☵31〕─1─サムスン、半導体で初首位。日本勢最高は8位東芝。台湾企業に「日の丸半導体」が敗れた。~No.242No.243No.244No.245 @ 

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 2018年1月5日 産経ニュース「【東芝危機】サムスン半導体で初首位 25年ぶり、インテル陥落 日本勢最高は8位東芝
 ソウル市内にあるサムスン電子の店舗(AP)
 米調査会社ガートナーは4日、韓国のサムスン電子が2017年に半導体の売上高で米インテルを抜き、初めて世界で首位に立ったと発表した。首位交代は1992年以来、25年ぶりで、半導体の世界市場の勢力図が塗り替わった。
 サーバーやスマートフォン向けメモリーといったサムスンの主力製品の需要が増えているため。一方、日本勢で最高だった東芝は8位で、日本メーカーの劣勢ぶりが鮮明になっている。
 サムスン半導体売上高は前年比52・6%増の612億1500万ドル(約6兆9050億円)。これに対し、インテルは577億1200万ドルと6・7%増にとどまった。東芝は29・2%増の128億1300万ドルだった。
 17年の世界の半導体売上高は22・2%増の4197億ドルで、初めて4千億ドルの大台を突破。半導体売上高の世界ランキングでは、NECが1985年から91年まで首位を保った。その後は2016年までインテルがトップの座を維持していた。(共同)」
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 1月7日 産経ニュース「台湾企業に「日の丸半導体」が敗れたワケ iPhone支える「ブランドなき大企業」創業者の言葉
 東芝半導体工場=三重県四日市市
 台湾には世界的に無名でも世界規模の巨大企業がいくつもある。それらは主に「下請け」によって大きく成長したものだ。2017年11月末、1人の経営者の引退表明が世界を揺るがした。半導体受託製造(ファウンドリー)の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏が、18年6月に後進へ道を譲ると発表したからだ。
 TSMCは、台湾の「ブランドなき大企業」の象徴的存在である。日本では、台湾の経営者といえばシャープを買収した鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)氏の知名度が圧倒的に勝る。鴻海もブランド名のない世界企業だが、台湾では毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい郭氏より、堅実経営に徹してTSMCを育て上げた張氏の方が広く尊敬を集めている。
 TSMCの売り上げは日本円で3兆円を上回る。株式時価総額は今年21兆円となり、ライバルの米インテルを上回った。18年には、回路線幅が7ナノ(ナノは10億分の1)メートルのシステムLSI(大規模集積回路)の量産を開始し、22年には3ナノの工場を完成させる道筋をつけての完全引退となる。
 引退会見で張氏は「もしもTSMCがなければスマートフォンもこんなに早く現れなかった。われわれは世界数十億人のライフスタイルを変えた」と胸を張った。
 海外で工場を持たないファブレス半導体企業とタッグを組み、半導体の製造部分を一手に引き受ける。TSMCの名前は、一般人は誰も知らないが、スマホや衛星利用測位システム(GPS)、Wi−Fi(ワイファイ)などあらゆる製品に組み込まれている。TSMCの生産ラインに万が一、大きなトラブルが起きたら、米アップルのiPhone(アイフォーン)は供給困難に陥ってしまう。
 張氏は1931年生まれ。米国で機械工学を学び、草創期の半導体産業で働いた。87年に台湾でTSMCを設立した。このとき57歳。経営者としては遅咲き中の遅咲きだ。週50時間以上働かないのがモットーで、社内派閥を一切許さず、顧客と株主、社員の利益のバランスを重視する。創業者としての独裁的なリーダーシップを正しく発揮した例といえるだろう。
 TSMCの受託生産は、他の企業よりも1〜2割割高だ。それでも、技術の高さ、研究開発への努力、トイレに入るにもICカードを使わせる秘密保持の徹底ぶりで、世界の顧客の信用を勝ち取った。
 企業には栄枯盛衰がつきもので、今日の勝者は明日の勝者とはかぎらない。だがスマホやこの先の人工知能(AI)の時代に必要な半導体事業に、なぜ「技術の日本」が勝利できなかったのか。日本人としては考えざるをえない。
 かつて張氏はこう語っていた。
 「日本企業は半導体の下請けを、まともな商売と思っていなかった。これが日本の半導体産業が落伍(らくご)した原因だ」
 90年代、日本の半導体は世界を圧倒していた。現在、当時トップ10の日立製作所、NEC、富士通らはレースを降り、経営破綻問題で虎の子の資産とされた東芝半導体事業の規模もTSMCの5分の1に過ぎない。
 鴻海をかつて「しょせんは下請け」と見下しながら、飲み込まれたシャープも同じだ。そもそも「下請け」という日本語が良くない。グローバル化で上流と下流の分業制が確立する中、上下関係を想起させる「下請け」という古い概念は成立しない。
 そして、ブランド名はむしろ邪魔になることもある。その一点に張氏は賭け、成功を収めた。そんな1人の台湾人経営者のことを、この引退を機に日本人はもっと知るべきである。
 野嶋剛(のじま・つよし) ジャーナリスト。朝日新聞で中華圏・アジア報道に長年従事し、台北支局長、中文網編集長などを務め、2016年からフリーに。49歳。『ふたつの故宮博物院』『銀輪の巨人 GIANT』『台湾とは何か』など著書多数。」
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