSSC)傘下の江南造船所で行われた福建省の名を冠した中国第3の空母「福建」の進水式 Photo by Li Tang VCG/via Getty Images
 第3に、同盟国の米国も1990年代までは日本の防衛産業の強化に慎重だったという背景がある。いわゆる「ビンのふた」論であり、米国の軍事産業保護という思惑も働いていた。日本がなまじ、高性能の防衛装備品を開発しようとするため、米国が緊張するという構図は今も続いている。
 自衛隊元幹部の1人は「今思うと、三木内閣が一つのターニングポイントだったかもしれない」と語る。武器輸出三原則はもともと、1967年に佐藤栄作内閣が武器輸出について、(1)共産圏諸国(2)国連決議が禁止する国(3)国際紛争の当事国や恐れのある国、への輸出を認めないために定めたものだ。
 一方で三木武夫内閣は1976年、これ以外の国へも原則、武器輸出を禁じることを決めた。世界ではベトナム戦争を批判し、反戦運動が盛り上がりを見せていた時代だった。元幹部は「せめて自由主義国への輸出が認められていたら、日本の防衛産業がこれほど深刻な状況にはならなかったのではないか」と話す。
 あれから半世紀近くの時間が流れた。日本を取り巻く安全保障環境は、当時と比べようがないほど厳しい状況になった。岸田文雄内閣は防衛力の抜本的な強化を唱えているが、財政難もあり、どこまでそれが実現できるのか、注目が集まる。」
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