☴36〕─3─オバマ大統領の広島訪問に、猛反対する韓国メディアと中国共産党。2016年4月。~No.194No195No196 @ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2016年4月11日 中央日報「安倍政権の関係者が旧日本軍慰安婦被害者の強制動員を依然として否定するなか、日本の極右勢力がオバマ広島訪問を韓日関係で歴史の免罪符として強調する可能性もあるという懸念が、一部で出ている」
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 4月12日 中央日報日帝の侵略に苦しんだ韓国としては懸念される点が少なくない。何より今回の訪問が日帝の過ちを薄めさせ、日本が加害者ではなく被害国という間違ったメッセージを与えないかが心配になる。韓国、中国など周辺国を侵略し、多数の良民を虐殺し、苦痛を与えた事実までが許されたり忘れられたりしてはならない」()。
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 4月13日 ソウル新聞「オバマ大統領が広島を訪れる場合、日本が加害国ではなく被害国に変わることができるのを忘れてはならない。韓国、中国など周辺国に対して犯した日帝の蛮行に、誤れば免罪符を与えてしまう」
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 4月15日 朝鮮日報オバマ大統領の広島訪問は、日本が被害者だという印象を与え、まだ反省と謝罪が終わっていないアジアの加害国だという事実を隠す結果につながる可能性がある」
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 中央日報「東アジア全体の目で見れば、米大統領が今、広島に行くのは時期尚早だ。日本は韓国や中国などの被害国から完全に許しを受けたわけではない。被害国が心を開くことができないのは、日本政府が心から過去の過ちを反省していないとみるからだ」
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 朝鮮日報ナチスの蛮行を繰り返し謝罪してきたドイツとは違って、日本は周辺国を納得させられるほど歴史問題について十分に反省していない。日本の首相はハワイの真珠湾を訪れ謝罪したことがない。日中戦争中の南京大虐殺についても、被害者数を少なく見せようとしている」
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 中央日報オバマ大統領の広島訪問が実現しても、これが日帝の蛮行に対する免罪符ではないことを米国は明確にしなければいけない」
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 金鎮荽(キム・ジンヒョン世界平和フォーラム理事長の中央日報への寄稿)「日本の首相が中国・南京の記念館と韓国の独立記念館を訪問し、『正義の平和』を訴えるとき、米大統領ハノイの戦争記念館を訪問するとき、米軍最高司令官(米大統領)は広島に行くことができる。今ではない」
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 4月27日 06:18 産経ニュース「【オバマ氏の広島訪問】「加害国・日本が被害者になる」 反発の韓国メディア、自らの歴史認識にこじつけ? 「日本の首相は真珠湾を訪れ謝罪したことがない…」
 オバマ米大統領=25日、ハノーバー(AP)
 【ソウル=名村隆寛】オバマ米大統領が5月末に広島を訪問する見通しとなったことに関し、韓国メディアの多くは、ケリー米国務長官が4月10、11日に広島を訪問した前後から「太平洋戦争を起こした“加害者”である日本を“被害者”に変えてしまう」と反発しており、オバマ氏の訪問を問題視し続けている。
 韓国紙、中央日報は12日付の社説で、「東アジア全体の目で見れば、米大統領が今、広島に行くのは時期尚早だ」と断じた。その理由として、「日本は韓国や中国などの被害国から完全に許しを受けたわけではない」とし、日本の韓国などへの謝罪が、広島訪問の前提であると主張。「訪問が実現しても、日本の蛮行に対する免罪符ではないことを、米国は明確にしなければならない」と要求した。
 ソウル新聞も13日付の社説でほぼ同様の主張を展開。朝鮮日報も15日付のコラムで「オバマ大統領の広島訪問は、日本が被害者だという印象を与え、まだ反省と謝罪が終わっていないアジアの加害国だという事実を隠す結果につながる可能性がある」と強調した。その上で、「北東アジアの歴史的感情を十分に考慮しないまま踏み出すオバマ大統領の第一歩は、むしろ混乱だけを引き起こすかもしれない」と主張した。
