🌋3〕─1・B─下戸遺伝子が多い東海三県は古代のマラリア蔓延地帯。~No.8 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 コメが日本人の遺伝子を大きく変えた。
   ・   ・   ・   
 日本国と日本民族は、最高神の女性神天照大神を崇拝し、天照大神の稲神話を信奉していた。
 天照大神とは、男系父系天皇の祖先神である。
   ・   ・   ・   
 コメが日本人の遺伝子を大きく変えた。
 日本人の胃は、穀物を食べるようにできている。
   ・   ・   ・   
 日本遺伝子の進化と日本文化の進歩は、数千年前からコメを食べる事で途切れる事なく行われてきている。
   ・   ・   ・   
 2023年5月31日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「じつは「三重県」「愛知県」「石川県」「岐阜県」に下戸が多い、あまりに「意外すぎる原因」
 奥田 昌子 
 「生まれ持った遺伝的な体質」は変えられる! 最新科学が示す「日本人が健康になる秘訣」とは?
 親から受け継いだ遺伝子は生涯変わらないから、がん、糖尿病、認知症、高血圧、肥満など、さまざまな病気のリスクや体質は「遺伝的なものだし仕方ない」と思っていませんか。しかし、近年のゲノム生物学の進歩によって、生活習慣や環境で遺伝子の働きが変わり、「病気のなりやすさ」も変わることが明らかになってきています。日本人の遺伝子と体質の特徴を捉えていくと、どうすれば遺伝的なリスクを抑え健康に過ごせるかが見えてきます。
*本記事は『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社ブルーバックス』を抜粋・再編集したものです。
 コメが日本人の遺伝子を大きく変えた
 水田が広がる日本では、古代から近代までマラリアが全国で頻繁に発生しました。『源氏物語』には、主人公である光源氏マラリアと思われる病気をわずらう記述が出てきます。
 近代に入ると住まい周辺の環境が整備され、土地の改良と殺虫剤の使用が進みました。これによりマラリアは次第に減少し、昭和10年ごろには「マラリア5県」に集中して発生するようになりました。図2‒2の上の地図に示すように、日本海に面する北陸から太平洋側の愛知県まで本州の真ん中あたりを横断する地域です。
 じつは「三重県」「愛知県」「石川県」「岐阜県」に下戸が多い、あまりに「意外すぎる原因」
 © 現代ビジネス
 「マラリア5県」が位置する本州中央部には、もう一つ大きな特徴があります。都道府県ごとに100人からゲノムを採取して、酒に弱い人の割合を調べたところ、下戸の割合がもっとも高かったのが三重県で、次いで愛知県、石川県、岐阜県であり、かつての「マラリア5県」とその周辺に、酒に弱い人が集中していることが明らかになりました。図2‒2の下の地図を見てください。
 本州中央部には標高3000メートル前後の山脈が連なり、ここから流れくだる無数の川が水を豊かにもたらします。おそらくは古代からマラリアがたびたび発生していたでしょう。この地域に住む人々は「酒に弱くなる方向に進化」することで、マラリアに対抗しようとしたのかもしれません。
 コメを育て、コメを食べてきた日本人の体内では腸内細菌も変化したようです。人の腸には人種を問わず約1000種類の腸内細菌が100兆個も存在し、日本人に限ると、腸内細菌は合わせて約500万個の遺伝子を持つと報告されています。
 日本を含めた12ヵ国の人から腸内細菌を採取して、遺伝子をもとに腸内環境を比較した研究によると、腸内細菌の遺伝子全体の約半分が日本人に特有であることがわかりました。わかりやすくいうと、日本人の腸にしかいない細菌が全体の半数近くを占めているということです。
 これを海外の人から得られたデータと比較したところ、日本人の腸にはビフィズス菌をはじめとする善玉菌が多く、穀物に含まれる炭水化物や、アミノ酸をむだなく利用するのに役立つ細菌も多数いることが明らかになりました。そのおかげで穀物からエネルギーをしっかり取り出すことができます。
