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日本民族は、漢族系中国人や半島人とは違う。
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2023年8月5日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「じつは「汗の量」は民族によって変わる…「日本人」と「暑い地域の民族」の汗のかき方の違い
鈴木 郁子
「心身の不調は自律神経が原因かもしれない」「自律神経のバランスが乱れている」などとよく耳にします。そもそも、自律神経とはどのような神経なのでしょうか? 簡単に言えば「内臓の働きを調整している神経」。全身の臓器とつながり、身体の内部環境を守っています。自律神経に関わる歴史的な研究を辿りながら、交感神経・副交感神経の仕組みや新たに発見された「第三の自律神経」の働きまで、丁寧に解説していきます。
*本記事は『自律神経の科学 「身体が整う」とはどういうことか』を抜粋・再編集したものです。
© 現代ビジネス
水っぽい汗と脂っぽい汗
ドライアイの患者さんが、涙を分泌させるピロカルピンという薬を使いたがらない話は前章で少し触れました。副作用として汗をかき、不快に感じるからでしたね。涙や唾液の分泌を促すピロカルピンが、なぜ汗も出すのでしょう? その秘密は神経伝達物質にあります。まずは汗腺の仕組みから説明しましょう。
汗を生成、分泌する器官を汗腺といいます。汗腺は皮膚の真皮という部分にあり、そこから細い管を通って、皮膚の表層に開いています(図3−1)。顕微鏡下で皮膚の表層をみると、汗がふつふつと水滴状に湧いて出るのがわかるでしょう。
じつは「汗の量」は民族によって変わる…「日本人」と「暑い地域の民族」の汗のかき方の違い
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ニオイのもとになるなど嫌われがちな汗ですが、汗は体温調節に欠かせません。体内で生じる余分な熱を、汗は水分の蒸発という形で皮膚から逃がしているのです。汗1㎖で逃がせる熱量は0・6キロカロリーくらい。体重にもよりますが、100㎖の汗をかくと、体温はおよそ1℃下げられます。暑い夏だと屋外を10分も歩けば、このくらいは下げられるでしょう。そうやって汗をかくことで熱を逃し、私たちは熱中症にならずに済んでいるのです。
汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺があります。体温調節に重要なのはエクリン汗腺のほうです。エクリン汗腺はほぼ全身の皮膚にあり、水分を多く含んだ汗を分泌しています。
暑いとき、私たちは全身に汗をかき、無意識のうちに体温調節を行っています。でもウマなど一部の例外を除けば、動物は人間のようには汗をかきません。ほとんどの動物の全身にはエクリン汗腺がないからです。イヌやネコは、足の裏にのみエクリン汗腺があります。暑いときにイヌがハアハアと喘いでいるのを見かけたことがあるかもしれません。彼らは息を吐くことで熱を逃がしているのです。
アポクリン汗腺のほうは、ヒトでは腋窩や外陰部などにあり、図3−1のように管は毛根部に開いています。アポクリン汗腺は性ホルモンの影響を受け、脂っぽい汗を出しています。その汗が細菌によって分解されると、特有のニオイを発生させるのです。
通常は汗腺といえばエクリン汗腺のほうを指します。本章でもエクリン汗腺について話を進めましょう。
交感神経の活動が高まると汗が出る
汗が出るのは、汗腺につながっている交感神経の活動が高まるためです。汗腺は自律神経の二重支配を受けておらず、交感神経のみがつながっている例外的な器官。その意味では、第1章でお話しした皮膚の血管と似ていますね。
全身のエクリン汗腺には、近くの脊髄から交感神経が出ています。顔や首、腕など上半身の汗腺には胸髄の上のほうから、体幹部の汗腺には胸髄の中央と下のほうから、足の汗腺には胸髄の下のほうと腰髄から交感神経がいっています。
ノルアドレナリンを出す通常の交感神経節後線維と異なり、エクリン汗腺につながる交感神経節後線維からは、アセチルコリンが出ています。アセチルコリンが汗腺のムスカリン受容体に働きかけると、汗が分泌される仕組みです。
ドライアイの患者さんがピロカルピンを服用後に多汗に悩まされるのは、ピロカルピンがアセチルコリンと同じようにムスカリン受容体に作用するため。その作用は涙腺や唾液腺のムスカリン受容体に留まらず、汗腺のムスカリン受容体にも効いてしまうのです。ムスカリン受容体を遮断するアトロピンには、汗を止める働きがあります。
暑い地域の人は、汗腺の数が多い
汗腺の数は、人によって異なるのでしょうか? それを調べたのは久野寧という生理学者です。久野は1920年代、当時赴任していた満洲医科大学(現・中国医科大学)で漢方の発汗剤として知られる麻黄という植物を知り、汗を測るさまざまな方法を考案して、人間における汗の研究を開拓しました。人がやっていないような研究がしたい、そういう思いがあったといいます。
久野によれば、暑い地域に住んでいる民族は、寒い地域の民族に比べて汗腺の数が多いそうです。ただし、日本人が熱帯地域に移住したからといって、汗腺の数が急に増えるわけではありません。汗腺の数は生まれたときにほぼ決まっており、2歳半くらいまでの間には増えることはあっても、それ以降はほぼ一定ということです。汗腺を増やすには、暑い地域で生まれるか、もしくは2歳半までにそういうところに移住する必要がありそうですね。
では、汗の量も民族によって変わるのでしょうか? 日本人はわずかな暑さでも汗をかきますが、日本よりも暑い地域で暮らしている民族は、ちょっとした暑さでは汗をかきません。暑いところで生活していると、体が暑さに慣れ、体内の水分が減りすぎないように汗を抑える能力が備わるようです。
環境温の上昇によって起こる発汗は温熱性発汗とよばれます。温熱性発汗には脳の視床下部が関わっており、体温調節に重要です。
怖いものを見ると汗をかくのはなぜか ─精神性発汗とは
ヘビなど恐れをなすものを想像したり、怖い思いなどすると、冷や汗をかくことがありますね。このように暑さ以外に、緊張したときやストレスを受けたときなどに人間が汗をかくことを久野は示し、これを精神性発汗とよんでいます。この場合、視床下部のほかに大脳辺縁系や大脳新皮質といった高次の脳機能が関わっています。
精神性発汗は、手のひらや足裏に多くみられます。「手に汗握る」ともいいますね。先にお話ししたようにイヌやネコは足の裏に汗をかきますから、そういった意味では人間の精神性発汗に近いのかもしれません。手のひらの汗は物を確実に掴むため、足の裏の汗は体を確実に支えるため、そういわれています。
本来、自律神経は意思による制御を受けない神経のことでしたね。それゆえ不随意神経ともよばれました。しかし自律神経の支配下にあるはずの汗腺の活動が、心によって左右されうることを、久野は精神性発汗を通して実証したわけです。そうした功績は大変大きく、「発汗」は日本医学の王道となりました。彼が勤務していた名古屋大学では、現在も汗の研究が進められています。
さらに連載記事<意外と多い…1日に分泌される「唾液の量」と「その種類」>では、人間の唾液の仕組みについて詳しく解説しています。
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