 同紙は25日付でも、「ドイツとは違って、日本は周辺国を納得させられるほど歴史問題について十分に反省していない。日本の首相はハワイの真珠湾を訪れ謝罪したことがない。日中戦争中に起きた南京大虐殺についても、被害者数を少なく見せようとしている」とし、韓国が主張する歴史認識と広島訪問を強引に結びつけた。
 韓国政府は、オバマ氏の広島訪問が発表されていないため、公式な見解は明らかにしていない。」
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 4月27日07:06 産経ニュース「【オバマ氏の広島訪問】「未来に目を」と米主要メディア支持 謝罪警戒の声も「本土上陸は原爆より多くの死者がでたはずだ」
 【ワシントン=加納宏幸】オバマ米大統領は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)出席に合わせて広島を訪問する見通しだ。史上初めて原爆を投下した米国の現職大統領として被爆地を初訪問し、「核兵器なき世界」を訴えるのが狙いだが、米国内では議論が分かれている。主要メディアが支持する一方、原爆投下が戦争終結を早めたという正当化論の観点から慎重な意見も根強い。
 オバマ政権で昨年まで外交方針の策定に当たったシャーマン前国務次官(政治担当)は最近、米CNNテレビのサイトに寄せた論評記事で「謝罪のためではなく、未来に目を向けるため過去を認めようとしている姿勢を地域の同盟国に示すことが米国の利益につながる」として、オバマ氏に広島訪問を求めた。
 シャーマン氏は原爆投下により「戦争終結が早まったことで多くの米国人の命が救われたことは間違いない」としつつも、原爆投下が「多くの市民に及ぼした恐ろしい影響は否定できない」と指摘。慰安婦問題での日韓合意で、オバマ氏の広島訪問の決断は容易になったとの見方を示した。
 ニューヨーク・タイムズ紙は社説で「オバマ氏が広島を訪問する最初の米大統領になることを妨げるものはない」と断言した。また、ワシントン・ポスト紙の社説は、米大統領選の共和党候補指名争いで先行するドナルド・トランプ氏(69)が日韓の核武装を容認する発言をしたことを挙げて、オバマ氏の広島訪問で「トランプ氏の向こう見ずな発言に対抗することができる」とした。
 その一方で、米研究機関「米国外交評議会」のローレンス・ハース上級研究員はUSニューズ&ワールド・リポート誌への論文でオバマ氏は広島訪問を控えるよう主張した。
 ハース氏は、トルーマン大統領(当時)が原爆投下を決断したのは本土決戦に100万人の米兵を要し、25万人の命が失われると報告を受けた結果であると指摘。仮にオバマ氏が訪問しても「日本が降伏を拒んでいたことや本土上陸で原爆よりも双方により多くの死者が出る可能性があったこと」を考慮し、謝罪すべきでないと指摘している。
 ただ、米国内の原爆投下正当化論は世代によって弱まっていることが、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが昨年実施した調査で分かっている。全体では米国人の56%が広島、長崎への原爆投下を「正当化できる」と答え、65歳以上では70%に上ったが、18〜29歳では47%だった。
 シャーマン氏は「数年もすると米国人の過半数が(原爆投下は)間違いだったと信じるようになる」との見方を示している。」
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 5月12日 朝鮮日報「原爆の悲劇は日本の帝国主義が起こした戦争と蛮行の結果
 韓国は日本の最大の被害者だ……オバマ大統領には、太平洋戦争のシンボル的な場所である広島で日本の戦争責任を指摘し、その悲劇の原因を作ったのは誰なのか、その真の被害者は誰なのかを明らかにして欲しい」
 中央日報オバマ大統領の広島訪問は日本の被害者のイメージばかり浮き彫りにするおそれがあり、本当の被害者である韓国・中国など周辺国に誤ったメッセージを送りかねない」
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 5月28日 産経ニュース「【オバマ大統領広島訪問】「韓国人慰霊碑訪れず」韓国紙はそろって不満「安倍政権に免罪符与えた」
 所感を述べるオバマ米大統領=27日午後5時57分、広島市中区(山田哲司撮影)
 【ソウル=名村隆寛】オバマ米大統領が27日、広島を訪問し、原爆による「韓国人犠牲者」にまで言及したにもかかわらず、28日付の韓国各紙は、韓国人原爆犠牲者の慰霊碑を訪れなかったことや、韓国人被爆者を招待しなかったことに対し、不満を込めて報じた。また、安倍政権に(戦争責任の)「免罪符を与えた」とも批判している。
 東亜日報は社説で、オバマ大統領が献花した原爆慰霊碑から150メートル離れた韓国人慰霊碑を訪れなかったことに、「韓国としては寂しさを感じるしかない」と指摘。「日米首脳が並んで献花する姿を世界に見せることで、日本の“戦争被害国イメージ”を政治的に利用しようとする安倍政権に免罪符を与えたのにほかならない」と批判した。
