👪11〕─1─「勝負脳」。争い競う事が苦手な日本人はここぞという土壇場の勝負に弱い。~No.62No.63No.64No.65 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2016年12月22日号 週刊新潮「『勝負脳』提唱者が明かす『日本人』は土壇場に弱い! 林成之
 『100点満点』で壁を破れず
 〝守りに入る〟と逆転負け
 凡人は〝繰り返し〟を嫌う
 マスコミの〝翼賛報道〟は逆効果
 ……
 優勝候補と目されていたのに負ける、金メダル確実と言われながら銀や銅に終わる──そういって事例は、皆さん、いくつも思い浮かぶのではないでしょうか。
 なぜ日本人は頂点に立てそうで立てないのか。
 この問題を解決すると、われわれ日本人はもっとすごい力を発揮出来るのです。
 ─ 脳神経外科医として救命救急医療の最前線で活躍してきた林氏。氏が開発した画期的な治療法〝脳低温療法〟は、従来は助からなかった瞳孔散大患者の実に4割を社会復帰に導き、日本国内のみならず世界の救急医療に衝撃を与えた。─
 これらの研究により、新しい病気のメカニズムと治療対策のみならず、人間の考えや才能発揮の仕組みまでもが解き明かされました。
 そして、その仕組みを一流アスリートたちの才能発揮に導入したところ、驚異的な成果を生んだのです。
 ─ 救命救急医療の現場に携わりながら、脳科学研究を続けてきた林氏は2006年、脳の仕組みを一般向けにわかりやすく解説した『〈勝負脳〉の鍛え方』を上梓。……─
 わかりやすいにで、スポーツを例に説明していますが、〝勝負脳〟は最先端の研究現場にも役に立ちますし、ビジネスマン、あるいは子供の教育にも通用します。
 決して一握りのエリートアスリートだけのための理論ではない、全ての日本人が知っておくべき理論なのです。
……
 日本人は昔から『100点満点』思考です。つまり、『今日は60点の出来だった』とか『あと20点足りない』とか、平気で言いますよね。実は、これこそが脳科学の観点から言えば悲しき習慣なんです。
 一方で、『人間の能力には際限がない』と言いますよね。そうなんです。生物学的にも人間は『130点』まで取ることがわかっています。ただ、『100点』を満点と考えていたら、それが限界です。『100点』は満点ではなく通過点。そう考えないと、世界の頂点になんて立てないのです。
 ─『100点満点』思考は、うまくいっているときにこそ危い。〝守りに入ってしまう〟のだ。─
 古くは1993年、サッカー日本代表がロスタイムスで失点しW杯出場を逃した『ドーハの悲劇』がそうでした。
 08年北京五輪でも同様のことがありました。実力的には間違いなく金メダルのはずの柔道・谷亮子選手が、守りに入ってしまい、残り30秒でペナルティーを取られ、3大会連続金を残しました。
 無意識に気持ちが緩む
 ……
 そこで驚いたのは、選手たちが守りを固め、そこから勝負に立ち向かう戦略で戦っていたこと。無論、守りを固める戦略は間違いではありません。ですが、『ご褒美を先にもらうと、脳は無意識に緩む』、つまり、守りで〝安全〟というご褒美を先に持ってくると、勝負に勝つための最高の攻め技が出せなくなるのです。そればかりか、自分ではどんなに頑張っているつもりでも、脳内の他の神経機能や神経ホルモンの出方まで変わってくるので、最高の集中力が発揮出来なくなってしまいます。
 ……
 目標を高く持ち、常に100点を超える、そして世界の頂点を狙う。そのためには、これまで以上の厳しい練習だけでなく、ある〝知恵〟が必要です。
 それは、『常識や習慣によって無意識に気持ちが緩む本能の克服法』、そして、『心技体の才能を確実に発揮する訓練法』です。
 ─まず『無意識に気持ちが緩む本能』について。─
 耳慣れない表現かもしれませんが、それもそのはず。〝勝負脳〟の脳科学的解析から見つかった、私が初めて提唱した概念なのです。
 『全力で頑張っているつもりでも、力が出せない』『どうして負けたかさえもわからない』、多くの方が何らかの場面でこんな体験をしていると思います。実は、このような現象は、人間の本能仕組みから生まれてくるものなのです。
