👪37〕─1─スマホ脳。使い過ぎで学力が破壊され脳を壊す危険性。~No.108 

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 2021年1月19日 YAHOO!JAPANニュース AERA dot.「見直したい「スマホの使い方」 ジョブズが子どもにデジタル機器を与えないのはなぜ?
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 『スマホ脳 (新潮新書)』アンデシュ・ハンセン,久山 葉子 新潮社
 スマホは平均で1日4時間、若者の2割は7時間も使っているそうです。「スマホがないと生活が崩壊してしまう!」と思う人がいる一方で、スマホがもたらす影響を不安視している人も。子どもがいる場合は「幼いころからスマホを使わせて問題ないのだろうか?」と危惧する人もいるかもしれません。
 スティーブ・ジョブズをはじめとするIT企業のトップたちは、自分の子どもにデジタルデバイスを与えていないといいます。それはなぜなのでしょうか。
 そんな疑問に答えてくれるのが、本書『スマホ脳』です。著者のアンデシュ・ハンセン氏は、今スウェーデンでもっとも注目されているというメンタルヘルスインフルエンサーノーベル生理学・医学賞の選考委員会もある名門カロリンスカ研究所医科大学)で医学を学んだのち、現在は王家が名誉院長を務めるストックホルムの病院に精神科医として勤務しているそうです。そのかたわらで執筆活動もおこなっており、2018年に刊行された『一流の頭脳』(サンマーク出版)は世界的なベストセラーになりました。
 そんな氏の新刊となる本書は、スマホが心の健康にどのような影響を及ぼすのかを最新研究をもとに明らかにした一冊。2019年に刊行されるや、教育大国スウェーデンを震撼させるほどの社会現象になったといいます。
 ハンセン氏が本書で最初にハッキリと述べているのが、「人間の脳はデジタル社会に適応していない」ということです。人間は地球上に現れてからほとんどの時間を狩猟と採集に費やして暮らしており、今でも当時の生活様式に最適化されているため、現在の世界は私たちにとって非常に異質なものだといいます。そしてそのミスマッチが、うつ、睡眠障害、記憶力や集中力、学力の低下といったさまざまな症状を引き起こしているというのです。
 たとえば、スマホブルーライトにはメラトニンの分泌を抑える効果があり、私たちの睡眠時間を狂わせてしまったり、SNSで皆がどれほど幸せかという情報を大量に浴びると、心の平安やバランス、精神力などを司るセロトニンが影響を受けてしまい精神状態が悪くなったりといったことがあるのだとか。
 子どもについてはどうでしょうか。衝動に歯止めをかける前頭葉が発達していない子どもは、スマホを手に取りたいという欲求が我慢できず、デジタル機器がどんどんと魅惑的なものになってしまうそうです。米国小児科学会では、1歳半未満の子どもはタブレット端末やスマホ使用を制限すべきだとの警告を出しているほど。
 しかし、だからといって今さら原始人のような生活に戻ることはできません。では、スマホが引き起こすストレスと私たちはどう付き合っていけばよいのでしょうか?
 ハンセン氏が勧めているのが「身体を動かすこと」。集中力が高まり、ストレスへの耐性がつき、記憶も強化されるといいます。このほか、最終章で掲げられている「デジタル時代のアドバイス」は必見。「自分のスマホ利用時間を知ろう」「寝る直前に仕事のメールを開かない」「SNSは交流の道具と考えて」など、「スマホ脳」に陥らないための重要な提言が書かれています。
 リモートワークが増えたり、家にこもる日が続いたりして、スマホやパソコンなどのデジタルツールに触れる時間が増えた人も多いことでしょう。この機会に、本書を通してスマホとの付き合い方を今一度見直してみるのも良いかもしれません。
[文・鷺ノ宮やよい]
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 2023年 YAHOO!JAPANニュース AERA dot.「【スマホはどこまで脳を壊すか】使い過ぎで学力が「破壊」される驚愕の事実〈dot.〉
 東北大学加齢医学研究所の調査では、スマホで調べ物をしているときは、何もしていないときの脳活動とほとんど変わらないこともわかっている。スマホで調べたことはすぐに忘れてしまうと実感する人も多いのでは。榊先生は「脳がはたらいていないのですから、覚えていなく...