 ハンギョレ紙も社説で、オバマ大統領が韓国人慰霊碑に足を向けなかったことを「弁明の余地がない」と断じた。その上で、「韓国人慰霊碑への追悼を避けたのは、長らく韓国人被爆者の存在自体を認めなかった日本政府の二重的な態度と変わらない」と批判。「オバマ大統領は、式典に日本人被爆者を何人か参加させつつも、どうにか現地を訪れた韓国人原爆被害者たちとは、会おうと考えさえしなかった」とも訴えた。
 同社説はまた、オバマ大統領が原爆投下による民間人犠牲者について「明確に謝罪していない」とする一方、「安倍政権は今回の訪問を“被害者日本”のイメージ作りに活用している」と安倍政権の意図を曲解して分析している。
 朝鮮日報は、オバマ大統領が演説で韓国人被爆者にも言及したことに触れつつも、韓国人被爆者の慰霊碑には行かなかったことを指摘。「オバマ大統領は演説後、2人の被爆者と握手し抱きあったが、韓国人被爆者は最後まで招待されず、(会場の)公園の中に入ることさえできなかった」などと不満気味に報じた。
 オバマ大統領の広島訪問について同紙は、「結果的に日本の右翼に免罪符を与える結果で終わるとの見方もある」としたほか、「オバマ大統領は広島訪問が謝罪と映らないよう神経を使ったが、多くの日本人には『事実上の謝罪』と受け止められているとの見方もある」と論じた。
 また同紙は、演説の中でオバマ大統領が、「原爆による日本人犠牲者を10万人、韓国人の死者を数千人と言ったが、公式資料とは違う」などと、「オバマの錯覚」という表現を使って問題視した。「原爆による死者は14万人とされ、うち3万人が韓国人である」とし、日本人の死者10万人は公式発表よりやや少なく、「韓国人の死者を数千人としたのは実際よりも途方もなく少ない」と細かく指摘した。
 別のコラムで同紙は、「オバマ大統領が高齢となった広島の被爆者代表を抱きしめ、被爆者代表は、オバマ大統領にほほ笑んで語りかけた」と大統領と被爆者の触れ合いを紹介。「このような場面が朝鮮半島でも再現され、安倍首相が元慰安婦被害者のおばあさんらに会うことはできないだろうか」と直接は関係のない原爆投下と慰安婦問題を結びつけた。」
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 6月1日 産経ニュース「【記憶遺産】慰安婦申請、中国当局が背後で主導か オバマ米大統領の広島訪問で「中国こそ被害者」アピールも
 【北京=矢板明夫】韓国に事務局を置く日中韓などの8カ国・地域の民間団体からなる「国際連帯委員会」が、慰安婦関連資料を国連教育科学文化機関(ユネスコ)への記憶遺産に登録申請した。中国外務省の報道官は「被害国の民間組織による共同申請を支持する」と公式に表明した。今回の申請で、歴史問題で日本と徹底的に対抗したい中国政府が裏で大きな影響力を発揮した可能性が高い。
 申請は、複数の国・地域の民間団体が連携したという形を取っているが、その中で中国と韓国の団体が主導的な役割を発揮したといわれている。韓国には政府から独立した民間団体は多くあるが、一党独裁体制の中国では、民間団体の活動が厳しく制限されており、外国と連携し政治活動を目的とする団体は、政府の別動隊である場合がほとんどだといわれる。例えば、日本との民間交流を推進する民間団体、中日友好協会の職員は準公務員によって構成されている。
 中国の公文書館は昨年、慰安婦に関する資料の登録申請をユネスコに見送られており、今回は形を変えて再挑戦したといえる。中国の共産党関係者は、「この時期の申請は中国にとって外交上、大きな意義がある」と指摘した。
 2015年12月、慰安婦問題をめぐる日韓合意を受け、中韓両政府による歴史問題の対日共闘体制は解体。中国が今回、慰安婦関連の民間団体との連携を強化したのは、韓国世論の反日感情をあおり、朴槿恵政権の日本との接近を牽制したい思惑がありそうだ。
 中国当局はまた、5月末にオバマ米大統領が広島を訪問し、原爆死没者慰霊碑に献花したことで、日本が戦争被害者であるとの国際的イメージが広がることを警戒している。中国としては再び慰安婦問題を持ち出すことで、「中国こそ被害者だ」とアピールする狙いがあるとみられる。」
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 6月4日 産経ニュース「【オバマ大統領広島訪問】被爆者との歴史的抱擁の裏側で抗議のシュプレヒコールを上げる人々がいた…韓国人被爆者も「謝罪しろ!」
 原爆ドーム前で「オバマ広島訪問反対」というのぼりを掲げて抗議活動を行うデモ隊=広島市中区
 オバマ米大統領が広島を訪問し、原爆被爆者と静かに抱擁を交わした歴史的一日となった5月27日、祝福ムードの中で「訪問反対」のシュプレヒコールをあげた人たちがいた。原爆を投下した当事国である米国の現職大統領が初めて慰霊碑に祈りを捧げに来るのに、敢えて反対する理由は何なのか? 彼らの主張に耳を傾けてみた。
 「再び核兵器を使うに違いない」?