 穀物に含まれるでんぷんを消化するのも得意です。でんぷんを消化するアミラーゼという酵素をどれだけ作れるかは、アミラーゼを作るよう指令を出すアミラーゼ遺伝子の数で決まります。アミラーゼ遺伝子はゲノムのなかにコピーがいくつかあって一斉に指令を出すため、コピーの数が多いほどアミラーゼがたくさんできるわけです。
 食事に占めるでんぷんの割合と、唾液に含まれるアミラーゼ遺伝子のコピー数を世界各地で比較した研究によれば、日本人をはじめ、でんぷん摂取量の多い地域の人は、狩猟や牧畜に依存して穀物をほとんど食べない各地の先住民とくらべてアミラーゼ遺伝子のコピー数が多く、コピーを6個以上持つ人の割合がほぼ2倍高かったそうです。
 面白いことに、この変化は犬でも起きています。オオカミが家畜化されて犬になる過程で、膵臓でアミラーゼを作るよう指令を出す遺伝子のコピー数が平均で7・4倍増えたという報告があります。でんぷんを消化する力が高まったおかげで、犬は人が残した穀物を食べられるようになったのです。
 日本人の胃は、穀物を食べるようにできている
 炭水化物を中心に食べてきた日本人は胃の形も変化しました。鉤状胃といって、図2‒3の左に示すように縦に長く、釣り針のように曲がった形をしています。穀物は食物繊維が多いため、胃のぜん動によってどろどろになるまで砕き、十分に処理してから腸に送る必要がありますが、胃が袋のようになって出口が高い位置についているため、食べたものをしっかりためて消化できます。
 © 現代ビジネス
 これに対して欧州系の人は肉食が中心で、脂肪と動物性蛋白質を多く摂取してきました。脂肪と蛋白質はおもに小腸で消化されるため、胃での処理は手早く終えて腸に送り出すほうがよいのです。そのため胃酸の量が日本人より約2倍多く、分厚い筋肉を使って内容物を力強く押し出せるようになりました。図2‒3の右のイラストのように、牛の角に似たすっきりした形をしていることも内容物のスムーズな移動に役立ちます。牛角胃と呼ばれる形です。
 どんな遺伝子が胃の形と機能を決めるのかはわかっていないものの、体の「設計図」ことゲノムに違いがあるのは間違いないと思われます。
 近年増えている逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで胸やけや、みぞおちに焼けるような痛みが起きる病気です。最近は日本人全体の20~30%に発生しているとまでいわれていますが、以前は日本人にはまれでした。
 その原因は、一つには脂肪の摂取が少なかったことです。欧州系の人にみられるように脂肪は胃酸の分泌を促します。もう一つはピロリ菌の感染率が高かったことです。ピロリ菌に感染して胃の粘膜に炎症が起きると、胃酸を作る細胞が減って胃酸が少なくなります。穀物をじっくり砕くのには時間がかかりますが、胃酸が少なかったことと、胃が縦長であるために、逆流することはめったになかったでしょう。
 それが脂肪の摂取が増え、ピロリ菌の除菌が進むにつれて逆流性食道炎が増えたという指摘があります。日本人の胃は内容物をすぐ腸に送る構造になっていないため、脂肪が長時間胃にとどまって胃酸の分泌が続いてしまいます。一方のピロリ菌の除菌は必要な治療ではあるものの、日本人の体はピロリ菌がいることを前提にできていたため、ピロリ菌が消えて体質のバランスが崩れてしまったと考えると納得できます。
   ・   ・   ・   
 https://proun.net>2008/06>post_5
 ヴィンテージ・シンセ・ギャラリー アナログ・シンセ超初心者入門 ARP Odyssey
 下戸遺伝子 | proun.net
 自慢にもならないけど、僕は基本的に酒が全然飲めない人間なのです。「飲まない」と「飲めない」は全然違うわけですが、僕の場合は「飲めない」というタイプのほうだと思います。どういう感じかというと、ビールはコップ一杯がいいところ。基本的に苦いもの好きなのでビールの味は大好きだし、他の酒も大好きなので、結構飲めれば飲んでいたかも知れないけど、まー飲めないわけです。
