☴33〕─1─韓国で新たに形成されつつある財閥一族と庶民という身分制度と貧富の格差の拡大。No.179No.180No.181 @ 

超格差社会・韓国 (扶桑社新書 56)

超格差社会・韓国 (扶桑社新書 56)

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2016年10月3日 産経ニュース「【経済裏読み】韓国にも“カースト制度”? 上位10%への所得集中はアジアで首位…ドイツ人より3カ月余分に働いているのに
 求人広告で希望の仕事を探す人たち。韓国では上位10%への所得の集中度がアジアで首位という=ソウル市内(ロイター)
 韓国の労働市場階層は、「4階級」に固まった垂直構造からカースト制度と似ていると指摘されることが多いという。それはこの国の上位10%への所得の集中度が米国に次ぐ水準であることからもわかり、格差は深刻化している。賃金統計の結果からもうかがえ、一番上の階級の「大企業正社員」を100とすると、最下位層の「中小企業非正社員」は35。アジア通貨危機前の1995年には韓国の上位10%への所得集中度は30%未満だったことから、この間の経済成長の成果のほとんどが一部の“エリート”に集中分配されたことになる。
 上位への所得集中は米国に次ぎ世界2位
 聯合ニュース(電子版)によれば、韓国国会立法調査処が世界トップ所得データベース(WTID)と国際通貨基金IMF)の資料を分析したところ、韓国の上位10%への所得の集中度(2012年基準)は44・9%だったという。日本を含むアジアの主要国で最も高く、世界でも米国(47・8%)に次ぐ高い水準となった。
 所得集中度は所得上位の人たちが所得全体に占める割合を算出し、不平等の水準を判断する指標で、フランスの著名な経済学者、トマ・ピケティ氏らが提唱している。
 主要国の上位10%への所得集中度をみると、米国や韓国のほか、シンガポール(41・9%)、日本(40・5%)が40%を超えた。だが、韓国はアジア通貨危機前の1995年には上位10%への所得集中度は29・2%で、米国(40・5%)や日本(34%)、シンガポール(30・2%)に比べ低かった。
 それが通貨危機後、急速に所得集中度が上昇したのである。95年〜2012年の上昇幅は15・7ポイントで、シンガポール(11・7ポイント)、米国(7・3ポイント)、日本(6・5ポイント)などを上回り、所得不平等が最も深刻な国となってしまったわけだ。
 映画「雪国列車」さながらの状況
 こうした現状を踏まえ、韓国経済新聞(電子版)は自国の労働市場階層について「4階級」に固まった垂直構造からカースト制度と似ていると指摘する。そして、上の「大企業正社員」から下の「中小企業非正社員」まで、厳格に分離された“雪国列車”のようだと表現した。
 「雪国列車」とは2013年公開の韓国のSF映画である。雪と氷に覆われてしまった世界でわずかに生き残った人類は、動き続ける列車「スノーピアサー」の中で生活。しかし前方車両に住む富裕層がすべてを支配し、最後尾に住む貧困層は奴隷同然の扱いを受けていた。そんな中、貧困階級の主人公が理不尽な支配に立ち向かうべく、仲間と反乱を企てる…。たしかに、韓国の労働市場階層の状況を彷彿させる。
 この国の労働市場階層の厳しさは賃金統計からもうかがえる。全労働者の10%にも満たない一番上の階級「大企業正社員」の賃金を100とした場合、上から二番目の階級「大企業非正社員」は62。三番目の「中小企業正社員」は全労働者の57%を占めるが、賃金は大企業正社員の半分程度の52でしかない。そして、最下位階級である「中小企業非正社員」の賃金は35に落ちる。労働者の30%がここに属する。
 OECD平均より43日多く働く韓国人
 それでも、韓国人労働者1人当たりの年間労働時間は、経済協力開発機構OECD)加盟諸国の中で2番目に長いのだという。一方、平均購買力評価基準賃金は、中下位圏(平均の80%)に止まった。仕事は多いが、収入は割合少ないのだ。韓国紙、東亜日報(電子版)が報じている。
 OECDが発表した「2016年の雇用動向」によると、昨年の韓国国内就業者1人当たりの平均労働時間は2113時間で、OECD34加盟諸国の平均(1766時間)より347時間も長かった。一日の法定労働時間8時間で割れば、韓国の労働者は年間264日を勤務し、OECD平均(221日)より43日多く働いたことになる。
 一方で韓国人労働者の賃金はOECDの平均より少なく、物価水準を考慮した購買力評価(PPP)を基準にすれば、韓国就業者の昨年の平均年間実質賃金はOECD平均(4万1253ドル)の80・3%の3万3110ドル。年間実質賃金を労働時間で割ると、昨年の韓国就業者の1時間当たりの賃金(15・7ドル)はOECDメンバー国の平均である23・4ドルの67・1%に過ぎなかった。
 韓国よりも労働時間が長い国は、年間2246時間を働いたメキシコだけで、日本の年間労働時間は1719時間で、世界17位だった。労働時間が最も少なかったのはドイツで年間1371時間。ドイツの労働者は、韓国の労働者より3カ月間(93日)も少なく働いたことになる。
 韓国の労働市場階層は、「4階級」に凝り固まったカースト制度と似ていると言われることから、どれだけ長時間働いても上位10%に所得が集中してしまう。その一方で、労働市場に柔軟性ができれば、正社員・非正社員の身分構造が崩れる。それを恐れる“特権階級”が存在することも確かである。新卒の学生が「公務員試験」に集中する現象も、結局は差別を受ける非正社員になることを恐れるからだ。
 突き詰めて言えば、国内の構造改革がなされなければ、労働者をめぐる環境は改善されないというわけである。今のところ、変わる兆候は見られない。」




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