 「オバマの広島訪問反対!」「被爆地を政治利用するな!」
 「皆さん、だまされないでください!」「エセ平和団体!」
 オバマ氏の訪問を約5時間後に控えた27日午後0時半ごろ、訪問地の平和記念公園に隣接する原爆ドーム前で、反対デモ隊と訪問を歓迎する団体が互いに“口撃”を繰り広げていた。数十人の警察官が取り囲む中、激しい応酬は約30分間続いた。
 デモは「被爆71周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会」が主催。「全ての米軍基地を撤去せよ」などと書かれたのぼりやプラカードを持った男女30〜40人が集合した。メンバーの男性は「謝罪なしに来ることは絶対反対。再び核兵器を使うに違いない」と語気を強めた。
 一方、対立したのは「在日特権を許さない市民の会」(在特会)のメンバーらでつくる市民団体「行動する保守運動」。オバマ氏に歓迎の気持ちを示すために広島を訪れていたという。マイクを握っていた女性(40)は「オバマ大統領を歓迎しないなんて日本人とは思えない」と主張した。
 にらみ合いの後、デモ隊は繁華街の中へ。「広島を戦争に利用するな」などと拡声器で呼びかけながら行進していった。
 12歳のときに被爆したという広島市中区の女性(83)は「オバマ大統領が来るのを皆、心待ちにしているのに、あんなことを言うなんて、日本人として恥ずかしい」と眉をひそめた。
 どうしても「米帝」に反対したいのか
 オバマ氏の訪問は被爆者団体などの長年にわたる要望で実現した経緯がある。それなのになぜ訪問が戦争につながるのか。「日米同盟強化のための訪問反対」との主張から、どうやら日米同盟の深化に反対しているようだ。
 主催団体共同代表の大江厚子さん(60)=セイブ・ザ・イラクチルドレン広島代表=は「オバマ大統領は本気で核廃絶する気はない。慰霊を済ませたことで『免罪符』を得たいだけだ」との見解を述べる。
 さらにオバマ氏について「(核廃絶は)ポーズだけで核兵器の発射ボタンは常に握っている。そもそも覇権主義アメリカ大統領である時点で信用できない」とこき下ろした。
 では、訪問を熱望していた広島市民の思いはどうなるのか。大江さんは「大統領が来れば解決する問題ではない。武力とカネで世界を制圧しようとする人たちに物申すことが必要だ」と熱っぽく語る。武力とカネ、それはつまり覇権主義と資本主義のことだ。いつの間にか政治思想の話にすり替わってしまった。
 それでも求める謝罪と賠償
 一方、独自の闘いを進める人々も。27日午前、韓国人被爆者と被爆2世の計6人が、平和記念公園の韓国人原爆犠牲者慰霊碑で支援者とともに手を合わせ、黙とうを捧げた。
 その1人、沈(シム)鎮泰(ジンテ)さん(73)は「オバマ大統領は韓国人原爆被害者の慰霊碑を訪れることを要求する」とのオバマ氏へ宛てた手紙を読み上げた。
 沈さんは「日本の侵略戦争と植民地支配への責任を回避しようとする安倍政権の意図に利用されないことを望む」などと持論を展開し、「韓国人原爆被害者への謝罪と賠償は当然な責務」と言及した。
 最後は日本語と韓国語で「オバマ大統領は謝罪しろ!賠償せよ!」と拳を突き上げ、全員でシュプレヒコールをあげた。
 沈さんは本来、26日午後に献花する予定だったという。だが、降り立った関西空港での入国手続きで「日本政府の妨害」にあい、26日の訪問が叶わなかったのだという。
 別室で聴取されたことや荷物検査を実施されたとした上で、「植民地支配下で与えられた、大変な侮辱を感じた」と憤る沈さん。
 オバマ大統領への手紙を「平和的に渡したい」と話したが、主に警備上の理由から、直接接触することは難しかったようだ。
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 6月5日 産経ニュース「【加藤達也の虎穴に入らずんば】「力ずく」で徴用された朝鮮人とはこれいかに…原爆資料館の誤解を招きかねない英訳に異議あり