 今から3万年ほど前に中国大陸のどこかでアルコール代謝アセトアルデヒド(毒性強い)を酢酸に分解する酵素を作り出す遺伝子に突然変異が起きた人が生まれ、その遺伝子がどんどん広がっていきました。白人や黒人には見られない、モンゴロイド系民族だけに見られる酵素欠損型遺伝子は、中国内陸部では1〜2割の人が持っているそうです。僕もその遺伝子を持っているということです。先祖は遠いどこかで大陸につながっているということなんでしょうね。というか、日本人なら誰でも大陸に先祖を持っているんでしょうけど。
 日本ではこの酵素欠損型遺伝子を持っている人が一番多く分布しているのは関西地方で、そこから東西に離れれば離れるほどこの遺伝子を持っている人は少なくなっていくそうです(沖縄とか東北にはお酒の強い人が多いですよねー)。
 これは朝鮮半島や中国大陸から渡ってきた渡来人が支配していた大和朝廷が関西にあったことと深く関係しているらしく、つまりそのへんで「混血」がおこったわけです。北方民族だった弥生人の特徴を色濃く持った僕の体は(しかも関西出身で…)、もろにこの先祖を持つ典型と考えて良さそうです。渡来人との混血によって日本人の遺伝子にもこの「下戸遺伝子」が現れ、僕のようにアルコールを受け付けないかわいそうな人たちが生まれる羽目に…。
 ヤマタノオロチ伝説は大蛇に見立てた渡来人の襲来をヤマト民族が酒を飲ませて退治した話だという説がありますが、やっぱりヤマタノオロチも僕と同じ酵素欠損型遺伝子を持っていたんでしょうねー。
 ちょっと話はそれますが、邪馬台国の「邪馬台」って皆さんは学校で「ヤマタイ」と読むように教わりませんでしたか? でもこれを「ヤマト」と読む説は以前から多くあるんですよ。学校では教えてくれませんけど。
 邪馬台国の話の200年後ぐらいには「ヤマト」と名乗る場所が都市になっていたわけですから、これを「ヤマト」と読んで「何か関係があるのかなあ」と考えるのが普通と言えば普通でしょうけど、あえてこれを「ヤマト」と読んでこなかったところに過去の日本古代史の学者達の作為を感じます。これをヤマトと読んでしまうということは、要するに邪馬台国九州説が大きく後退することを意味するからです。
 「ヤマト」の「ヤマ」は山の意味で、「ト」は「瀬戸」の「戸」や河戸の「戸」と同じ意味だとする説があります。奈良以外に九州にも「山門」という古い地名があって、ここが邪馬台国の候補地にもなっているわけですが、山があるところに「ヤマト」という地名を付けて読んでいたのが当時のよくある習わしで、それが地名として残ったとするなら、九州にも奈良にもヤマトがあるのは特に不思議はないような気が僕個人としてはします。もちろん僕は大学に行ってこういうこと研究したんじゃなくってただ本を読んでいるだけなんですけどね。あんまり本気にしないでくださいよ、素人の言っていることを。
 でも日本語のルーツって面白いですよね。そこに一番興味があったりして。
 追伸。
 僕が弥生人の特徴を色濃く持っていると書きましたが、現代の日本人はもともと日本に住んでいた縄文人と大陸から渡ってきた弥生人の混血なのですが、どちらかの特徴が色濃く出てしまう人も結構いるみたいです。僕がそれ。
 弥生人は元々北方民族で、寒い地方で暮らすために有利な特徴を備えています。身長は縄文人より高めだけど、顔の骨格は細長く目は一重で鼻も低く出っ張りが少ない醤油顔。歯が大きく前歯がシャベル状。耳垢は乾燥しているんだそうです。全部僕だ(笑)。手足も短いのは日本人の殆どの人が持っている特徴ですね。でも僕は天パで、これは弥生人の特徴じゃない。どっかから来た別の遺伝子でしょうか。
 一方縄文人は背はやや低め。顔面の骨格はがっしりしていて、毛深い。いわゆるソース顔で濃い顔。歯が小さく、耳垢は湿っています。今風な感覚で言えば縄文人のほうがモテるかも。遺伝学的には弥生人縄文人もほぼ同じなんだそうですが、見た目が違う以上、何か違いはあるんでしょうね。優劣とかじゃなく。さてみなさんはどっちですか?