 まとまった休みができると、スマホタブレットを手にSNS、オンラインゲーム、ドラマや映画の視聴などをしているうちに何時間も経っていたという経験は、誰にでもあるはず。近年、急速に普及したインターネットを使用したこれらの習慣は、私たちの脳に悪影響を与えると指摘され始めている。「脳トレ」でおなじみの川島隆太先生率いる東北大学加齢医学研究所は、長期にわたる調査結果からその悪影響について警鐘を鳴らしてきた。同研究所助教の榊浩平先生に、海外での研究もまじえてその深刻な影響について聞いた。(2023年2月13日刊行予定『スマホはどこまで脳を壊すか』から一部抜粋・再編集)
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■「インターネット依存」とアルコール依存の類似性
 まずは、海外で行なわれた調査の結果をいくつかご紹介させていただきます。
 米国では、平均年齢約21歳の大学生1839人を対象に、代表的なSNSの一つであるFacebookの使用と学業成績の関係が調べられました。調査の対象となった学生さんは平均して1日あたり106分、Facebookを使っていました。解析の結果、Facebookをたくさん使用していた学生さんたちほど、学業の成績が低かったことを報告しています。特に、近況のアップデートを投稿したり、メッセージのやり取りをしたりする頻度が高いほど、学業成績への悪影響が見られたようです。
 中国では、平均年齢約28歳のインターネット依存傾向の高い22人の成人を対象に、認知機能の検査が実施されました。この研究の面白いところは、インターネット依存の方と、アルコール依存症の患者さんを比べて論じている点です。
 アルコールの過剰な摂取は、古くから心身の健康に悪影響を与えることがわかっています。一方で、インターネットは普及してから年月がまだ浅いため、過度に長時間使うことがどの程度危険なことなのか、詳しいことはわかっていません。そこで彼らは、既に危険性が明らかとなっているアルコール依存症と、インターネット依存を比較することで、インターネット使用の危険性を明らかにしようと試みたのです。
 解析の結果、アルコールとインターネットどちらにも依存していない健康な人と比較して、インターネット依存傾向の高い人たちは前頭前野の実行機能が低く、衝動性は高いことが報告されています。さらに驚くべきことに、インターネット依存傾向の高い人たちとアルコール依存症の患者さんの間では、成績に差が見られませんでした。
 実行機能は自分で自分をコントロールする能力を支えています。彼らの研究結果から、インターネットへ依存してしまっている人たちは、アルコール依存症の患者さんと同じ程度に、衝動的で自分をコントロールする能力が低いことがわかりました。
スマホ横目に3時間勉強しても成果は30分
 私たち東北大学加齢医学研究所では、子どもたちを対象に脳の発達に対する影響を15年以上にわたって研究してきました。子どもを対象にする理由はいくつかありますが、その一つに、子どもの脳は急激な発達の過程にあるためスマホの影響が表れやすいという点があります。
 東北大学加齢医学研究所は、2010年度より毎年、仙台市教育委員会と共同で全仙台市立小中学生約7万人を対象とした大規模調査(「学習意欲」の科学的研究に関するプロジェクト)を実施しています。本プロジェクトでは、標準学力検査で収集した学力の指標と、同時に実施したアンケート調査で収集した学習・生活習慣に関するデータを用いて、子どもたちの学習意欲や学力と関連する学習・生活習慣を科学的に明らかにすることを目指しています。
 詳しい分析結果は、『スマホはどこまで壊すか』にまとめましたが、スマホの使用時間が長くなるほど、どんどんと学力が低くなっていくことが明らかになっています。また、スマホをいじりながら3時間以上勉強をしたとしても、実質30分勉強した程度の学習効果しか得られないといった、驚くべき結果の数々も出ています。スマホが子どもたちの学力を「破壊」している、そんな恐ろしい現状が浮き彫りになってきたのです。
 ここでご紹介した研究は、子どもたちや10代後半~20代の若者を対象にしたものですが、脳の前頭前野の発達は20歳ごろでピークを迎えるため、30代以降の脳でも同等の影響があるものと危機感をもつ必要があります。
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