🎌6〕─3─皇室の安定的な存続に必要な発想とは?王位継承者5000人超の英国に学べ。~No.34 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 護るべき天皇とは、法律的正当皇統か神話的正統血統か。
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 世界の王家における正統性とは民族的血統ではなく法律的王統であるが故に、国会が国王と承認し、国民が国王として受け入れれば、外国人でも一般民衆でも国王に即位する事を認め、教会は「神の御名」によって戴冠式をおこない祝福した。
 世界の国王・女王、皇帝・女帝は、必ずしも血筋を必須条件とした世襲制ではなかった。
 諸王家の玉座は、自国民だけではなく外国人にも即位の権利があり、王女と結婚すれば市民でも外国人も望めば国王に即位できた。
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 2023年12月28日 DIAMOND online「皇室の安定的な存続に必要な発想とは?王位継承者5000人超の英国に学べ
 上久保誠人立命館大学政策科学部教授
 2021年12月28日
 皇室の安定的な存続に必要な発想とは?王位継承者5000人超の英国に学べ
 2008年、チャールズ皇太子夫妻来日時の模様 Photo:Chris Jackson/gettyimages
 12月22日、安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議が、皇族数の減少への対応策の最終報告書をまとめた。その中では「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」の二つが示されているが、現実的にはハードルがいくつもある。そこで私は英国王室の徹底した維持の備えも参考にすべきだと考える。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人
 世界と比較しても日本の皇室維持は不安定
 2021年3月から、複数回にわたって、安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議が開かれてきた。その最終報告書には、皇族数確保のため「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」の、2案がまとめられた。
 現在、皇位継承権を持つのは、秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男の悠仁さま、常陸宮さまの3人だ。しかし、常陸宮さまは現在86歳である。実質的に皇位継承権者は、秋篠宮家の2人だけで、皇統の維持は、きわめて不安定な状況にあるのは間違いない。
 世界中のさまざまな王室にとっても、王位継承のための血統維持は最重要事項であり、さまざまな王位継承の方法が取られてきた。それら諸外国と比較しても、日本の皇統は、不安定な状況にあるといえる。
 諸外国の中でも特筆すべき王位継承の方法として参考になるのは、日本とある意味、正反対といっていい王族の血統維持の方法を取ってきた英国である。
英国の王位継承権者は5000人以上!?ドイツの一般人まで…
 英国の王位継承権者の数は、実は正確に分からない。さまざまな学者などが調査しているが、2011年時点で4973人いるというのが定説となっていた(Reitwiesner, W. A “Persons eligible to success to the British Throne as of 1 Jan 2001” )。その後、元々王室から排除されていたカトリック教徒に王位継承権が認められて、5753人だという説もある(David Lewis “Persons eligible to success to the British Throne as of 1 Jan 2011”)。
 英国の王位継承順位は、国王の直系子孫で、2011年10月28日以降に誕生したものは、男女の性別を問わずに長子先継(第一子→第一子の子孫→第二子→第二子の子孫)で、2011年10月27日以前誕生の者については、兄弟姉妹間男子優先となっている。
 要は、エリザベス2世のような「女王」が存在し、女王の第一子・チャールズ皇太子皇位継承第1位という「女系継承」も行われる。
 「女系継承」も可能であることで、諸外国の王室・名家と歴代英国王・女王の子孫が婚姻関係を結んだことで、それらの王室・名家にも英国の王位継承者が存在している。
 例えば、ノルウェー国王ハーラル5世スウェーデン国王カール16世グスタフ、デンマーク女王マルグレーテ2世ギリシャ王妃アンナ・マリア、ギリシャ国王コンスタンティノス2世、オランダのベアトリクス前女王とウィレム・アレクサンダー国王などが含まれる。
 その他、ルーマニアセルビア、ロシア、ジョージアブルガリアなどの旧王家・名家にも英国の王位継承権保持者が存在する。ただし、各国の王室・名家は現在の英国王室とはかなりの遠縁であるため、彼らが英国王を継承する可能性は限りなく低い。
