👪30〕─1─「幸運を信じる人」の成績がいい科学的な理由。~No.91No,92No.93 

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 2022年8月26日 MicrosoftNews 東洋経済オンライン「「幸運を信じる人」の成績がいい科学的な理由 実験が明らかにした「儀式」や「お守り」の力
バーバラ・ブラッチュリー
 © 東洋経済オンライン 「自分は運がいい」と考える人は、脳の「実行機能」が高いそうです(写真:takeuchi masato/PIXTA
 世の中には「何をやってもなぜかうまくいく人」がいる一方、「何をやってもうまくいかない人」がいる。では、「うまくいく人」には、なぜ幸運が舞い込むのだろうか? 運がいい人と悪い人には、なにか私たちの知らない習慣や行動、考え方の違いがあるのだろうか?
 「運」の起源やメカニズムを科学的に検証し、どうすれば「運」を呼び込むことができるのかを解説した、心理学者・神経科学者のバーバラ・ブラッチュリー氏の著書、『運を味方にする 「偶然」の科学』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。
 「不運だ」と思うと実行機能が損なわれる
 心理学者のリズ・デイとジョン・モルトビーは、幸運を信じると全体的な心理面でのウェルビーイングが高まるかどうかを検証した。
 調査では144人の男女に、幸運を信じているかどうかを尋ね、それぞれのうつ状態、不安、楽観主義、神経症傾向についても調べたあと、その結果になんらかのパターンをさがした。
 すると、自分や他人は運に恵まれていると強く信じていない人ほど、うつ状態にあったり、不安を覚えたりしていた。いっぽう幸運を信じている人は楽観的で、うつ状態でもなければ、不安を覚えてもいなかった。
 それとは別の調査でモルトビーの研究チームは「自分は運が悪い」と思い込んでいる人たちには「実行機能」が損なわれている傾向があることに気づいた。
 実行機能とは、計画を立てたり、当初の計画が失敗したときに代替案を立てたり、物事を整理して考えたり、いま着手している課題に集中したり、その課題を達成するまで注意を維持したりする一連の認知機能を指す。
 自分は幸運だと思っている人は、平均より上の実行機能をもっているわけではない。ところが自分は不運だと思い込んでいる人には、実行機能のはたらきが弱い例が多かった。
 その後、ついにリザン・ダミッシュ、バーバラ・ストーブロック、トマス・マスワイラーが、迷信によって困難な課題でのパフォーマンスが向上するか否かの研究に着手し、まず、前述の研究結果から得られた結論を検証することにした。
 つまり、成功する見込みがきわめて不確実である場合、心理的にきわめて高いストレスを覚え、認知機能も衰えるため、人は迷信的な儀式に頼りやすくなるという説だ。
 迷信的な儀式をおこなえば、緊張がやわらぎ、状況をコントロールできるという幻想をもてるようになる(それだけで十分な場合が多い)。すると、周囲に広がる混沌とした予測のつかない世界が、それほど不安には思えなくなる。
 これが事実だとするならば、迷信を実行に移せば、自己効力感(出来事を自分でコントロールできるという認識)が高まり、よりいっそう懸命に課題に取り組み、より長く努力を続けるはずだと、研究者たちは考えた。
 さらに、迷信を実行に移せば、楽観主義や希望といった感覚をもてるようになり、どんな課題に取り組んでいようと、パフォーマンスが向上するはずだった。
 「ラッキーボール」の驚くべき効果
 この仮説を検証するために、ダミッシュはいくつかの実験をおこなった。
 第1の実験では、ふたつのグループの学生(ゴルファーはいない)に、ゴルフボールのパッティングをしてほしいと頼んだ。ひとつのグループはただゴルフボールを渡され、「がんばって」と言われた。
 もうひとつのグループはゴルフボールを渡される際、「このボールはラッキーボールで、みんな成功したのよ」と言われた――そのボールには幸運が宿っていると吹き込まれたのだ。
 すると、いわゆるラッキーボールを渡された学生たちは、ボールについてなにも言われていない学生たちよりも、パッティングのスコアがよかった。
 第2の実験では、ふたつのグループの学生におもちゃをひとつ渡した。左右にバランスよく傾けて、小さなボールを穴に入れる仕組みのおもちゃだ。
 ひとつのグループは「これは指を交差させて幸運を願うしぐさの効果を調べる実験です」と言われた(ドイツでは幸運を願う際、「きみのために親指を押すよ」と表現する。この実験はドイツでおこなわれたので、実際にはこの表現が用いられた)。
 もうひとつのグループは、予想がつくだろうが、ただおもちゃで遊び、ボールを穴に入れてくださいと言われた。
 するとたしかに、幸運を願うしぐさの効果を調べる実験だと信じていたグループは、そうではないグループより、小さなボールを小さな穴により多く入れたうえ、要した時間も少なかった。
 ほかのふたつの実験では、あなたの幸運のお守りを研究室にもってきてほしいと、学生たちは事前に頼まれていた。
 そしてひとつのグループは記憶力テスト(基本的にトランプの神経衰弱で、カードをひっくり返してペアをつくる)やアナグラムの課題(8つの文字を組み合わせて、できるだけ多くのドイツ語の単語をつくる)に取り組むあいだ、お守りを身につけることを認められた。
 そして、もういっぽうのグループは、それぞれの課題に取り組む前に、お守りをとりあげられた。
 さあ、あなたにも予想がつくだろう――お守りを身につけていたグループは、お守りをとりあげられたグループよりも、記憶力テストとアナグラムの課題の両方でいい成績をおさめた。
 「幸運を信じる」ことの大きな恩恵
 ダミッシュはこうした結果から“幸運を信じる迷信を活性化させると、課題をこなす能力が自分にはあると思えるようになり、パフォーマンスが向上する”と述べている。
 宇宙における外部の力として、あるいは私たちの行動すべてにその効果があらわれる個人の特性として、呪術的思考、迷信、幸運を信じると、きわめて大きな恩恵がもたらされる。
 こうしたことを信じていればストレスや不安をやわらげられるし、不確かな状態に道筋が見えるような気がするからだ。
 (翻訳:栗木さつき)」
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