☵46〕─2─韓国は反日強硬制裁策を掲げてG11への参加を表明した。~No.386No.387No.388No.389 

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 2020年6月14日 msnニュース 文春オンライン「「G11」構想に舞い上がる韓国 無謀な「対日強硬策」を連発する文在寅の本音
 名村隆寛(産経新聞ソウル支局長)
 文在寅政権の韓国が、ふたたび日本への強硬姿勢を見せている。
 韓国政府は6月2日、日本政府が昨年7月からとっている韓国への輸出管理厳格化の措置が続いていることに対し、世界貿易機関WTO)への提訴の手続きを再開させると発表した。
 これに加え、いわゆる徴用工訴訟で韓国最高裁が2018年10月に新日鉄住金(現・日本製鉄)に賠償を命じた問題で、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部が6月1日付で日本製鉄に財産差し押さえ命令の「公示送達」を決めた。
 © 文春オンライン WTOへの提訴手続き再開など、再び日本への強硬姿勢を見せる文在寅大統領 ©getty
 このタイミングでの立て続けの対日攻勢に、日本では「コロナ後の混乱を狙ったのではないか?」「連日疑惑が報じられている慰安婦支援団体のスキャンダル隠しでは?」など、文政権の腹の中を探るような憶測まで出ている。
 GSOMIA破棄を再びチラつかせる
 WTO提訴の再開については、伏線があった。
 韓国政府は5月12日、日本に対して一方的に「輸出管理厳格化の解決策について5月末までに立場を示すように」と求めていたのだ。
 韓国は、日本側に輸出規制厳格化の原因とされた「不十分な貿易管理体制」について、貿易管理に関する法律を改正し、貿易安保政策官というポストを新設するなど、必要な措置は講じたと主張。それにもかかわらず、日本が措置を見直さないのは、「日本政府が問題解決への意思を見せていないからだ」(韓国産業通商資源省)としていた。
 「日本との議論は進展していない。正常な対話の進行とはみなし難いと判断した」
 というのが同省の言い分。韓国政府としては“業を煮やした”という形を取って、WTO提訴の手続き再開を発表したわけだ。輸出管理厳格化から間もなく1年。この措置が解かれない場合、韓国政府は8月に日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を再び持ち出すことまで、すでにチラつかせ始めている。
 さらに、冒頭で紹介したとおり、徴用工訴訟をめぐって裁判所による日本企業の財産差し押さえ命令の「公示送達」が出された。
 日韓関係を根底から揺るがせた徴用工訴訟の韓国最高裁の判決からのこの1年半あまり、いたずらに時間だけが過ぎ、何ら韓国側は手を打てなかった。
 そして結局、今回の財産差し押さえ命令の「公示送達」に至った。公示送達とは、被告側が書類の受け取りを拒否したりした場合に、裁判所ホームページなどに一定期間公示することで受け取ったとみなす手続きだ。公示期限は8月4日午前0時で、その後売却・現金化に向けた次の段階に進むことになるとしている。
 WTOの問題と意図的に時期を一致させたのかどうかは不明だ。しかし、司法サイドに忖度があったと見ても不自然ではない。
 総選挙に大勝して“やりたい放題”
 なぜ、文在寅大統領は、急に日本に対して強硬策を連発してきたのか。
 背景の一つとして、国内政治が政権与党に有利な状況になったことが挙げられる。
 4月の総選挙で左派系与党「共に民主党」は歴史的な圧勝を遂げた。国会300議席のうち177議席を占める“スーパー与党”となり、文政権と与党が気兼ねする相手はいなくなったに等しい。日本に対する今回の措置も、そんな“やりたい放題”の中で行われた政策の一つと言っていい。
 また、国内に向けて、ある種の示しをつける意味もありそうだ。韓国社会が大きな衝撃を受けた輸出管理厳格化から7月で1年の節目になる。徴用工訴訟も最高裁判決から1年半あまりが過ぎた。韓国の総選挙も終わったいま、相手が他ならぬ日本ということもあり、ただ放っておくことに世論は黙っていないというわけだ。
 韓国をさらに勢いづかせていることがある。WTO提訴の手続き再開を発表する前の5月31日、トランプ米大統領が9月に米国で開く主要7カ国(G7)首脳会議に韓国を招待したのだ。
 ロシア、豪州、インドといった大国の首脳とともに文大統領も招かれたことに、政府もメディアも「G11の誕生に韓国が加わった」と、手放しで称賛されている。
 李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使に至っては、ワシントンでの記者との懇談会で、「われわれは(米国と中国から)選択を強要される国ではなく、選択できる国という自負心を持つ」とまで語った。この「韓国はもはや同盟を選択できる」とでも言うような“浮かれた発言”に、米国務省がクギを刺すようなコメントを出したほどだ。
 好き勝手にモノを言える相手は……
 もちろん文在寅政権に懸念材料がないわけではない。むしろ課題は山積している。
 5月に元慰安婦の女性が、支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)と前理事長の尹美香(ユン・ミヒャン)氏を批判したことで、正義連と尹氏による寄付金の不正会計疑惑などが大きな社会問題となっている。ついには正義連の関係者が自殺する事態にまで発展。尹氏はこの疑惑の最中に、与党「共に民主党」の国会議員となった“身内”だ。
 文大統領は8日、大統領府での会議でこの問題に初めて触れ、募金活動の透明性の強化などを求めると同時に、「慰安婦運動の大義をしっかり守らねばならない。大義を傷つけようとするのは正しくない」と強調した。
 また、韓国は今、一時は克服したかに見えた新型コロナウイルスの感染が、首都圏を中心に再び広がっている。日本同様、コロナ対策で手一杯だ。文大統領自身が言っているように、新型コロナがただでさえ深刻な状態の韓国経済を脅かしている。
 加えて、対北関係改善を最重要課題の1つとする文在寅政権だが、北朝鮮からは揺さぶりを受け続けている。6月9日には南北共同連絡事務所の通信回線を完全に遮断すると表明され、南北関係は行き詰まる一方の状態にある。
 そんな厳しい状況の中で、好き勝手にものを言って国民にアピールできる相手は日本しかない。
 総選挙で圧勝し、G11構想に沸く文在寅政権の韓国にとって、対日外交などは二の次。日本で憶測が出ているような狙い澄ました対日強硬策ではなく、文在寅政権の日本軽視から生まれたご都合主義の外交姿勢が、強硬策のように見えるだけに思えてならない。
 徴用工訴訟の公示期限は8月4日。さらに、8月15日には、75年という節目の「光復節」(日本による朝鮮半島統治からの解放記念日)を迎える。夏本番に向け、まだまだ無謀な対日攻勢は続きそうだ。
    (名村隆寛(産経新聞ソウル支局長)/Webオリジナル(特集班))」
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