👪42〕─1─「組織はなぜ変われないのか」を脳科学の知見。~No.154No.155No.156 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2023年10月6日 YAHOO!JAPANニュース「「組織はなぜ変われないのか」を脳科学の知見から解き明かす
 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
 iStock/studio-fi
■リーダーシップ論、組織行動論の大家がたどり着いた「人間の性質」
 本書『CHANGE 組織はなぜ変われないのか』の「はじめに」は、この本の主張がどのように形づくられたのか、記述の根拠がどこにあるのかを知りたい読者に向けたものだ。
 本書につながる研究の原点は、数十年前にさかのぼる。最初は、「変革」を主なテーマにしていたわけではなかった。当時の主たるテーマは、広い意味での成果だった(その関心はいまも失ってはいない)。大きな成果を上げる企業は、そうでない企業とどこが違うのか。抜きんでた成果を上げるマネジャーや企業幹部とそれ以外の人たちの違いは、どうして生まれるのか。個人や企業が長期にわたり大きな成果を上げ続けるためには、どうすればいいのか。こうした問いの答えを知りたいと考えていたのだ。
 変革とリーダーシップというテーマに関心をもったのは、その延長線上でのことだった。私たちの研究によれば、大きな成果を上げるうえでカギを握る要素のひとつは、変化の速度が増し続ける状況に対処できるかどうかだからだ。
 これまで50年近くの間に、ハーバード・ビジネス・スクールの同僚たち、そして近年は、著者が共同で設立したコンサルティング会社コッター・インターナショナル(コッター社)の同僚たちとともに、複数年にまたがる研究プロジェクトを16件以上実施してきた。深く掘り下げて調べた企業や団体の数は600を軽く超えると思う。そのほとんどは営利企業だが、医療機関教育機関、政府機関、宗教団体、その他の非営利団体でも調査をおこなった。
 調査したプロフェッショナルやマネジャー、企業幹部も数知れない。やはりビジネス界の人がほとんどだが、それ以外の分野の人たちも調査対象に含まれている。実際、最初の研究は、1960年代の激動の日々にアメリカの大都市で市長を務めた20人の人たちを対象にしたものだった。
 どうやってデータを集めたかは個々の研究によって異なるが、共通しているのは、観察調査やインタビュー調査によって、ケーススタディ的な細かい情報を得ることを重視したという点だ。アンケート調査や、ほかの人たちが作成したデータだけに頼った研究はひとつもない。
 こうして集めたデータを定性的に分析し、どのような行動が成功と失敗を生むのかを明らかにすることに力を注いできた。著者たちの取り組みは、変化の速度が増し続ける世界で組織の成功と苦闘を詳細に分析した研究としては最も大規模なものだと自負している。
 これらの研究活動に加えて、この10年間は、コッター社のコンサルティング事業の一環として、研究成果をわかりやすい手引きの形にまとめている。顧客がその手引きを実践する様子を観察すると、変化に関する深い理解に基づいた方法論の有効性が見えてきた。
 著者たちの助言を採用した企業幹部は、異口同音に「変化が激しい世界で想像を絶する成果を上げることができた」と述べているのだ。ある人はこう語っている。「私たちが成し遂げたことは、ほとんどのスタッフにとって、2~3年前までは思いもよらないものでした」
 著者たちの研究成果は、教育機関の教育プログラム、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌の論文、講演やブログ、一般の有力メディアなど、さまざまな場で発表してきた。なかでも影響力が大きかったのは書籍だ。著者はこれまで21点の著作を発表し、12点がベストセラーになっている。
 『カモメになったペンギン』(ダイヤモンド社)と『企業変革の核心』(日経BP社)は、『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーリストにも名を連ね、『カモメになったペンギン』は、ドイツで1年間、オランダでは1年以上にわたり、ビジネス書の売上げトップに立った。
