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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
宗族倫理と匪賊原理は、朱子学の理で、宋代に作られた理学である。
宗族倫理は、体制の儒学。
匪賊原理は、反体制の儒教。水滸伝の梁山泊。盗人(ぬすっと)にも三分の道理。泥棒にも三分の理。
中国共産党は、裏規則。
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2021年3月号 WiLL「中国と中国文学 賈平凹(かへいおい)の『廃都』は坂口安吾『堕落論』に相当
吉田富夫/北村稔/金文学
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北村 中国の作家は、理想すなわち綺麗ごとを書いて、常にそこに向かっていこうと志向する・・・。
吉田 やっぱり儒教の影響ですね。
金 とくに軍人は、自分たちを偉そうに思っているので、作品の中で大衆や汚さに触れると、すぐにレベルが低いとか、良くないとか言い出す。
吉田 目をそむける傾向があります。軍人の一つの趣味でしょうけど。
北村 どうしようもないですね。
吉田 それは、タブーがまだ強いんですよ。現実の世界ではセックスも赤裸々で、売春だっていっぱいあるんだけど、そういうものを見たくないんだよね。儒教文化の文人意識が邪魔をして。
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日本の目で中国を近代化
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北村 それでも、魯迅(ろじん)はよく読まれています。
吉田 それは知的な深刻さだと思います。自己解剖とか、人間の内面を見つめる深さにおいて、彼は同時代を抜いていますよ。
金 自己反省がすごく強い。
吉田 魯迅のそれがどこから来たのかというと、基礎をつくったのは明治から大正にかけて7年間の日本留学でしょう。
金 同時代の作品を、彼と弟の周作人は、ものすごく読んでいますね。とくに魯迅は、日本人の目で中国人を見ていたんじゃないかと。
吉田 日本人の目というよりも、『ヨーロッパを消化した日本人の目』を持って見ていたんでしょうね。その頃、ヨーロッパのいろんな哲学や思想が、日本語に翻訳されたんです。その主なものを、周樹人(魯迅の本名)と周作人はほとんど読んでいて、そこから〝いいとこ取り〟をするんです。そのあとで、魯迅は自分なりの世界を自分の言葉で語り出した。
金 魯迅は、神田あたりでウロウロする時は日本人の袴(はかま)をはいて、中華料理を食べていないんですよ。
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吉田 日本人そのものに興味を持っていたわけではないようです。明治以降、ヨーロッパ近代を受け入れた日本人を受け入れた。清朝末期の留学生の一番いい部分でした。
北村 台湾でも、そう言っています。日本人は、ヨーロッパ近代を持ってきた。国民党は何をもってきたかというと、何も持ってこなかった。日本時代のインフラを接収して私腹を肥やしただけではなかったかと。
70%は日本語
吉田 明治から大正にかけて、ニーチェだとか、ヨーロッパの近代思想を日本語に翻訳してバーッと出版するんですね。魯迅と周作人が初期に書いていた文章を見ると、日本語に訳されたヨーロッパの哲学書のいいところを抜粋してかなりの部分が丸写しでした。
魯迅がエラいのは、そうやってヨーロッパの近代思想を自分のものにして、彼自身の近代化された自己形成をしたことです。
北村 当時は、その方法しかなかったでしょう。
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吉田 その魯迅を受け継いで、弟子の胡風(こふう)も左翼ですが、日本語に翻訳されたヨーロッパの近代思想を受け入れました。その胡風は、最終的には1950年代に毛沢東によって弾圧された。そこで、中国における魯迅の伝統は一旦切れてしまって、それから文化大革命が始まります。
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農村の事実は共産党批判
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北村 中国人は、モデルを見てから、すぐに実現できると思いこむ癖がありますね。清末からの歴史をみればよくわかりますが、先進技術導入政策の洋務運動、続く明治日本を模倣する変法運動、さらに米国モデルの辛亥革命、そして、ロシア革命モデルの社会主義革命などです。いずれも当初の期待通りには実現されなかった。
金 そうですね。
北村 地道に積み重ねて行こうと思わないですね。
金 思わないですね。
建て前で一党独裁
吉田 一党独裁はブレーキが効かないね。中国の一党独裁の思想基盤は、結局、宋代に流行った理学でしょう。何が正義かという建て前ですべてを決めてかかるんですね。たとえば、ここに茶碗があって、その茶碗の質を評価するのではなく、『茶碗はどうあるべきか』ということから決めていく。その観念に合致しないと、『規格に合わない』とはねてしまう。だから、自然のブレーキが働かなくなる。
北村 一党独裁は、上から『こうだ』と決めつけてしまうから、現場の生産性を抑えてしまう。そうすると、まったく機能しなくなる。