 さらに追記。
 2001年のDNA調査によると、縄文人の直接的な祖先はバイカル湖畔に住むブリヤート人というモンゴロイド系の民族だった可能性が高いことがわかりました。これまで言われてきた、縄文人は南方系、弥生人は北方系という分け方は正しくなく、どちらも北東ユーラシアから入ってきたとするのが最新の結論。もちろんいろんなところから様々な民族が流入してきた日本においては祖先を一つに絞り込むこと自体ナンセンスだと言えると思いますが、ブリヤート人との共通点は意外というか、事実としてそれはあるんでしょうけど、ブリヤート人のDNAを受け継ぐ民族は中国や朝鮮半島にもたくさんいることでしょうから、特に驚くことではないのかも知れませんね。ちなみに耳垢が乾燥しているのもこのブリヤート人が持つ突然変異の遺伝子と関係があるのだそうです。しっかり僕が受け継がせていただいています。
Proudly powered by WordPress
   ・   ・   ・   
 DIAMOND online 
 日本人は飲酒に世界一寛容、でも下戸が多い不思議
 本川 裕:統計データ分析家
 2017.1.4 5:00 会員限定
 日本人は飲酒に世界一寛容、でも下戸が多い不思議
 酒豪都市、量では新潟
 飲酒代では高知
 正月に飲むことが慣わしの薬酒にちなんで、この時期だけの浮かれた気分を表すのに「お屠蘇気分」という言葉がある。お正月なのでお酒にまつわる話題をいくつか提供しよう。
 まず、どの地域でどんなお酒が好まれているかであるが、家計調査の結果から酒類消費額の多い地域を表であらわした(右下表参照)。
 日本人は飲酒に世界一寛容、でも下戸が多い不思議
 ©本川ダイヤモンド社 禁無断転載
酒類計は家庭で購入する酒の合計であるが、この点での酒豪都市トップ3は、新潟、仙台、秋田である。外食の一部であり酒類計には含まれない飲酒代(飲酒に伴う料理を含む)の方から見る酒豪都市トップ3は高知、東京、山形である。
 全国平均の2倍以上の消費額となっている点で目立っているのは、新潟の清酒、宮崎・鹿児島の焼酎、青森のウイスキー、東京・横浜のワイン、高知の発泡酒・ビール風アルコール飲料である。
 それぞれのお酒がどんな地域で好まれているかをまとめると、清酒(日本酒)は東北・北陸、焼酎は南九州を中心とした九州、ウィスキーは北日本、ワインは京浜とワイン産地(長野・甲府)である。
 ビールは全国的に好まれている地域性の薄いお酒であり、最も消費が多い札幌でも全国の3割増し程度に止まっている。
 次のページ
 「飲酒を敵視しない度」では世界一。戦国時代の日本人もそうだった
 続きを読むには会員登録が必要です。
 会員の方はログイン
   ・   ・   ・   
 2022年4月29日 東洋経済オンライン「日本人の遺伝子が酒に弱く「進化」した納得の理由
 コメを食べてきた日本人の腸に起こった変化
 奥田 昌子 : 内科医
 日本人の遺伝子が持つ特徴とは(写真:maroke/PIXTA
 がん、糖尿病、認知症、高血圧、肥満など、さまざまな病気のリスクや体質は「遺伝的なものだし仕方ない」と思っていませんか。しかし、近年のゲノム生物学の進歩によって、生活習慣や環境で遺伝子の働きが変わり、実際に病気になるかどうかも変わることが明らかになってきています。
 日本人の遺伝子と体質の特徴を知ると、どうすれば遺伝的なリスクを抑え健康に過ごせるかが見えてきます。日本人の「遺伝子」と「体質」にはどんな特徴があるのか、医師・医学博士の奥田昌子さんの著書『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』から日本人とお酒にまつわるエピソードをご紹介します。
 酒に弱いほうが生存に有利だった?