 13点の著作は、ビジネス書・経営書のさまざまな年間ランキングのトップに輝いた。たとえば、『実行する組織』(ダイヤモンド社)は、『インク』誌、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム、『ストラテジー+ビジネス』誌、英国公認マネジメント協会によって、その年の最優秀書籍に選ばれた。最もよく知られている著作は、1996年の『企業変革力』(日経BP社)かもしれない。この作品は、26の言語に翻訳されており、『タイム』誌により、歴史上最も影響力のある25点の経営書のひとつに選出された。
■本書では何を論じるか
 本書『CHANGE 組織はなぜ変われないのか』の土台を成す研究プロジェクトが正式に発足したのは、4年前のこと。コッター社に最新の脳科学の成果を検討する研究グループが設置されたのだ。この20年ほどの間に脳科学は目覚ましい進歩を遂げており、その研究成果は、「人間の性質」が変革とイノベーションに及ぼす影響に関する著者たちの観察結果とかなり一致している。
 脳科学の研究成果、著者たちの数十年にわたる研究と積み重ねてきたコンサルティング経験、そしてビジネス史、組織論、リーダーシップ論、社会人類学の先駆的な研究を組み合わせることにより、変革を実行するのが難しい理由、脅威と機会への向き合い方を改善するためにリーダーが取れる行動について、いくつもの重要な知見を引き出せたように思える。また、大きな成果を上げる企業とそうでない企業の違いを生む力学に関しても新しい発見が得られた。
 この研究により、いくつかの主張の論拠をいっそう強化し、過去の研究をより実践的なものに発展させることができた。
 本書では、たとえば以下のようなことを論じる。
・「破壊的変化」という言葉で表現されるように、世界が複雑化し、変化の速度が増している状況は、今日の組織と個人が直面している試練の一要因と言うより、最大の要因と言っても過言ではない。
・人間の性質と、現代型組織の標準的なあり方は、このような激しい変化に対処するようにはできていない。変化への対処よりも、安定性、効率性、信頼性、脅威の迅速な除去、そしてなによりも目先の生き残りを最優先に行動する性質が根を張っている。
・その結果、世界で起きる変化のスピード、規模、激しさと、企業および人間の対応力の間には、大きなギャップが生じる。そのなかで組織が変化に対して迅速に調整と適応をおこない、変化に乗り遅れないように努める過程は、リスクとチャンスの両方を生み出す。
・適切な行動を取れば、少なくとも一部の企業では──もしかすると多くの企業で──このギャップを解消もしくは緩和できるはずだ。それができる企業は、世界の急激な変化に対して、平均的な企業よりもはるかにうまく対応できる。変化への対応に苦しむ企業との違いはきわめて大きい。自社に影響を及ぼす変化に素早く目をとめて、迅速に新しい対応策を見いだしたり、対応策を修正したりする企業は、社内の人たちも想像しなかったような成果を手にできるのだ。
・個人やチームや組織全体が意識的に、そして計画的に対応力と加速力を高めることができれば、たとえそれがごく小さな進歩にすぎなかったとしても、世界の膨大な数の人たちの人生に途方もなく大きな好影響を及ぼせる可能性がある。
・過去数十年間、とくにこの四年間に著者たちは多くのことを学んだが、その知見はまだ広く活用されていない。私たちの最新の研究とコンサルティングの経験によりはじめて明らかになったように、変化、とりわけ大規模な変化に関する科学的研究が大きく進展している。そうした研究成果をできるだけ早く理解して実践する必要がある。
 本書では、神経科学、組織論、ビジネス史、リーダーシップ論などを土台とする新しい科学的成果をどのように理解し、いま切実に必要とされている変化をどのように実現すればいいかを、具体的かつ実用的な形で示すことを目指す。
 本書を執筆する過程では、ハーバード大学の同僚たちや、コッター社の同僚と顧客など、実に多くの人たちに助けられた。一部の人には巻末の謝辞で言及した。ここでは、すべての人たちへの心からの感謝の気持ちを述べるにとどめたい。
 ジョン P. コッター,バネッサ・アクタル,ガウラブ・グプタ
   ・   ・   ・