 一方、英国の王位継承者には、一般人として暮らす多くの人も含まれている。現在、最下位とされているのは、ドイツの一般人の女性である(WSJ日本版「ライフスタイル/英王位継承権4973位―最下位はドイツの女性」)。
 パンデミックにも対応できる英国王室の徹底した備え
 私は、英国在住時にBBCで、英国の地方都市の小さなアパートに一般人として暮らす、王位継承権を持つ老人を取材したテレビ番組を見たことがある。気さくな笑顔で質素な家の中を案内する老人が、年に一度エリザベス女王の主催するパーティーに招かれて、正装で女王とツーショットに収まる写真をうれしそうに見せていたのを覚えている。
 また、ビジネス界やファッション界など多彩な活躍をしている若い王位継承権者が頻繁にメディアに登場したりもしている(COSMOPOLITAN「あなたが知らない若き英ロイヤル12人、王位継承順位とともにチェック!」)。
 これら王位継承権者は経済的に自立し、自由に活動していて、相続税の減免などはあるようだが、特に国費が投入されることもない。
 また、英国では、日本のような「宮家」があるわけではない。あくまで、「個人」が王位継承者に認定されているだけである。
 これを王室側から見れば、約5000人の王位継承権者が存在するが、特にコストはかからない。実質的に英国王室以外の人に王位を回すことはないので、特に気を使う必要はない。国内の王位継承権者に特権を与えているわけでもないからだ。
 一方、もしも強毒性の感染症パンデミックで人類の多数が死亡したり、核戦争が起こったりして、王室が滅ぶようなことがあっても、王位継承権者が約5000人もいて、外国にもいるので、誰かが生き残っていれば王位を継承できる。英国王室は、存続のために徹底した備えをしているとはいえるだろう。
 皇室存続のための有識者会議の2案は現実的に問題だらけ
 私は、皇室の存続のために、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」という有識者会議の「二つの案」に加えて、英国的な皇位継承権者認定のシステムを一部取り入れてはどうかと考える(これについては後述する)。
 なぜなら、「二つの案」を実行するには、現実的にさまざまな問題があるからだ。
 まず、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」を考えてみよう。有識者会議では、内親王、女王の配偶者たる夫が有力となって、権力を持ってしまう事態があり得ることが指摘されている。
 特に、女性皇族と結婚する一般国民たる配偶者に皇族の身分を認めると、一般人が皇族となる唯一の機会が婚姻ということになる。その結果、女性皇族の婚姻というものにさまざまな思惑が入り込む事態になり、いろいろないさかいが生じるという懸念がある(第6回「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議・ 議事録)。
 次に、「旧皇族の男系男子を念頭に、皇族と養子縁組や、旧宮家そのものの復活を行うとする案」についてだ。
 現在、「旧皇族の男系男子」とされる人の人数は、正確に捉えづらい。識者によって見解が異なり、その人数に幅があるのだ。現実的に皇統の維持のために必要と考えられる「独身の男系男子」に絞ると、久邇宮家、賀陽宮家、東久邇宮家、竹田宮家の旧4宮家に7人~9人いらっしゃるという見解もあった(「旧宮家は現在いくつある? 旧皇族の独身男系男子は何人?」)。
 ただし、その多くの方が未成年とみられ、「子どもの人権」に配慮が必要だ。未成年の男子だけを直接養子にするという無理なことはできず、その父親を養子とすることが、有識者会議でも想定されている。
 しかし、両親とともに子どもも皇室入りすれば、人権上問題がないのかといえば、そうとはいえない。子どもがある日突然、自らの意思にかかわらず皇室に入らされ、人権を制限されるということになるからだ。
 そのため、有識者会議では「養子縁組は、十分な判断能力を有する成人が自らの意思により皇族の養子となり皇族となること」を想定し、「未成年が養子となる場合」は、「一定の年齢に達した後はその意思のみで離縁・皇籍離脱することができる」としている(第11回「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議」に関する有識者会議・資料2)。
 だが、離縁・皇籍離脱の自由を与えても、人権上の問題は万事解決とはいかない。例えば、皇族として教育を受けた子どもが、成人して皇籍離脱した場合、国民の税金で最高の教育を受けさせるため皇室を利用したなどと批判を受けかねない。「国民の血税の無駄遣い」という国民の皇室に対する不満が広がる懸念があるのだ。
 さらに、「門地による差別」という問題もある。旧宮家の男系男子を現在の皇室とは別に、新たに皇族とすることは、一般国民の間における平等原則に対して「門地」などに基づく例外を設けて、「皇族」という継続的な特例的地位を認めることになる。