 一人ひとりの体の設計図、すなわちゲノムは、わずか0.1%しか違わないと報告されています。けれども、よくみればDNAが1文字だけ異なる一塩基多型(SNP)をはじめ、細かな違いが無数にあって、SNP1個で体質ががらりと変わることもあります。では、日本人のゲノムにはどんな特徴があり、その特徴はどのように作られてきたのでしょうか。
 2020年に興味深い論文が公表されました。日本人17万人のゲノムをもちい、遺伝子変異が起きた時期と、それがどのように伝わってきたのかをコンピューターを駆使して探索したものです。すると、過去1万〜2万年のあいだに変異が起きた遺伝子のうち、29個が世代をへるごとにそれぞれ一定の方向に体の特性を変化させてきたことがわかりました。
 このなかでもっとも強い動きが「酒に弱くなる方向への進化」でした。飲めるようになるならともかく、飲めなくなるなんて進化といえるのかと思った人がいるかもしれませんが、ここでいう「進化」は日常会話で使う「進化」とは意味が異なります。
 専門用語では適応進化といい、生存に有利な特性を獲得することを指します。つまり、日本人は酒に弱いほうが生存に有利だったということです。いったい、なぜでしょうか。
 稲作は7000〜8000年前に、現在の中国を流れる長江が東シナ海にそそぐ地域で始まったと考えられています。じつは、ここは酒に弱い人の割合がもっとも高い地域でもあるのです。次のページに掲載する図の2枚の地図をくらべてみてください。
下戸は湿地固有の伝染病にかかりにくい? 上図は稲作が始まった年代を、下図は酒に弱い人の割合を示す。色が黒いほど飲めない人の割合が高い。稲作の発祥地と、酒に弱い人の割合の高い地域がおおむね一致している。(出所)佐藤洋一郎『DNAが語る稲作文明――起源と展開』(日本放送協会出版/1996年)より
飲んだアルコールは肝臓で分解されてアセトアルデヒドという有害物質に変わりますが、酒に弱い人はアセトアルデヒドを分解する酵素を作る力が低いため、アセトアルデヒドが体に長くたまります。
 水田は実りをもたらす一方で、古い時代にはさまざまな病原体の温床となりました。たとえば、肝臓に重い障害が起きる日本住血吸虫症(にほんじゅうけつきゅうちゅうしょう)は、水田や湿地に暮らすミヤイリガイという小さな貝が媒介します。貝の中で増えた日本住血吸虫の幼虫は水温が上がると水中に泳ぎ出し、素足で水田に入った人の皮膚から侵入します。
 高熱を繰り返すマラリアも同様です。マラリアを媒介するハマダラカの幼虫も水田や湿地で暮らし、成虫が人から吸血する際にマラリアの病原体が人の体に入ります。酒に弱い日本人は有害物質アセトアルデヒドが血液に多くとけているため、侵入した病原体が活発に活動できない可能性があります。その結果、酒に弱いほうが生きのびやすかったのではないかという説が提唱されています。
 コメが日本人の遺伝子を大きく変えた
 水田が広がる日本では、古代から近代までマラリアが全国で頻繁に発生しました。『源氏物語』には、主人公である光源氏マラリアと思われる病気をわずらう記述が出てきます。近代に入ると住まい周辺の環境が整備され、土地の改良と殺虫剤の使用が進みました。
 これによりマラリアは次第に減少し、昭和10年ごろには「マラリア5県」に集中して発生するようになりました。次のページの図の上の地図に示すように、日本海に面する北陸から太平洋側の愛知県まで本州の真ん中あたりを横断する地域です。
 「マラリア5県」が位置する本州中央部には、もう一つ大きな特徴があります。都道府県ごとに100人からゲノムを採取して、酒に弱い人の割合を調べたところ、下戸の割合がもっとも高かったのが三重県で、次いで愛知県、石川県、岐阜県であり、かつての「マラリア5県」とその周辺に、酒に弱い人が集中していることが明らかになりました。下の地図を見てください。
 酒に弱い人はマラリアに強かったのか? 上図はマラリアの自然発生が近代まで続いた「マラリア5県」、下図は都道府県別にみた酒に強いタイプの遺伝子を持つ人の割合。マラリアが多く発生していた本州中央部は酒に弱い人が多い。(出所)奥田昌子『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社/2022年)より