 米国のオバマ大統領が現職大統領として初めて被爆地を訪れた。オバマ氏は平和公園に到着後、まず平和記念資料館(原爆資料館)で芳名録にメッセージを記帳し、12歳で亡くなった被爆犠牲者の佐々木禎子さんが闘病中に折り続けた折り鶴などの遺品を見学。オバマ氏自身が折った折り鶴を寄贈するというサプライズ演出もあった。
 オバマ氏訪問の翌日、資料館には“オバマの折り鶴”を一目見ようと多数の人が列をなしたが、まだ展示されていなかったことにがっかりしたという。反響の大きさを物語るできごとだ。
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 資料館によると、国内外からの来館者は最近の5年間、増加傾向で昨年度は150万人に迫った。
 特に外国人の伸びが大きく、平成27年度には約33万8900人で、前年度を10万人以上、上回った。5月28、29日の外国人来館者数はそれぞれ1564人、1305人。昨年5月の最後の土、日曜は734人、703人だったからほぼ倍増した。今後“オバマ効果”でヒロシマへの関心は高まり、資料館を訪れる人はさらに増えるのではないか。
 核兵器の脅威を世界に広め日本の平和に取り組む姿を国際社会にアピールするため、この状況は最大限に活用されるべきだと思う。
 だが、気がかりなことがある。それは、展示品に付けられている説明文の一部に誤解を招きかねない表現があるということだ。
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 本館の展示スペースの入り口を入ると、被爆当時の爆心地付近の町並みを再現した円形の大きな模型がある。原爆ドームの上空には原爆の炸裂(さくれつ)直後に発生した赤い巨大な火球が不気味に浮かんでいる。
 模型の縁には「直接被爆者」という説明書きのプレートがあり、昭和20年8月6日の原爆投下時、広島にいた約35万人とみられる「直接被爆者」のなかに数万人にのぼる朝鮮の人たちが含まれていたことに言及。《日本国内の労働力を補うため、朝鮮から強制的に徴用され、軍需工場などで働いていた》と続いている。
 朝鮮半島出身者の日本本土での勤労動員は、朝鮮半島における国民徴用令の適用免除が解除された19年9月に始まり、20年3月に人員輸送のための船舶と航路の確保が困難になるまで、約7カ月続けられた。国民徴用令に基づく勤労動員を「強制的に徴用」とする表現が正確か否か、日韓の専門家の間にも異論がある。
 説明文には英訳があり、《(略)were brought by force to Japan(略)》とある。《by force》 は「強制的に」「力ずくで」という意味だ。資料館によるとこの説明板は平成3年に設置された。まず日本語、次いで英文が作成されたが内容や表現の決定経緯は分からないという。歴史認識問題に詳しい福井県立大の島田洋一教授は、この表現について「過度に朝鮮人の被害性を強調した英文になっている。by forceは削除すべきだ」と指摘する。
 「徴用された」「労働力として動員された」ではなぜいけないのだろうか。
 昨年7月のユネスコ世界遺産委員会での「明治日本の産業革命遺産」登録にあたっても、やはり朝鮮からの勤労動員に関する英文で外務省が「力ずくで」の表現を入れ、韓国側を歓喜させた。
 本館は今年10月に全面リニューアル作業に入る。模型展示は撤去されるが、朝鮮半島からの徴用についてはいずれかの展示で触れられるだろう。外国人への影響力が大きくなる資料館には、史実に忠実な表現で、日本の平和への取り組みを伝えてもらいたい。」





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原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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