 ……
 試合前から『相手が強い』『格上だ』『勝てそうもない』『難しい』などと思ってしまう、自己保存の本能から機能することになっている脳は、その考えを〝正しい〟と判断するようになります。これには、〝自己保存〟だけでなく、後述する〝統一・一貫性〟という二つの本能が関わってくるのです、『集中しよう』という一つの自我の本能で生まれてくる気持ちだけでは、変えることが出来なくなるのです。だから、試合前に否定語を使うのはNGなのです。
 08年北京五輪で5位に終わった日本女子バレーボールチームは、『中国チーム勝ったことがない』とこぼしていましたが、この気持ちの正体を理解したことで、12年ロンドン五輪では中国を破って銅メダルを獲得しました。
 プロ野球選手にも、『大谷翔平投手の剛速球を最初から〝打てない〟と思っていたら、絶対に打てない』と言った人がいましたが、まさにその通りなのです。
 私が脳科学的な戦略を指導していた石川佳純選手が主力になっている卓球女子代表チーム、その一員である弱冠16歳の伊藤美誠選手がオリでこういう哲学的なコメントを口にしました。『競り合いは〝勝つ〟と思う方が勝つんです』と。これは彼女たちの合い言葉でした。
 脳科学と『心技体』
 ─ 実力があっても力を発揮出来ないのはなぜか……。─
 残り15秒。リードされている。命懸けで攻めたいが、気持ちや体まで固まって前に出られない──柔道の井上監督から、その理由と解決策を尋ねられたことがります。
 ではこのとき気持ちの状態を計算してみましょう。『攻めたい気持ち』でプラス1点ですが、『リードされている』『残り15秒しかない』でマイナス2点。つまり合計で気持ちはマイナスになります。これは極限状態での気持ちと本能の関係を表したものですが、普段から我々は、困難に遭遇すると、自分を守るために思わず『難しい』『出来ない』『無理』『相手が強い』などと否定語を口にします。この場合も同じ原理で、マイナスの気持ちが勝り、本能的に安全策を取ってしまうのです。この状態こそが、『気持ちが前に進まなくなる』『無意識に達成出来ない』、すなわち〝負けパターン〟という現象を引き起こすのです。
 解決策は、普段から『否定語は絶対口にしない』と決めて、気持ちのレベルを高めて行く習慣を磨くこと。それと同時に、残り15秒で誰にも負けない〝技術〟を磨くことです。
 ─我が国には古くから『心技体』という概念がある。だが、─
 人格を鍛え、精神を統一させれば、凄い技を繰り返すことが出来る。そう考えるのならそれは間違い。
 脳と体の機能の仕組みから考えると、心・技・体の機能はお互いに連動する〝システム生命科学〟を基本としています。なので、強い体を基に、独自の優れた技術を編み出すことによって、初めて強いこころが生まれるのです。
 技がない者がいくら精神統一をしても技は生まれません。つまり、『他者に追随を許さない、想定外の自分の技を磨く』、これこそが『心技体』の源なのです。
 ─ 日本人は一瞬の判断に弱いーと言われる。─
 実はこれは、『脳は、〝統一・一貫性〟を好む』という本能をしっかり鍛えていないことによるのです。
 イチロー選手やラグビーの五郎丸選手らは、独特の〝ルーチン〟を持っていますよね。この天才的な運動能力を発揮する2人は、ルーチンによって判断基盤の本能を一定にしています。
 試合の場面だけでなく、日常生活で毎日同じことを繰り返すことでも、この本能を鍛えることが出来ます。そしてその結果、彼らは微妙な違いまでわかるように鍛えられるのです。傍らから見ると、なんで同じことを繰り返すのか、と奇妙に思えるのですが、判断する基盤となる〝統一・一貫性〟の本能をいつもレベルアップしているので、普通の人には違いを感じないことでも、本人にはその違いがわかる。そしてその微妙な違いの中から新しい発見が生まれる。
 凡人は繰り返し作業を嫌がりますが、名人がそれを好んでやるのには理由があるのです。
 子供でも、同じ遊びを繰り返し、勉強も易しい基本的なことを繰り返し行う子は大抵優等生になりますね。
 『一旗揚げる』ではなく
 ……
 たとえば、ゴルフのレッスン書は大抵、パッティングの際には『距離と方向を測って打つ』と書いていますね。あれは間違い。
