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2022年7月26日 MicrosoftNews 文春オンライン「「平安時代は、現在の日本の日常とよく似ている」努力を怠れば簡単に没落してしまう、貴族たちの意外な“サバイバルの日々”
『平安貴族サバイバル』(木村朗子 著)笠間書院 © 文春オンライン 『平安貴族サバイバル』(木村朗子 著)笠間書院
平安貴族とサバイバル、一見、なかなか結び付かなそうなものである。が、平安時代を貴族として生きた人々の実際を知ったならば、確かに、彼らの人生は、過酷なサバイバルに見えてくるかもしれない。
著者の木村朗子氏は、「平安時代は、戦後社会を生きる現在の日本の日常とよく似ている」とする。
現代の日本は、戦争のような大惨禍はないものの、けっして平穏な理想郷などではない。私たちの多くは、少しでもいい暮らしをするため、いや、少しでもマシな暮らしをするため、日々、何かと闘い続けている。
「実績」「業績」「成績」、こうしたものを勝ち取らないと、私たちは、それなりに美味しいものを食べることもできなければ、それなりに快適な家に住むこともできない。疲れ果てて、そうした闘いを放棄することは、私たちにとって、人生を放棄することと同義となる。
そして、平安時代の貴族たちも、その大半は、遊んで暮らすことなど許されず、それどころか、努力を怠れば簡単に没落してしまう、何とも危うい人生を余儀なくされていた。彼らの多くは、ただ、その親の持っていた社会的地位に留まり続けるためだけにも、かなりの努力を求められたのである。闘い続けなければ、「貴族」と呼ばれる身を保つことさえ難しい、というのが、「平安貴族」と呼ばれる人々の現実であった。
どうやら、現代日本人の人生と、平安貴族たちの人生とは、かなり似通っているらしい。どちらも、日々のサバイバルを乗り越えて、初めて成り立つのである。
では、平安貴族たちは、どんなサバイバルに明け暮れていたのだろうか。
木村氏が紹介するのは、主に女性たちのサバイバルである。とはいえ、彼女たちのサバイバルは、彼女たち自身のためのものではなく、彼女たちの父親や兄弟や夫のためのものであった。
当時の貴族男性たちは、娘や姉妹や妻といった女性たちに、自身の命運を託すことがあった。上級貴族たちは、地位のため、娘や姉妹を妃として天皇のもとに送り込んだのであり、中級貴族たちや下級貴族たちは、やはり地位のため、娘や姉妹や妻を女房として上級貴族のもとに送り込んだのである。木村氏は、そうして男性たちのために送り出される女性たちを、「差し向けられたエージェント」と呼ぶ。
そして、「エージェント」となった女性たちは、「学問で勝つ」「音楽で抜きん出る」「和歌の力でのし上がる」など、さまざまに闘う。彼女たちの勝利こそが、彼女たちの父親や兄弟や夫の地位を保障するからである。彼女たちは、身内の男性たちの地位のために、漢学の才を競い合い、演奏の技を競い合い、和歌の心を競い合っていたのであった。
清少納言も、紫式部も、そして、恋多き女として知られる、あの和泉式部でさえ、そうしたサバイバルの日々を経験していたのである。
きむらさえこ/1968年、神奈川県生まれ。津田塾大学教授。専門は、言語態分析、日本古典文学、日本文化研究、女性学。著書に『乳房はだれのものか』『震災後文学論』『女たちの平安宮廷』『女子大で和歌をよむ』等多数。
しげたしんいち/1968年、東京都生まれ。神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員。近著に『知るほど不思議な平安時代』。
(繁田 信一/週刊文春 2022年7月28日号)」
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平安時代の貴族には4種類の系統が存在する、天皇・上皇の子供(源氏・平氏・橘氏)、藤原氏、古代豪族、帰化系氏族(忠誠を拒否する渡来人は違う)である。
朝廷内での権力闘争を繰り返したのは、藤原系であって皇室系、古代豪族系、帰化系は巻き込まれる事はあっても参加する事はなかった。
強いて上げれば、伴善男(伴大納言)や菅原道真(北野天満宮)などである。
時折、権力欲を持った天皇や上皇が権力闘争に加わるが、一代限りで子供や孫が権力を引き継ぐ事はなかった。
突き詰めて言えば、平安時代の権力闘争とは藤原家の血で血を洗う内部紛争に過ぎなかった。
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鎌倉幕府から始まった武士の世とは、藤原氏が独占してきた京・中央の朝廷権力を関東の皇室系諸氏が奪って地方・田舎権力に移植した事である。
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日本の歴史とは、地方・田舎が京・中央に取って代わる歴史であった。
藤原氏の祖先は中臣氏で中央豪族ではなかった。
蘇我氏も古代豪族の中では中央豪族ではなかった。
地方が中央に取って代わるという下剋上社会が中国や朝鮮のように崩壊し大虐殺を起こす事なく安定を維持してきたのは、神聖不可侵の女性神の血筋を正統とする男系天皇中心神話が改竄される事なくブレずに守られてきたからである。
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