本州中央部には標高3000メートル前後の山脈が連なり、ここから流れくだる無数の川が水を豊かにもたらします。おそらくは古代からマラリアがたびたび発生していたでしょう。この地域に住む人々は「酒に弱くなる方向に進化」することで、マラリアに対抗しようとしたのかもしれません。
 コメを育て、コメを食べてきた日本人の体内では腸内細菌も変化したようです。人の腸には人種を問わず約1000種類の腸内細菌が100兆個も存在し、日本人に限ると、腸内細菌は合わせて約500万個の遺伝子を持つと報告されています。
 日本を含めた12カ国の人から腸内細菌を採取して、遺伝子をもとに腸内環境を比較した研究によると、腸内細菌の遺伝子全体の約半分が日本人に特有であることがわかりました。わかりやすくいうと、日本人の腸にしかいない細菌が全体の半数近くを占めているということです。
 日本人の腸はビフィズス菌など善玉菌が多い
 これを海外の人から得られたデータと比較したところ、日本人の腸にはビフィズス菌をはじめとする善玉菌が多く、穀物に含まれる炭水化物や、アミノ酸をむだなく利用するのに役立つ細菌も多数いることが明らかになりました。そのおかげで穀物からエネルギーをしっかり取り出すことができます。
 日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた (ブルーバックス)
 『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた (ブルーバックス)』(講談社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
 穀物に含まれるでんぷんを消化するのも得意です。でんぷんを消化するアミラーゼという酵素をどれだけ作れるかは、アミラーゼを作るよう指令を出すアミラーゼ遺伝子の数で決まります。アミラーゼ遺伝子はゲノムのなかにコピーがいくつかあって一斉に指令を出すため、コピーの数が多いほどアミラーゼがたくさんできるわけです。
 食事に占めるでんぷんの割合と、唾液に含まれるアミラーゼ遺伝子のコピー数を世界各地で比較した研究によれば、日本人をはじめ、でんぷん摂取量の多い地域の人は、狩猟や牧畜に依存して穀物をほとんど食べない各地の先住民とくらべてアミラーゼ遺伝子のコピー数が多く、コピーを6個以上持つ人の割合がほぼ2倍高かったそうです。
 面白いことに、この変化は犬でも起きています。オオカミが家畜化されて犬になる過程で、膵臓でアミラーゼを作るよう指令を出す遺伝子のコピー数が平均で7.4倍増えたという報告があります。でんぷんを消化する力が高まったおかげで、犬は人が残した穀物を食べられるようになったのです。
 奥田 昌子さんの最新公開記事をメールで受け取る
 著者フォロー
   ・   ・   ・   
2018-05-03
🌋3〕─1─弥生時代の集落遺跡。鳥取・青谷上寺地遺跡。島根・白枝荒神遺跡。日本人の下戸遺伝子。弥生時代の人
   ・   ・   ・   
2020-03-29
🌋11〕─2─酒に弱い日本民族日本人。水田稲作の分布と下戸遺伝子の分布がほぼ一致する。~No.35No.36No.37 
   ・   ・   ・   
2021-01-24
💄74)─1─天皇による田植え。大嘗祭新嘗祭。日本の食文化の原点は神饌。〜No.147No.148 ⑰ 
   ・   ・   ・   
2022-09-14
🌈9)─1・A─縄文文明。縄文人は稲作農業を受け入れなかった。⦅2⦆〜No.18 
   ・   ・   ・   
2021-01-10
🎍2〕─1─倭国大乱(弥生の大乱)は気候変動で食べ物がなくなったからであった。環濠集落は城。146年〜189年。~No.2 
   ・   ・   ・   
2018-05-13
🗻7〕─2─国産み神話。天照大神高天原スサノオと八岐大蛇。出雲神・大物主神を祀る三輪山信仰。大八洲豊葦原の瑞穂の国と稲神話。三種の神器。~No.32 @ 
   ・   ・   ・   
2018-05-10
🗻7〕─1─大国主命少彦名神。国譲り神話。ニニギノミコトと天壌無窮の神勅。天孫降臨神話。弥生式畑作社会と松。~No.29No.30No.31 @ 
   ・   ・   ・   
2018-11-04
🗻14〕15〕─1─天皇の地位の正統性は、建国神話における初代神武天皇の即位であった。~No.53No.54No.55 @ 
   ・   ・   ・