 脳は〝統一・一貫性〟の本能で物事を判断するので、二つのことを同時に行うことが出来ません。先に距離を考えて、次に方向を決めると、脳は新しい〝方向〟という情報に引きずられ、〝距離〟の判断が甘くなります。結果、いつもボールがカップ際で止まるという不思議な現象が起きます。
 パットを決めるために脳ができることは一つだけ。カップインするラインのみを考えてボールが転がってゆくイメージでパッティングするのです。
 ……
 ゴルフは、人間の脳が求める本能と異なる内容をいくつも含んだ。難しいスポーツなのです。
 ─ 世界を股にかけて戦う日本選手たち。その成功と失敗の分岐点は何なのか─
 昔から『一旗揚げる』という言葉があるように、日本人アスリートは、海外に出るとき『勝ってやる』と意気込みますが、これがうまくいかない。
 一方、日本のゴルフツアーで活躍している韓国女性プロゴルファーたちを見ていると、『日本でプレー出来て嬉しい』という気持ちが溢れている。と〝仲間に加わる〟いう意識で、脳が『同期発火』しているんです。『相手を打ち負かす』という考えより、『彼らと仲間になって、自分のゴルフを最高に磨こう』といった考えの方が、才能を発揮出来るのです。
 ─ ちまるところ、才能を発揮するためには、目の前のことを一生懸命こなすだけではダメ、ということだ。─
 勉強でも、一生懸命頑張るだけでは頭が良くなっていかないんです。
 才能を発揮するためには、前頭葉がその機能基盤としている〝統一・一貫性〟の本能を鍛える。それと同時に、『なるほど!そうなんだ!』と口にして、脳細胞が新しい情報に対して同時に反応する〝同期発火〟の機能を高めてゆくことがポイントになってきます。
 ─ 最後に、『メダル確実』だの『負けられない試合』だのと翼賛報道を繰り返す我が国のスポーツマスコミにもひとこと。─
 『勝てる』と思うことも、『勝てない』と思うことも選手にとってマイナス。
 『トリプルアクセルは難しい』と周囲が言えば言うほど、浅田真央選手の脳は無意識に迷いながら緩むのです」
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 日本民族日本人は、自然災害多発地帯の閉ざされた小さなムラを出る事なく命をつなぎながら生き、先祖代々受け継いだ狭い土地を一所懸命に耕し守って来た。
 小さな物音にも怯える程に気が小さく、暗闇や物陰にも怖がる弱虫で、すぐに腰が砕けてへたり込む臆病であった。
 それは決してダメ人間ではなく、石橋を叩いてなを思案する慎重で用心深いと言う事であり、納得できたら脇目も振らずに行動し途中で投げ出さず目的を達成すると言う事である。
 気が小さく、弱虫で、臆病であるが故に、精神主義に走り、心を強くしようとした。
 その反動として生み出したのが、根性や大和魂や日本精神であり、精神統一の座禅や死を覚悟した武士道であった。
 物事に動じない不動心を養う為に、常日頃から自分自身に我慢・忍耐・辛抱を課した。
 日本民族日本人は、他者と競ってまで他者以上の財産や土地そして地位や名誉を得ようという対外的な発展欲望は乏しく、むしろ、自己満足を求める内向的な向上意欲が強かった。
 その為、内圧には強かったが、外圧には弱かった。
 「自分に勝つ」ことが、日本の美徳とされた。
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 日本民族日本人の心を支えたのは、普遍的な絶対神の男性神・父神ではなく、民族的な女性神・母神の最高神である。
 日本の民族宗教・精神世界・神秘世界では、女性神・母神は男性神・父神の上位に位置し、畏れられて祀られている。
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体感! 思考力の鍛え方 ―仕事に負けない〈勝負脳〉―

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名リーダーは「脳」で勝つ

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