 いわば、一般人の中から「新たな貴族階級」を作ることになり、それは憲法上疑義があるということだ(第4回「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議・ 議事録)。
 要するに、有識者会議の二つの案を実行するには、さまざまな問題を慎重に検討し、乗り越えなければならないということだ。何よりも問題なのは、男系男子を有する旧4宮家の男系男子自身がこれらさまざまな問題を嫌い、皇族入りを拒んでしまうことだろう。
 英国式システムを取り入れた場合の日本の皇室とは
 そこで、英国式の王位継承を一部応用することを考えたい。それは、男系男子継承の伝統を前提にしながら、皇位継承権者の範囲を大きく広げることである。
 実際に皇族の血を引く男系男子が何人いるのか、できる限り歴史をさかのぼって調査してみることは意味がある。実際、桓武平氏清和源氏、足利氏など、天皇家を起源として血統が広がり、系図も比較的明確に残っている武家や貴族の末裔(まつえい)は全国に存在するだろう。
 その上で、皇統の男系男子を「皇位継承の権利を持つ男子」として認定して本人に伝える。宮内庁がそれを記録しておくが、その記録は個人情報に配慮して、原則的には非公開とする。
 「皇位継承の権利を持つ男子」には、公的な支援はなく、新たな宮家の創設などは行われない。あくまで、権利を持つ「個人」が認定されるだけにとどめることとする。
 ただし、現在の宮家が断絶の危機に陥ったり、公務を行う皇族数が不足したりする場合、この「皇位継承の権利を持つ男子」から、皇族側と本人の合意で、養子縁組が結ばれることとする。女性皇族との結婚を前提とした「見合い」の相手ともなりえるだろう。
 皇室の安定的な存続に必要な発想とは?王位継承者5000人超の英国に学べ
本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されています。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房
 皇位継承の権利を持つ人を「個人」として認定するだけならば、「門地による差別」という憲法上の疑義を乗り越えられるのではないか。例えば「徳川家」や「細川家」など名門とされる家柄・血統が特権を受けることなく存在しているからだ。養子縁組や婿入り自体も、国民の自由意思に基づくものならば問題はない。
 「旧皇族の男系男子」の数が増えることで、たとえ人権の制限がありえる環境でも、皇室の危機を救う覚悟を持つ人が出現する可能性が高まる。皇統消滅のリスクが減る上に、女性皇族の婚姻を巡る思惑が入り込む余地も減じることもできるだろう。
 これまで私は、保守派の「日本の伝統」とされるものに固執する主張は、日本を衰退させる一方ではないかと指摘してきた(本連載第144回)。皇位継承のあり方の議論でも、伝統を重んじる保守派の意見が強すぎては、議論を進めることができず、本質的な問題の解決は先送りされてしまう。
 「皇室」「宮家」という「家」を重んじることなど、伝統は大事だ。しかし、「個人」に皇位継承の権利を与えるという伝統から離れた新たな発想を取り入れることも、将来の持続可能な制度を作るためには重要なのではないかと考える。
 <参考資料>
竹田恒泰『語られなかった皇族たちの真実 若き末裔が初めて明かす「皇室が2000年続いた理由」』小学館文庫
●【ゆっくり解説】皇室問題
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 女系・女性天皇擁立派が目指す理想的天皇像は、非民族非世襲の正当天皇であって民族世襲の正統天皇ではない。
 彼等は、マルクス主義共産主義のエセ保守とリベラル左派である。
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 国家と民族の成立は、日本とヨーロッパと中国・朝鮮とでは三者三様で全然違う。
 現代の日本人には、その歴史的事実が理解できない。
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 世界の開かれた王家とは、人種・民族、出自・出身、身分・家柄、血筋・血統に関係なく、個人の才能・能力・実力で即位できる事である。
 王位の正統性は、宗教で、絶対神の代理である教会による宗教由来「神と国王」の王権神授説・帝位神授説である。
 王位の正当性は、人で、憲法・法律が設置した会議による人間由来「国民と国王」の社会契約説である。
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 世界の王国・帝国は、自国民でなくても他国民でも国王に即位させ、他国の女性でも自国の女王・女帝に即位させた。
 そこには、外国人に対する偏見や差別は存在しなかった。
 その意味において、日本の皇室は閉ざされた王家として世界の非常識で、人種差別・民族差別・宗教差別そして女性差別を含んでいる。
