👪16〕─4・C─アドラー心理学の岸見一郎が説く「本当に優しい人」とは。~No.90 

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 2024年3月26日 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポンアドラー心理学の岸見一郎が説く「本当に優しい人」とは
 【今回のお悩み】
 「本当の意味で『優しい人』とは、どんな人なのでしょうか?」
 自分に有害な影響を与える人と一緒にいたいと思う人はいないでしょう。また、自分がそんな人間になりたいとも考えないはずです。では、「優しい人」ならどんな行動をするのでしょうか? どんな意見でも受け入れてくれる人? 相手が必要なことを何でもやってくれる人? 
 【画像】家族や友人の人生に関心があれば、自分の考えをいうはず
 アドラー心理学に詳しい岸見一郎先生に訊いてみました。
 優しい人は何事も自分で決めようとはしません。自分が決めたらその決断には責任が伴うからです。たとえば、一緒に食事をしようということになったときに、何を食べるかを自分で決めずに、必ず一緒に食事をする相手に何が食べたいか尋ねる人がいます。そのような人は、「優しい人」と思われるでしょう。
 相手の意見を聞かないで決める人がいれば、そのような人をリーダーシップがあって頼りがいがあると思う人がいるかもしれませんが、二人の関係がいいときにはそう思えるだけで、関係がよくなくなれば、支配的な人だと思うようになるかもしれません。実際、関係がよくても悪くても、相手の考えを聞かないで決めるような人は支配的な人であるといわなければなりません。
 それでは、自分で決めないで相手に決定を委ねる人は支配的でないのかといえばそうではありません。そのような人は、相手の意見を尊重するので「優しい人」に見えても、決めさせているのであり、その意味で相手を支配しようとしているのです。優しさは、支配的であることの隠れ蓑です。
 なぜ相手に決めさせようとするのか。それは自分で決めれば、そのことに責任が伴うからです。この店で食事しようと決めたところ、期待していたほどおいしくなかったときに責任を取りたくないのです。
 どこで食事をするかということであれば、値段の割においしくなかったというようなことになるだけですが、人生の一大事を決めなければならないときには、「優しい」人は自分の考えをいって相手の決断に影響を与えようとはしないでしょう。
 あなたの人生だから自分で決めたらいいとか、自分のことは心配しなくていいから自分がしてみたいことをすればいいといって、優しくあろうとします。しかし、これも自分の考えを述べ、場合によっては相手を引き止めることに伴う責任を取りたくないからです。
 相手がどんな決断をしようが、自分にとっては大きな問題にならないと考える人も自分の考えを主張しません。相手に関心があれば、相手がどんな決断をするかは自分に無関係とは思えないはずです。
 たとえば、付き合っている二人が大学生であれば頻繁に会うことができますが、卒業が近づくと、二人の関係をどうするかを決めなければならなくなります。就職先がどこになるかによって、卒業後も学生のときのように近くにいて簡単に会えるとは限らないからです。就職してからも、仕事の関係で離れて暮らす必要が起きるかもしれません。
 そのようなときに、相手の意志を尊重する優しい人は、どんな人生を生きるかはあなたが自分で決めることだというでしょう。しかし、相手がパートナーであれば、「私たち」の人生どう生きるかを考えなければならないのですから、相手が決めることであっても、私とあなたとの共同の課題にして、一緒にどうするかを考えなければなりません。
 その際、相手にこうしてほしい、こうしてほしくないと自分の考えをいわないとしたら、二人がどうなってもいいとまでは考えていないとしても、二人が人生を共にすることを重大事とは考えていないといえます。
 また、パートナーでなくても、友人や家族から相談を受けるようなときにも自分の考えをいわないとしたら、相手の決断に影響を与えることに伴う責任を回避したいだけなのです。
 自分の考えをいって関係が悪化することを恐れる人もいますが、家族や友人の人生に関心があれば、自分の考えをいうでしょう。自分の考えをいい、さらに相手に翻意を促せば嫌われるかもしれません。それでも、自分の考えをいう人は相手に関心があるのであり、そうすることが一時的に相手との関係に摩擦が生じることになっても、最終的には関係が破綻することはないと相手を信頼しているのです。
 相手からすれば、どんな人生を生きるかはあなたが自分で決めることだといわれるよりは、自分の考えを率直にいってくれる人のほうが真剣に考えていることが伝わります。
 本当に「優しい人」の行動
 以上述べたことから、優しい人とはどんな人なのかをまとめると、相手に関心を持ち、必要があれば自分の考えをいう人です。自分の考えをいわない人、何でも賛成するような人は、優しく見えても相手には関心がないのです。もっとも、「あなたのためにいっている」という人が本当は自分のためにいっていることはあります。優しい人はただ相手の関心があるのでなく、本当に相手のために考えられなければなりません。
 相手に関心を持つ優しい人は具体的にどうするかといえば、まず、最後まで話を聞いて、相手の考えを理解することに努めます。考えを理解した上で賛成しないことはありますが、話も聞こうとしない人は相手に無関心であって優しいとはいえません。
 二つ以上の選択肢があるときには、それぞれのメリット、デメリットを検討します。その上で、明らかに不利になると思えるような決断をすることはありえます。その場合、決断をすることは基本的には相手の課題なので、強制することはできませんが、優しい人は相手が不利な決断しても、力になりたいというでしょう。
 さらに、一度決めたことであっても、今後その決断が誤りであることが明らかになったら撤回していい、ということも優しい人は必ず言い添えるでしょう。
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 Ichiro Kishimi
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