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2020年2月15日 産経新聞「【編集者のおすすめ】『皇子たちの悲劇 皇位継承の日本古代史』 敗者から読み解く古代王権
『皇子たちの悲劇 皇位継承の日本古代史』倉本一宏著
□倉本一宏著(角川選書・1800円+税)
『日出処(ひいづるところ)の天子(てんし)』のミステリアスな厩戸(うまやと)皇子、『天上の虹』の大津皇子、澁澤龍彦の小説にもなった高丘親王。
小説や漫画の登場人物としても知られる皇子(王子)たちですが、彼らはなぜ、天皇(大王)になれなかったのでしょうか。その疑問に答えてくれるのが本書です。
古代の歴史書には、天皇として即位できなかった皇子の記録がたくさん残されています。しかし、大王継体(26代天皇)以降、82代後鳥羽天皇までに誕生した皇子304人のうち、即位できたのはたった44人で、確率は14・47%。7人に6人は即位できなかったのです。
一方、天皇の立場からみると、同時代の48人の男子天皇のなかで皇子を即位させることができたのはおよそ半分強。2人以上を即位させられたのはわずか14人にすぎません。皇統を伝えることがいかに難しいかがわかります。
血塗られた飛鳥・奈良時代を経て、52代嵯峨天皇以降は即位できなかった皇子が殺されることはなくなり、やっと平安な時代が到来します。
しかし、中世以降、皇位継承は次第に武家政権の意思に左右されるようになっていくのです。
伝承世界では、皇位継承に敗れた皇子たちは流浪の旅をし、各地の民衆と結びついていきます。また王朝文学の最盛期には、彼らを描いた文学も作られました。
「歴史は勝者が作り、文学は敗者が作る」。皇子たちの知られざる歴史をぜひ知っていただきたいと思います。(KADOKAWA文芸局 竹内祐子)」
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