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 西洋諸王国の即位する正当必須条件とは、人種は白人、民族はゲルマン系、宗教は西欧キリスト教、職業が王族か軍人、人物・才能・能力優先で血筋・家柄・身分・階級は二の次、女性でも即位可能である。
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 イギリスの歴代国王の出身部族は、先住民ケルト人を征服したアングロ・サクソン系、ノルマン系、フランス系、スペイン系、ドイツ系であった。
 ヴィクトリア女王の共同統治者である夫アルバート公子は、ドイツ人でザクセンコーブルク=ザールフェルト公エルンスト(後のザクセンコーブルク=ゴータ公エルンスト1世)の次男。
 イギリス人のヴィクトリア女王は、インド皇帝を兼ねてインドを統治した。
 女王エリザベス2世の夫フィリップ (エディンバラ公)は、ギリシャ人(古代ギリシャ人との血の繋がりはない)でギリシャ王家の王子。
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 イングランドエドワード3世は、フランス王家カペー家の直系男児が断絶したのを好機としてフランスに領土を拡大するべく、自らの母(シャルル4世の妹イザベル)の血統(女系相続)を主張して、フィリップ6世のフランス王位継承に異を唱えた。
 フランスの貴族や領主は、フランス国王派とイギリス派に分かれて内戦を始めた。
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 ロシア皇帝エカテリーナ2世は、ドイツ人でプロイセン軍少将の娘で、側近や反ピョートル勢力の貴族・軍隊・教会・その他の支持を得て宮廷クーデターを起こして夫ピョートル2世を廃帝して即位した。側近達は、後顧の憂いを断つ為にピョートル2世を幽閉先で暗殺した。
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 メキシコ皇帝マクシミリアンは、ドイツ人でオーストリアハンガリー皇帝フランツ=ヨゼフ1世の弟。
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 オーストリア皇帝は、スペイン国王を兼ねた。
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 スペイン国王は、ポルトガル国王を兼ねた。
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 フランス・平民階級出身のジャン=バティスト・ベルナドット将軍は、スウェーデンノルウェー連合王国国王に即位してカール14世ヨハンと名乗った。
 スウェーデンの政治家や国民は、フランス人国王を認め受け入れた。
 フランス・マルセイユの絹商人フランソワ・クラリーの末娘デジレ・クラリーは、ベルナドット将軍と結婚して王妃となる。
 カール14世ヨハンとクラリー王妃の王太子がオスカル1世として即位し、フランス系ベルナドッテ王朝第2代のスウェーデン国王およびノルウェー国王となった。
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 ギリシャは、15世紀以後イスラム教国オスマン帝国に支配されていたが、1829年に独立戦争に勝利し、1832年にキリスト教ギリシャ王国を建国して独立した。
 ギリシャ国会は、国王に南ドイツ・バイエルン王国を支配するヴィッテルスバッハ家出身のオソン1世を迎えた。
 ギリシャ軍は、1862年にクーデターを起こしてドイツ人オソン1世を退位させた。
 ギリシャ国会は、次の国王にデンマーク王(グリュックスブルク家)クリスチャン9世の息子ヴィルヘルムが迎えた。
 1863年 ヴィルヘルムは、ギリシャ正教に改宗してゲオルギオス1世として即位し、王妃にロシア大公女オリガ・コンスタンチノヴナを迎えた。
 男ドイツ系女ロシア系のグリュックスブルク朝ギリシャ王国は、1974年までギリシャを統治した。
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 グリュックスブルク家は、オルデンブルク家の流れを汲む由緒ある名家で、現在のデンマーク王国ノルウェー王国の王家で、一族からはギリシャ国王も出している。
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 オルデンブルク朝は、1448年から1863年まで続いた、デンマークを中心とした北欧の王朝で、祖先はドイツ・ニーダーザクセン州オルデンブルクの出身であった。
 オルデンブルク伯エギルマール1世(1108年没)はザクセン公家の家臣であったが、1180年に独立した。
 オルデンブルク家は、13世紀に同家はオルデンブルク伯系とデルメンホルスト伯系に分かれたが、15世紀前半のオルデンブルク伯ディートリヒがデルメンホルスト伯の女相続人アデルハイトと結婚し、デルメンホルスト伯領は本家に復帰した。
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