金 今の社会主義は、宗法社会(宗族を中心とする宗族内の規則による社会)の延長線上です。だから、村で一番偉い人が決めているんです。法律があっても、偉い人がOKなら、OKなのです。
北村 永らく中国社会を支配してきた宗族倫理によれば、男女では男が偉い。長幼の序では年寄りが偉い。一族の中では、尊卑(そんび)といって、本家に近く、世代が上の人ほど偉い。
金 その原理の中で、こっちの話を聞かない奴は、排除してしまうんです。それが共産党の粛清とか。
吉田 宋・明時代の理学の発想の上に、共産党が乗っかってしまっている。日本で似ているのは水戸学ですね。
金 そうですね。
吉田 今の習近平を見ていると、破綻しかけた共産党の政権を立て直すために、もう一度毛沢東時代の建て前の世界に戻したがっているように思えますね。
金 それと『匪賊原理』。言うことを聞かない奴は、徹底的にやっつける。……
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金 中国には、言論の自由、出版の自由とか、憲法に人権を認めた法律があるんですが。
北村 条文の言葉だけあるけど、機能していませんね。これは清朝末期に欧米の法律を形だけは導入したけれど、社会的には全く機能してこなかった中国の歴史的伝統です。
吉田 1956年に、憲法をつくる過程で毛沢東が、『憲法なんて覚えていないよ』と言ったという有名な話しがありますね。
金 〝裏規則〟で支配されている国ですからね。取り締まる役人と知り合いだったら、多少、悪いことをしていてもOK。明の時代からそういうことがあったらしい。
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吉田 組の中には、反主流派とか、開明派とかがいるはずなんだけど。
金 共産党の幹部の中にもいますけど、主流派に偏ってしまうんです。
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社会の基本が崩壊
吉田 社会の基本的コンセンサスのようなものが、基本的に破壊されてしまっているでしょ。日常の食べ物の安全性すら脅かされている。社会基盤のセーフティネットがあそこまで壊れた。何を食わされているか、わからないですよ。
北村 恐いですね。
吉田 大金持ちはいいけどね。
金 中国は、政治は『共産主義』や『社会主義』を標榜(ひょうぼう)するけれども階層社会ですよ。お金がある人では、スーパーも違うんですよ。値段もぜんぜん違う。
吉田 富裕層は輸入物を扱うスーパーに行く。高級幹部は、指定した村で特別に生産した食料品を食べる。まん中の階層より上の人たちは、中国でつくった食品を食べない。最下層の人たちは、屑のような食べ物を拾って食べる。
金 富裕層でお金がある人は、スイス銀行に預けて、子どもを留学させる。下層の人も、一生懸命に中国を抜け出そうとしている。
北村 うちの留学生もそうかな?
吉田 ぼくが初めて中国に行ったのは1965年末、文革の前夜でした。みんながツギハギだらけの服を着ていたけれど、人々は誇り高く、都市も安全でした。あの社会が、ここまでグチャグチャになってしまったのは、何ででしょうか。文革の責任だけじゃないな。あのあと、いわゆる改革開放の猛烈な突っ走りが、あの社会を根本から破壊してしまったような気がします。
北村 今まで、支持してきたものが、ガラッと変わってしまった。社会的に信じられるものがなくなって刹那(せつな)的にいか生きられないのでしょう。
吉田 今、一番恐ろしいのは、食べ物でしょうね。
金 中国で子どもを見ると、日本や韓国の子どもよりデブが多いです。とくに、女の子は、8歳や9歳ぐらいで、胸が大きくて乳首が出ているんです。それは、家畜や野菜に成長促進剤や成長ホルモンを添加(てんか)しているからだと言われています。
スーパーで売られているスイカが、一晩冷蔵庫に置いておくと、破裂するんです。種は白いのに、果肉は真っ赤。成長ホルモン剤のせいです。この間上海で、真っ赤でイチゴが大きくておいしそうだったので買って帰りました。持ち帰って水洗いしたら、赤い色が溶けて、水が真っ赤になった。
金 イチゴに色を塗っているんです。
吉田 30年ほど前かな、世界遺産指定の予備調査で秦の始皇帝陵に視察団が来たんですって、西安市の市民が動員されて、成長が早い小麦を撒き、視察団の通過する周辺にスプレーで緑色を塗った。『それで、緑化をやっています』。
サッカーや陸上競技などの国際大会でも、芝生が枯れた部分に緑色のスプレーで色を塗る。
金 今でも、ハゲ山に緑色のスプレーを使って〝緑化〟をやっている。
北村 中国産のピーナッツはどうでしょうか。ぼくは、ピーナッツが好きなんですが。
金 なるべく食べない方がいい。」
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中国では「愛国無罪」として、中国共産党の正統に従い、日本に対して反日・敵日など如何なる行為を行っても有罪にはならない。
犯罪を有罪・無罪と決めるのは、国家の法律ではなく中国共産党の党益である。
中国共産党は、国内に充満する社会不満や中国共産党への不平のガス抜きとして、官製反日運動・反日暴動を行う。
中国共産党は、日本との友好関係・善隣関係など望んではいない。
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